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<フワッと嵌められた男>

嘉助達の同窓会が続く中、嘉助に霊界から呼び出しが入った。


「すまん。学園長から緊急会合の招集が来てしまったよ。ちょっと行って来るから、後は杏子の方で頼むね」

そう言って、あたふたと嘉助はワープの扉へと向かった。


(チャンス!)

とばかりに、リピウスも言い出せなかったおいとまのタイミングをつかみ、

「あ! 俺もちょいと野暮用が有ったような……」

とモゴモゴ言いながら、そそくさと嘉助の後を追ってワープ扉の方へ行くと、サッと消えてしまった。


一旦社宅の部屋に戻ると、そこにはメイさんがいつものようにパソコン画面に向かって何やら作業をしていた。

リピウスが入ってきたのを見ると、すぐに立ち上がり、

「お帰りなさいませ、ご主人様」

と、どこかのメイドカフェのような挨拶をする。


これは別に教えた訳ではないのだが、どうもネットでメイドカフェを研究したらしく、時々メイドカフェ風の対応をしてくる。

ただし、オムライスにケチャップでハートを描き、出す際に『ラブ注入』と言い出した時は、即刻そのフレーズは禁止にした。勿論『萌え萌えキュン』も禁句である。それらを聞くと、リピウスは蕁麻疹じんましんが出そうになるのだ。


「コーヒーでも淹れますか?」

とメイさんが聞いてきたので、リピウスは少し考えてから、

「いや、すぐ出かけるから今日は良いよ」

と言って、そのまま池袋の別宅へと移動した。


今日はそこから、池袋駅の方へと向かう事にした。


「あ~……なんか妙に疲れたな。どうもあの陽キャの集まりは苦手だよな……」

そんな事をブツブツ言いながら、駅が近づいてきたので、少し外れの路地へと入った。

すると、そこにはいかにも落ち着いた雰囲気の喫茶店が見えたので、リピウスはそこに入ってブレンドを注文した。


(へぇ~、まだこんな雰囲気の喫茶店も残っているのだな)

などと思いながら、今日の出来事などを振り返っていると、少し離れた席から妙な声が聞こえてきた。


「え! それってバレたらヤバいじゃん」

「しっ! 大きな声を出すんじゃないよ」


どうやら二人の男が、何やらヒソヒソ話しているようだ。

すぐにリピウスは霊力ドローンを飛ばして、男たちの様子を窺うことにした。


しばらく二人の様子を窺っていたが、概ね彼らの素性と会話の内容は把握できた。


一人は眼鏡をかけた地味でラフな服装の男だが、どうやら二流週刊誌の記者のようである。この男はしきりにビビっている様子を見せている。


もう一人は、スーツを少し着崩した感じで、どうも堅気かたぎには見えない雰囲気がある。

どこかの組関係かと思ったのだが、話を聞いていると私立探偵のようであった。ということは、恐らく前職は警察官、それも組対四課辺りかもしれない。


私立探偵が何かの写真を数枚見せながら、その扱いに関して指示を出しているようであった。

恐らく、その写真は何らかのスキャンダルか、事件絡みの写真なのだろう。それを週刊誌用の記事に書いて、掲載するように求めているようだ。

しかし、記者は何やら恐れているようで、しきりに断りたがっていた。


「だってよ、これってハニトラだろ? 出どころがバレたら、俺が吊るし上げられるんだぜ」

「大丈夫だよ。匿名の投稿が有ったと言えば、何か有ってもお前の責任にはならないだろうよ」

「いやいやいや、裏も取れていなかったのか? って俺が責められるだろうよ」

「大丈夫だよ。こっちには大物のバックが付いているんだからよ。いざとなったら、おまえの将来くらいは保証してくれるって」


こんな感じで、「やれ」と「いや」の押し問答を、延々と小声でヒソヒソやり合っている。


(なんだよ。誰かのスキャンダル捏造記事の強要話か……)

と思いながら、テーブルに置かれた写真をアップで見てみると……。


(え? ここに写っているのって!)


リピウスは危うく声を出して叫びそうになり、思わず自分の口を押さえてしまった。

リピウスが見た写真には、リピウスも知っている人物が、若い露出度の高い服を着た女性に迫っているようにも見えた。


その人物とは、以前の選挙時にリピウスが『フワッとした事を言う面白い奴』と見ていた、鷲見純二朗であった。

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