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<怪盗Zeroは救世主か?>

世界でほぼ同時に発生した詐欺グループ狩りであるが、この話にはまだまだ続きがある。

今回逮捕された詐欺グループの総被害額は、日本円にして数千億円にも上るものであった。


ところが、詐欺グループが逮捕された時点で警察が調査したところ、彼らの大部分が一文無し状態になっていることが判明した。


怪盗Zeroは詐欺グループの摘発を行った際に、彼らの所有する財産を根こそぎ没収していたのであった。もちろん、末端の雇われ人と幹部では扱いが異なった。


末端の、特に緑シールの者は基本お咎めなし。

黄シールは、彼らのメインバンクと思われる銀行口座を1円だけ残して没収。だが、これは大した金額ではない。

赤シールは全ての預金や所有する金目の物までも没収し、さらには両親や兄弟からも一部没収するなどの厳しい措置が取られていた。

黒シールに関しては全財産が没収対象となり、高額な自動車やクルーザー等も没収され、不動産に関しても勝手に名義を書き換えられてしまい、所有権すら失うことになった。


書き換え先は慈善事業団体等の公益法人系であり、寄付として扱われていた。しかも所有者本人によって手続きが行われており、今更なかったことにもできないように仕向けられていた。


もちろん本人とは怪盗Zeroが化けて行ったことであり、実際の本人は知らないことであった。だが、それを立証することも不可能な話であり、これらも既成事実として動かしがたい事態となっていた。これは政府要人等も含めて同様に扱われた。


これらの結果から、怪盗Zeroが手にした総額は、軽く判明している被害総額の2倍を超える程のものになっていたと言われている。

そして世界中の主要な詐欺グループに関しては、ほぼ壊滅状態に陥った。

背後の黒幕組織までも暴かれたため、簡単に再生も難しいと思われるほどのダメージを受けたことになる。


ところが、もう一つ不思議なことが同時に発生していた。

各被害者に、被害額が送金されていたのだ。ただし、手数料として被害額の5%は徴収したと記されていた。

送付人は<怪盗Zero>であった。


被害総額は数千億円だったので、その5%というのは100億円以上はあるだろう。

さらには詐欺グループから没収した財産は、軽く被害総額を超えていたのだから、怪盗Zeroとしての収益は数千億円にも上ることになる。これは非常に大きな報酬であったと言えるだろう。


だが、詐欺被害者を含めて怪盗Zeroを悪く言う者は少なかった。むしろ義賊として怪盗Zeroを称える声が多く聞かれた。


もっとも、警察組織等では極めて評判が悪かった。

「偽善者め! 被害者を救済したような顔をして、実際には莫大な金品を奪った盗人ではないか」

このように言って、当然ながら怪盗Zeroの正体を暴き、彼らを逮捕するための世界的な捜査網が敷かれたのは言うまでもないことであった。


さらに関連して、複数のダークウェブサイトの管理者たちも捕まった。

これも警察への情報提供から始まり、実際に管理者の元を訪れると、既に管理者は捕縛された状態であった。そして彼らがダークウェブで売買していた情報等も、全て押収できるように整理してあった。


もちろん彼らも通常の資産類は全て没収されており、ほぼ一文無し状態で警察行きになったようだ。当然この手口を見た者たちは、これも怪盗Zeroの仕業だと理解した。


この衝撃的な事件によって、大規模詐欺組織の大半が再起不能状態に追い込まれた。

関連して小規模な詐欺グループも、次は自分たちが狙われるのではないかと考え、しばらくの間は活動を控えるようになったという。久しぶりに特殊詐欺活動が停止した、静かな世界が実現した。


暫しの小康状態の後、再び詐欺グループの活動が再開された頃合いを見計らったように、怪盗Zeroも月に1、2度程度ではあるが、この後も時々現れては、詐欺グループやトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の摘発と、彼らからの資金没収活動を続けた。


このため、多くの犯罪組織にとっては「割に合わない活動」と認識されるようになり、犯罪頻度は大きく低下していくことになる。だが、それはまた別の話である。

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