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<魔導兵器への対策会議>

ERIの主任研究員コスタから、以前依頼しておいた「霊昌石の兵器利用」に関する報告書が提出された。几帳面なコスタらしく、分かりやすく丁寧にまとめられていた。


それを受け取ると、嘉助は霊界学園の学園長へ連絡を入れ、学園の主だった者に集まってもらい、緊急で会議を行う手配をしてもらった。


「学園長、急なお願いで申し訳ありませんでした」

嘉助がコスタを伴って学園の小会議室に入り、挨拶をした。


「いや、急なのは毎度の事さ。それより送ってくれた資料を見たのだが、だいぶ厄介な話のようだな」

学園長はいつも通り快く嘉助らを迎えてくれた。


コスタは初めての参加で、いきなり学園長や閻魔様、ヨルダ老師といった、霊界でも重鎮と呼ばれる者達が集まっている場に、かなり緊張しているようであった。


「早速じゃがな、まずは嘉助からザっと説明をしてもらえんかな?」

ヨルダ老師が口火を切った。


嘉助はまずは四仙会とダーズリー卿の企みを説明した。


「ほう! 奴らはそのような事を企んでいたというのか……」

閻魔が驚きの声を上げた。


「誤解の無いように言っておくがな、あくまでリピウスの妄想話じゃからな。確たる証拠がある訳では無いので、その辺は理解しておいてほしいのう」

ヨルダが一応の念を押した。


「しかし、今までの四仙会の動きといい、悪魔伝説との関係といい、リピウスの妄想というのも、意外と信憑性を感じさせますね」

評議会議員のゼルはリピウス説を支持しているようだ。


「で、そのダーズリー卿の企みに関連して、とんでもない物を作っている可能性があるというのが、今日の本題なのだな?」

学園長が話を進めた。


嘉助は人間界の軍事バランスから見て、ダーズリー卿が魔導兵器の開発を行っている可能性に言及し、その仮説に基づいてコスタがまとめた内容を説明した。


「なるほど……。表面的には人間の国対国という体裁を保ちつつ、C国側の不利を覆すために、ダーズリー卿も準備しているというのだな?」

閻魔が確認の声を上げた。


「はい。そうでもしなければ、ダーズリー卿の思惑通りに、人間界の支配は望めないでしょうからね」


嘉助が答えると、ゼルがすぐに聞いてきた。

「今の軍事バランスの件も、リピウスの妄想話なのですか?」


「いや、これは彼の方で色々と各国の戦力分析を行った結果ということです。もちろん私の方でも後日各国へ確認をしましたが、米国でのシミュレーション結果でも、リピウスの指摘とほぼ同じ結果が出ていました。この内容は現実的な実態と考えてよいと思いますよ」


嘉助の説明に、一同は頷いていた。


「となると、やはり何らかの手をダーズリー卿なら打ってくるだろうな」

学園長が言った。


「そうですね。魔導兵器の開発というのは、妥当な指摘と思いますね。彼らは既に魔晶石を用いて、各種霊界の装置と同等の物を作っていますからね。技術的にも優れていると言えるでしょう」

ゼルも思案げな表情で肯定した。


「でだ、コスタ君だったな。君は魔導兵器の実用性に関しては、どう思っているのかな?」


学園長から指名をされて、コスタは随分と慌てたようであった。ヨルダ老師が声をかけて励ましたので、少し落ち着きを取り戻して答えた。


「は・はい。あの……これらの研究は禁忌事項なので、あまりおおっぴらにはできないのですが……」

と、汗を拭き拭き話し始めた。


コスタによると、以前嘉助らに話した通り、現実的な武器は出力1万単位クラスの携帯武器が中心になるのではないか、との事であった。

それに加えて、だいぶ大型になるが、人間界の戦車相当の兵器として、2万〜3万程度の高出力兵器も可能だろうという事であった。


「もちろん、それに相当する質の良い大粒の魔晶石が入手できるならの話ですが」


さらにコスタは、防具に関しても言及した。

「こっちの方が現実的なのですが、霊力1万相当の防御バリア装置なら、より低価格で量産しやすいと思います。人間界で使っている防御盾の形状に仕込めば、戦闘上は相当に効果的と思いますね。これも質の良い大粒の魔晶石が手に入るなら、広範囲の強力な防御バリア装置もあり得ると思います」


「うむ〜……。防御兵器の方が低コストで作りやすいという事か……」

学園長が唸った。


「コスタ君、その盾というのは、霊昌石を使っても作れるのかね?」

閻魔が興味深げに聞いてきた。他の者達も一斉にコスタに視線を送った。


「は・はい……。霊昌石が入手できるならば、作る事は難しくないかと思います」

コスタの答えに、各人が顔を見合わせて何かを考えているようだ。


「もしも霊昌石があれば、人間界でも……そう、ERIでも製造可能という事かい?」

嘉助が身を乗り出すようにして聞いてきた。


「は・はい……。ですが、それは天界の科学技術庁からの許可が必要ですし、実際に製造となれば、製造工場や霊力封入作業の者達も大勢必要になりますよ。そんな予算は今のERIにはありませんよ」


コスタは少し慌てたように答えたが、嘉助は首を振った。


「いや、予算はあるよ。最近のERIは霊力無力化装置や鑑定装置、霊力探知器等、各種装置を世界各国にレンタルしているからね。その費用だけでも莫大なものにはなっているよ。……ただ霊昌石は霊界から持ってこないと無理だね。今でも各種装置用に霊昌石を融通してもらっているのに、これ以上求めても、まず許可は出ないだろうね……」


嘉助は答えながら、「やはり無理かな?」と首を傾げた。


「嘉助は何を考えているのかな?」

学園長が問う。


「向こうが魔導兵器を導入するというのなら、こっちも霊力の防御兵器は最低必要だと思いましてね。でも、霊昌石の入手が厳しいですかね……」


「確かに何らかの対策を打たねば、みすみすダーズリー卿に人間界を支配されてしまうという事だからな……」

学園長も悲壮な顔つきで呟いた。


「私の方でミカエル様にお願いしてみましょうか?」

ゼルがみんなに聞いたが、学園長は首を振った。


「いや、それはまだ止めておこう。我々が魔導兵器対策を検討していると四仙会に知られれば、そのままダーズリー卿にまで漏れてしまうからな。こちらの動きは、まだ気取られない方が良いであろう」


他の者達も同意の姿勢を見せたので、今日の所はここまでとして、嘉助とコスタでもう少し話を詰めていく事になった。

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