<ERI攻防戦>
ロサンゼルス郊外にあるERIの研究施設。
夜の8時半を回った頃、周囲を囲む森の中に3つのゲートが開かれた。
ゲートからは、ゾロゾロと鉄十字団の者たちが出てくる。
「よし、手筈通りに散会しろ!」
団長のボーマーが指示を出すと、10名の影が静かに正面口へと向かって行った。
ゲートに残っていたのは、悪魔教団の顧問という男であった。
「さてさて、どう展開するのかな?」
そう呟くと、ニンマリと笑った。
正面口の10名が配置に着いた頃、裏口へ回った副団長ハマーを含む8名も、既にERIのグランド近くで配置に着いていた。
「正面が突入したら、少しの間を置いてから我々も突入する」
ハマーの声に、他の者たちも頷く。
そしてもう1ヵ所、ERIの側面に当たる林の中にも、4つの影が控えていた。
「我々は合図があるまでは待機だ」
この遊撃隊のリーダーは、元絹の亡霊窃盗団のシェリエであった。
彼女は団を裏切った後、鉄十字団に幹部として迎えられていた。その手引きをしたのも、魔界衆と悪魔教であった。
午後9時少し前に、悪魔教団の顧問へ社宅襲撃組から連絡が入った。
「今から突入する」という知らせであった。
顧問の男はすぐさま、ボーマーへと合図を送った。
それを受けてボーマーは「突入!」と各員に伝え、正面玄関の柵を飛び越えてERI敷地内へと突入した。
彼らが敷地内に入ると、突然、ERIの屋上に設置されていたライトが一斉に点灯し、ボーマーたちを照らし出した。
「クッ!」
鉄十字団の面々は、突然のライトに眩しそうに手をかざした。
「はっはっは! 待っていたぞ鉄十字団」
そう言って、ライトの光を背に一人の男が近づいてきた。
その両側にも男女が続き、さらにその両側にも人影が見えた。
「クソ! 待ち伏せされていたか」
団長は一瞬怯んだようであったが、すぐに気を取り直して、全員に突撃命令を出した。
「かかれ!」
その声を合図に両軍から様々な霊力攻撃が放出され、互いに障壁を張って防ぎながら接近していく。
中央を先頭切って進むのは団長のボーマーであった。
それを迎え撃ったのはジェームスである。
ジェームスは火炎弾を次々に放って、ボーマーを弾幕に包んだ。
しかしボーマーは水の渦を体の周りに纏い、火炎弾を防ぎつつ、水刃を無数に放ってジェームスを切り刻もうとしている。その攻撃もジェームスに届く前に、炎の障壁によって全てを打ち消されていた。
両サイドでは、鉄十字団の主力組2名も、それぞれラヴィとメイさんに対峙していた。
こちらもそれぞれ得意な攻撃を放ちつつ、接近していく。
ちなみに、ジェームスが中央になったのは、彼が名乗りを上げたからであった。
「今回は俺が中央で奴らの頭を叩くからな。防御的な戦いは向かないが、今回は手加減抜きでぶっ放せるチャンスだから、絶対に譲れないからな」
そう言い張ったのである。
ラヴィはメイさんを団長に当たらせたかったが、嘉助が「それで良いんじゃね」とあっさり了承したので、そのままで受け入れた。
ラヴィが対峙したのは炎使いであった。相手も火炎弾を連発してくる。
しかし、日頃ジェームスと訓練することが多いラヴィにとっては、やりやすい相手であった。
簡単に土壁で火炎弾を弾きつつ、相手の足元から土の棘を生やして攻撃した。
相手は驚いて飛び上がり、炎の刃で薙ぎ払った。
しかし空中に出たため、そこを追撃されて、まともに受けて吹き飛ばされた。
致命傷ではないが、完全に出鼻をくじかれた格好になり、以降は防戦一方になっていく。
メイさんの相手は風使いのようだ。風の刃を無数に放ってくる。
それをメイさんは軽やかなステップで躱しながら、一気に接近戦へと持ち込んだ。
そこからはメイさんの独壇場であった。突きや蹴りを次々と繰り出し、相手に霊力を使わせる隙すら与えない。
下段蹴りに膝を落とし、そこへ上段からの踵落としが襲う。
何とか転がるように躱したものの、次は下から蹴り上げてくる。
仰け反って躱したところに、正拳突きが炸裂して、数メートル飛ばされてしまった。
こちらもメイさんが圧倒する展開であった。




