表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/224

<お金が欲しかったわけでは無いのにな>

「あ~あ……。ちょっと頑張り過ぎちゃったかな?」

ひとり、部屋でネットニュースなどを読み漁りながらリピウスは溜息をついた。


世界中で怪盗Zeroの正体に関して、様々な憶測情報が乱れ飛んでいた。

多くは、怪盗Zeroは概ね100人規模の組織的犯行であろうというものであった。


それは二週間という短期間で、世界10か国以上に跨る百近くの拠点を撲滅したのである。移動時間などを考えたら、数人規模で対応できるわけが無かった。

また、詐欺グループはほぼ全員が拘束された状態で警察に引き渡されており、これも相当な人数で襲撃しない限りは無理な話だと思われた。


さらに財産をあらかた没収している手口から見ても、高度なハッカーが数人は参加しているはずだと認識されていた。そうでなければ、ここまで徹底的に財産を奪い取れるものではない。


と考えていくと、どう考えても数十人規模のチームが五チーム程度は最低必要となり、総人数は100人以上になると結論付けられたのであった。


この憶測は概ね世界中で支持されていた。

ただ、警察組織の切れ者たちになると考えは違った。なぜなら、100人以上が動いたのであれば、必ず様々な痕跡が残るはずだというのだ。

しかし、今回の事件では怪盗Zeroに繋がるような痕跡は全く出てこなかった。


使われていた資材などは、誰でも入手可能な一般的な量販品ばかりであり、特殊な物は一切見られていない。当然、指紋やその他の手掛かりになるような物も何も無い。

ここまで統制が取れているとなると、普通に考えて、余程気心の知れた数人程度の犯行でなければ考えられなかった。


また、高価な自動車や大型のクルーザーまで持ち去られているにも関わらず、それも一切の痕跡が存在していないのであった。


「クルーザーなんて、どうやって運ぶんだよ。海に乗り出して何処かに運ぶしか無いだろうが。それなら何処かで必ず見かけられているはずだよな。それが一切無いというのはどういう事なのか?」

誰もが首を捻るばかりであった。


「しっかし、この金はどうするかな? こんなに金は必要無いのだけどな」

リピウスは思いのほか大金を手にしてしまったので、その扱いに困っていた。


リピウスが詐欺グループから奪ったお金の大部分は、スイスの銀行に預けてある。理由は、スイスの銀行なら口座保有者の情報は余程のことが無い限り守られると言われていたからだ。

リピウスとしては余り色々と探られたくはなかったので、最初からスイスの幾つかの銀行に口座を設けて準備していた。

もちろん、他にもアメリカや欧州、日本の銀行にも複数の口座を開設しており、そちらにも分散して資金を保持するようにしていた。


これらの口座を作るために、リピウスは不正な手段ではあったが、複数の戸籍を手に入れており、海外の銀行に対しては海外の戸籍を使って口座開設したりしていた。

日本の口座に関しても、本来の戸籍とは別人の戸籍を使用しており、一切自分の本来の情報が表に出ないように配慮していた。

これならいざとなったら、その戸籍を破棄するだけで、本来の生活には何ら影響しないことになる。


もちろん、各銀行への送金時にも複雑な手段を用いて行っている。これは詐欺グループが良くやる資金洗浄の手法を真似させてもらっている。

非常に面倒なことなのだが、メイさんの力を借りながら不自然にならないように処理をしていき、最終的な口座へと集約していった。

その際に、一部では入金記録や送金記録を不正操作したりもしている。あくまで目立たないように資金を集めきるためであった。


当初リピウスは、被害者からの手数料報酬だけを受け取るつもりだった。

手数料を取ったのは、あくまで営利目的の犯罪組織が関与していると思わせたかったからだ。

詐欺組織と対立でもしている犯罪組織の犯行として目を向けてもらった方が都合が良いと思ったのだった。


そして、返金後に残った資金に関しては、関係政府等へ提供して扱いも任せてしまうつもりでいた。

だが実際になると、どの金がどの政府と関係するのかが判明しなかった。

なにせ国際詐欺組織なのだ。一つの組織で複数の国を対象に活動しているのだ。また、実際の拠点は全く関係無い国に存在していたのだから、やむを得なかった。


贅沢な悩みかもしれないが、リピウスにとっては必要以上のお金は不幸を生むだけと思っており、「何かうまい機会があったら、慈善事業にでも寄付して綺麗にしてしまおうか?」などと考えていた。

彼には、この大金を持って高級クラブを貸し切り、「金はいくらでもあるんじゃ~!」とばらまきながら、美女をはべらせてロマネコンティをがぶ飲みする姿は想像もできなかった。


「まあとりあえず資金もできたことだし、そろそろ次の計画を実行することにしよう」

などと内心思いながら、リピウスは一仕事を終えた満足感に浸り、メイさんが淹れてくれたコーヒーを美味しそうに飲んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ