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<やはり鍵は霊昌石>

霊界での会議が終わり、嘉助達は事務所に戻った。

そこには杏子の他にも、リピウスとデュークも待っていた。


「おっ帰り〜!」

杏子は機嫌が良いようだ。


「お! どうした? 何か良い事でもあったのか?」

嘉助が意外そうな顔をして聞いた。


「うふふ。実はね、リピウスがすっごい美味しい銀座のケーキを買ってきてくれたんだよ。1個千円以上するんだぞ」

顔中から笑顔がこぼれるような杏子であった。


「ほう、それは楽しみじゃな。もちろんわしの分も有るんじゃろ?」

ヨルダ爺が欲しそうな顔をして、スタスタと足早に近づいて来た。


「ヨルダ爺ごめんよ」

デュークが先に謝ってきた。


「あのさ、みんなが美味しい美味しいって言うからさ、清君達にも渡したので、全部なくなってしまったのだよ」

リピウスが申し訳なさそうに言う。


「なんと! ……」

ヨルダ爺はヘタヘタとその場に座り込んでしまった。


「ごめんよヨルダ爺。おいらも美味し過ぎて、うっかりヨルダ爺の分を忘れてしまったんだ」

デュークが本当にすまなそうに謝っている。


「まあ、今度また買って来るからさ。今回だけは勘弁な」

リピウスも実に申し訳なさそうにしている。


「で、会議は上手くいったのかい」

杏子が話題を変えてきた。


「うん。上手くいったというか……学園長達にも魔導兵器に関しては認識してもらえたよ。ただ、現段階では霊界内で、この事は内輪だけにしておく事になってね。下手に動くと四仙会に気取られて、ダーズリー卿にまで筒抜けになってしまうからね」


嘉助が答えると、杏子も真剣な顔になった。

「確かにそうだな……。こういう話はあたしには苦手だね。当面は嘉助に任せるからよ」

杏子はアッサリと放り投げた。


「それにしても、霊昌石じゃな。問題は……」

ヨルダ爺がようやく復帰したようで、ソファーに座ると呟いている。


「霊昌石がどうかしたのか?」

デュークが不思議そうな顔で覗き込んできた。


「魔導兵器に対抗して、霊力による防御バリア装置を作れないかという話なんだよ」

嘉助が答えた。


「それは俺も考えていたよ。ほら、霊界では攻撃兵器の作成は絶対に無理そうじゃないか。でも防御兵器であれば、可能性はあると思ったからね。その程度の装備を考えないと、今度は人類側が余りにも不利になってしまいそうだしね」

リピウスも賛同した。


「なあ、リピウスは霊昌石の在りかなんて知らないよな?」

嘉助が唐突に言い出した。


「おいおい、それを俺に聞くか? 霊昌石なんて人間界には無いだろうが」

リピウスはそっけなく答えた。


「ほっほっほ。嘉助や、それをリピウスに求めるとは、お前も随分と追い込まれたようじゃな」

ヨルダ爺は嘉助の様子が面白く感じたようだ。


「そうだぞ嘉助。あたしらだって、人間界に霊昌石があるなんて聞いたことないじゃないか」

杏子も大声で否定した。


「いや、人間界にも有るよ!」


突然事務所に入ってきた者が、いきなり言い出した。

みんなが驚いて声の方を見ると、いつものワープドアからジンとトンバが出てきたところであった。


トンバというのは、霊界のグルメハンターとして名を馳せている、やはりレジェンド級のハンターである。同時に嘉助、杏子、ジンとは学園時代の同級生で、長い腐れ縁の仲でもあった。


「ん? 今のはジンか?」

嘉助が聞いた。ジンは頷くと、みんなの方へ近づいてきて言う。


「突然割り込んですまんな。ちょうど入った途端に杏子の大声が聞こえたんでな。つい答えてしまったよ」


「大声で悪かったな。これは地声だよ」

杏子が頬を膨らませている。


「ジン! お前いつ人間界に戻ったんだ? 確かどこかの国から呼ばれていたのでは?」

嘉助が驚いたように聞いた。


「ああ。あの話は断ったんだよ。最近老師も忙しそうにしていたんでね。もう少し人間界に関わっても良いかと思ってさ。それに……」

と言って、横に並んだトンバを見た。


「よう! 嘉助に杏子も、久しぶりだな」

トンバが陽気な声を上げた。


「久しぶりなんて物ではないだろうが……でも良く来たな、歓迎するぜ」

杏子はトンバとも気が合うようで、懐かしそうな笑顔を送っている。


「トンバがさ、久しぶりに人間界で食べ歩きをしたいと言ってきてね。私も久しぶりだし、暫し付き合う事にしたって訳だよ」

ジンが少し照れ臭そうに話した。


そこで嘉助は急に思い出したように詰め寄った。

「で、さっき人間界に霊昌石があるってのは本当なのか?」


「ああ。と言っても人間が行けるような場所ではないけどな」

ジンが言うと、嘉助は「もったいぶらずに、どこに行けばあるんだよ」と急かした。


「そりゃあ霊昌石が有るのは、『霊峰』に決まっているじゃないか」

ジンがそう答えると、みんなは一斉に声を揃えた。

「霊峰!」


「おいおい、難しい話は置いといて。せっかくうまいケーキを土産に持ってきたのだから、まずはそっちを味わおうぜ」


トンバが無遠慮に割り込んできて、テーブルにケーキの入った箱を置いた。

それを見た杏子が叫んだ。


「おっ! さっきリピウスが持ってきたグランメゾン銀座のフルーツタルトじゃないか!」


それを聞いてヨルダ爺が叫ぶ。

「なんじゃと! 今度こそはわしの分も有るんじゃろうな!」


嘉助とジンは、そんな様子を見て「やれやれ」と思わず顔を見合わせた。

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