<焦りだす黒幕たち>
天界の外れにある例の怪しげな屋敷では、今日も四仙会の4人が集まり、アレコレと陰謀を企てているようであった。
だが、今回は少々彼らの顔色も悪いようであった。
「全く、何をやっているのだ!」
「ダーズリー卿というのも、案外大した事がないようですな」
「一気に上級悪魔が2人も消滅させられたとはな」
「今回も例のリピウスとかいう人間の仕業だというが……人間にそこまでの力があるとは思えんのだがな。何か重大な我々の知らない事実が隠されているのではないか?」
4人が憤っているのは、人間界からの報告で「上級悪魔が2人同時に消滅し、その原因がリピウスによるものだ」という事を知ったからである。
「しかし、本当にリピウスの仕業なのか? 確か前回のカテリナとかいう上級悪魔は、リピウスも一緒にいたが、倒したのは杏子だったと聞いているぞ。杏子なら2人同時に相手をしても問題なく倒せるだろうが、リピウス単独ではちょっと無理な話に思うがな」
「その事よ。今回も我々の報告を受けていない何者かがリピウスに手を貸して、リピウスが倒したように見せかけているだけではないのか?」
すると、ここで隅に控えていた影こと、闇ギルドのハンターが口を挟んだ。
「申し上げたき事があります」
「なんだ? 言ってみろ」
少し不機嫌な口調で、四仙会の会長は影の発言を許した。
「はっ! 実は我々が掴んだ情報では、ハンター協会の会長も学園長とのよしみから、どうも嘉助への援軍を密かに送ったようなのです。その援軍というのが、デーモンハンターの女帝、『黒の魔女』ことジェシカ・ラングレーのようなのです」
「な、なに!!!」
四仙会の4人は驚きの声を上げた。
ジェシカと言えば、泣く子も黙る悪魔狩りの英雄である。この宇宙中の悪魔が恐怖するほどの、レジェンド級のハンターである。
「ジェシカだと! 奴は対悪魔に関しては、杏子以上の実力者だぞ。そんな奴が、今人間界に送られているというのか?」
「では、もしかしたら今回の件も、ジェシカが関与していたと?」
「はっ、今回の件に関与していたかどうかは、まだ掴めておりません。なにせ同行させた魔界衆の者4名も同時に撃破され、今は魔界の地下牢にて厳重に監禁されていますし、その場にいた特犯という人間界の対悪魔組織の者達も、リピウス到着時には全員がほぼ意識を失っていたそうで、リピウスがどのように戦ったのかという事が全く不明なのです」
「う~む……ならば、やはり時期的に見てもジェシカが関与していたと考えた方が、この事件の結果としては自然と言えそうだな……」
「はい。我々が掴んだ情報によると、ジェシカが人間界へ向かった事は確実と思われますので、十分にあり得る話かと。また、ジェシカは嘉助と杏子、共に学園時代の学友で、今でも親交があると聞いていますので、ハンター協会長からの命令というよりは、杏子達への義侠心もあるのかもしれません」
影の更なる報告で、会長は少し顔色が悪くなった。
「まずい、まずい、まずいぞ。杏子だけでも厄介なのに、ジェシカまで参戦したとなると……しかもダーズリー卿は、ここまで立て続けに3人の上級悪魔を失い、手駒の戦力自体も減衰している。このままでは計画の遂行も難しいのではないか?」
「その点ですが、我々の手駒である魔界衆に探らせたところ、ダーズリー卿は今回の損失自体はそれほど影響はないと考えているようです。むしろ兵士の増強を急ぎ、早目にC国政府を動かして、計画を進める方向に動いているようです」
影は先日集めた報告内容から、ダーズリー卿の動きも報告した。
4人は顔を見合わせていたが、
「今更計画を止める訳にもいかんだろうな……」
「うむ。その事よ」
「こうなったら、ダーズリー卿に任せるしかないであろうな」
「後は我らにできる事は、これ以上霊界からの援軍が発生しないように抑えるくらいか?」
「そうだな。その点は更に強化して動く事にしよう」
こうして黒幕達も、さらなるミカエル一派への働きかけを強化すると共に、ハンター協会や霊界学園への圧力も増加する方向で検討を進めたようだ。
いよいよ両軍が本気でぶつかり合う状況へと突入してきたと言える。




