<ソフィーとシェリエ>
裏口の攻防に決着がついた時、ソフィーへリピウスから連絡があった。
鉄十字団の生き残りが1名、裏口ゲートの方へ行くから捕まえて欲しいと。
そして、その1名が元絹の亡霊窃盗団のシェリエである事も伝えた。
『なぜあたしに?』
『いや、なんか決着をつけたいかな?って思ったんでね。嫌なら俺がやるよ』
『分かったわ。あたしがやるわ。あたしが決着をつけるべきよね』
『うん。じゃあ任せたよ』
そんなやり取りがあって、ソフィーはシェリエが来るのを待ち構えていたのであった。
シェリエの顔を見ると、ソフィーには抑えられない怒りが込み上げてきた。
「シェリエ! なぜだ、なぜ裏切った!」
ソフィーが怒気を込めて問い詰める。
「……」
シェリエは何も答えない。
「シェリエ!」
叫びながらソフィーが一歩踏み出すと、いきなりシェリエは地面に向かって衝撃波を放った。
土煙を上げ、それを風で操作して竜巻にし、ソフィーへと襲い掛からせる。
「ふざけるな!」
叫び声と共に電磁バリアで竜巻を一瞬でかき消した。
しかし、シェリエは竜巻の影に隠れてその場を脱しようとしていた。
だが、シェリエは動けなかった。
気づくと全身を不思議な糸でグルグル巻きにされ、身動きできなかったのだ。
「駄目だよ〜。ちゃんと親友には向き合わないとね」
背後から声が聞こえた。リピウスであった。
「さて、ソフィーはシェリエをどうしたいのかな? 殺したいなら殺せば良いよ。今なら俺以外は誰も見てないからね。でも、それで気が晴れるとも思わないけどね〜……」
グルグル巻きで動けないまま、シェリエは目だけを動かしてソフィーを見つめた。
ソフィーも鋭い目でシェリエを睨んでいる。
「……なんで?」
ソフィーが再び問いかけた。
「あんな生活から抜けたかったんだよ……それだけだよ」
シェリエは全身の力を抜いて、目を伏せながらボソッと答えた。
「それだけ……それでみんなを殺したのかよ!」
ソフィーの全身に、怒りから光が纏わりつき輝き出した。
「殺しなよ! 殺せ! 殺せ! あんたになんて、あたしの気持ちは分からないんだよ!」
シェリエが叫ぶ。
「ウォーーーー!!!」
叫びながらソフィーが天を仰ぐと、全身から凄まじい霊気と共に、強大なレーザー光線が天空に向かって伸びていった。
その衝撃で周囲の空気も震えている。
光線は天をも突き破るように、高く、高く伸び続ける。
そして――。
フッとソフィーの体から力が抜け、光も収まって消えた。
「リピウスさん、その娘は貴方から嘉助さんに渡してもらえます?」
ソフィーの声は、既に冷静な調子に戻っていた。
「それで良いのかい?」
「ええ。その娘は生きて罪を償うべきなんだ。そうすべきだとあたしは思うんだよ」
「分かった。ソフィーも疲れただろ。ゆっくり休むといいよ」
「ありがとう」
そう言って、ソフィーはERIの建物へと向かって歩いて行った。
リピウスはそれを見送ると、杏子へ念話を送り、シェリエを引き取りに来てもらった。
これで全てが終わった。
「さてと、帰ってメイにコーヒーでも淹れてもらおうっと」
リピウスはさっさと社宅の部屋に戻って行った。




