表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

220/284

<戦略会議>

何とかメイさんの言葉で会議室の空気は収まって、みんなで静かにコーヒーとケーキを味わいだした。

そして10時が近づいた時、ドアが開いて清君が入ってきた。

皆の視線が集まると、清君が言った。


「みんな、すまないが今日は先日の事件関連で、今後の重要な方針を説明したいと嘉助さんが言っている。日本だけではなく世界中の主だった者に集まってもらっているんだ。場所もERIの大会議室で行うので、みんなも僕と一緒にERIに来てほしい」


清君の言葉を聞いて少しざわついたが、それぞれ席を立ち、清君に従ってERIへ繋がるワープゲートに入っていった。


ゲートを出ると、そこはERIの大会議室であった。

既に大勢の協力者やERIの研究者が集まっているようだった。


「あら、ラヴィもジェームスも、ソフィーもいるわね」

舞達とも顔馴染みの主要協力者達の顔も見える。

その反面、全く見た事のない人達も混ざっているようだ。彼らは主要各国に属するエージェント達で、各国トップの指令でERIとの窓口として活動している者達であった。


「これだけ集まったのは初めて見るわね」

一番の古参でもある紫音も、これだけの規模の会議は初めての経験であった。


大会議場内はガヤガヤとかなり騒がしくなっている。

恐らく全部で50人以上が集まっているだろう。ERIの人達でさえ、これだけの関係者が一堂に会した事は初めての経験かもしれない。


そんな中、嘉助と杏子が会議室に入ってきた。

そのまま嘉助は正面の壇上に登り、全体を見回した。

それを合図に会議場内はシーンと静まり、全ての目が壇上の嘉助に注がれた。


「みなさん! 今日は非常に重要なお話をしたいと思います」

そう言って嘉助は切り出した。


「今日お話しするのは、ダーズリー卿の企みと、それを阻止するために我々が取る戦術・戦略的なお話です。これはある者からの提案に基づき、既に主要国の関係者とも共有しながら準備を始めている事ですが、先日世界同時発生した組織だった悪魔の襲撃事件によって、我々が想定しているダーズリー卿の企みが真実であるとの確証を得ました。そこで、ここに皆さんにも共有してもらい、今後は全員で力を合わせて、ダーズリー卿の企みを阻止する事に全力で臨みたいと思います」


一度静まっていた会場が、にわかに騒がしくなってきた。

しかし、杏子が大音響で「静かに!」と叫ぶと、再び会議場内は静寂に包まれた。


その後、嘉助はダーズリー卿の企みに関して、かなり詳細な内容を説明した。

それはC国、N国、R国という独裁政治の国家を傀儡化し、その軍事力を利用して世界征服を実現して、悪魔が支配する世界を目指すという壮大なものであった。


「それって第3次世界大戦じゃないか……」

「悪魔の支配って、頭がおかしいんじゃないか?」

「なんでC国などは、悪魔の支配を受け入れているのだ?」

「そんな話はあり得ないだろう!」


再び会場内はざわつきだしてしまった。

嘉助は壇上に置いてある水をコップに注ぎ、それを一気に飲み干すと、さらにもう一杯注いでから今度はゆっくりと飲んだ。


少しすると、ざわつきも収まったようなので、今度は少し細かい戦術に関しても説明した。

そのポイントとして、先日の世界同時襲撃事件が、世界大戦時の悪魔による後方攪乱作戦のテストケースであった疑いが強いことを述べた。


「みんなも知っていると思うが、中級悪魔1体と下級悪魔10体による襲撃だったわけだが、彼らが組織的に動いた結果、こちらは対処が難しく、どの地域とも半日以上、我々の討伐チームは主力を向けざるを得なくなってしまった。もし、これが世界中で何十カ所と同時に発生したら……そう考えれば、単なる後方攪乱の域を出た、恐ろしい作戦という事になるでしょう。だからこそ、今からでも我々も綿密な対抗策を講じる必要があるのです」


この話を受けて、再び会議場内では「ひそひそ」と隣同士で囁き合うような声が聞こえ始めた。

そんな状況を無視して、嘉助は強い声で断言した。


「この憂うべき状況に対して、我々霊界側も大きく支援活動に動く事が、先日決まりました」


この言葉に会議場内は再びシーンと静まり返った。

誰もが嘉助の次の言葉を待っているようであった。

嘉助も心得たもので、場内をゆっくりと見回し、それからコップの水を飲み干して続けた。


「霊界からは100名の悪魔専門討伐チームが派遣される事になりました。彼らは過去にも多くの悪魔討伐に参加したデーモンハンターチームであり、霊界内でも屈指の悪魔狩り専門家で構成されています」


嘉助の言葉に、会議場には「おー!!!」という感嘆の声が満ち溢れた。

今までの暗い話から、一転して光明が差し込んだようであった。嘉助はさらに続けた。


「さらに霊界警備隊からも、相当数の支援部隊が派遣されることが決まりました。警備隊に関しては、下級悪魔相手であれば確実に対処できる精鋭です。そして先のデーモンハンター達は、中級悪魔は勿論、上級悪魔討伐の経験者も複数含まれています。これらの部隊と、各国の特犯チームが協力して、悪魔達の後方攪乱チームを完全に排除し、各国の軍隊が悪魔に支配された軍隊の撲滅に集中できる体制にしたいと考えています」


嘉助の力強い言葉に、会場内には安堵の声がさざ波のように広がっていった。

紫音や舞達も、その様子に「これなら安心ね」と顔を見合わせて頷き合っている。


そんな中、リピウスは少し皮肉っぽい表情をしながら、(嘉助も無理しちゃって、本当にそんな支援部隊を天界が認めるとは思えないのだけどな……)と内心思いながら、嘉助を見つめていた。


はてさて、リピウスの予感は当たっているのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ