<社宅攻防戦>
日本で協力者達の会議が開かれた土曜日の午後。
昼食を終えていつものように、紫音、舞、サトちゃん、真美ちゃんにリピウスも加わった5人で、アフタヌーンティーを楽しんでいた。
その様子は何時もと変わらず、和気あいあいと談笑しているように見える。
1階のコンビニには店長の当真がレジに入り、店員の楓は店内の掃除をしている。
カウンターで見えない位置にノートパソコンが置かれており、当真は時々その画面を見ているようであった。
『嘉助、奴らに動きは無いか?』
なぜか当真に対して、「嘉助」と呼ぶ念話が入った。
『まだ何も動きは無いね。でも今、店内に居る3人の客が少し怪しいね』
当真は念話で返した。
『いや待って、奴が動き出したようだ』
当真は画面を見ながら伝えた。画面には一人の男が映っている。
彼は1階から地下へと階段で降りると、関係者以外立ち入り禁止の扉を開けて、スッと中に入っていく様子が映っていた。
『やはり、奴が間者だったな』
その男は先日、霊界から監視員の応援に来た警備隊員3名のうちの一人であった。
彼が入っていった部屋は機械室であった。そこには社宅を守るために設置した、結界装置が置いてあった。
彼は結界装置へ行くと、その横に別の装置を置いた。そして何か連絡をしているようである。
『そろそろ来るぞ』
当真は先ほど念話を送ってきた相手に、そう伝えた。
次の瞬間、社宅全体に違和感が発せられた。結界が切られたようである。
そしてさらに新たな違和感と共に、別の結界が社宅全体を覆った。
切られた結界は、嘉助たちが設置した「侵入防止用」の結界である。
そして新たに設置された結界は、逆に「社宅内から出ることを防止する」結界であった。
『来る!』
当真が伝えるのと同時に、店内にいた3名の客が、当真と店員に襲い掛かってきた。
2階の会議室でも、結界が切られ、別な結界に張り替えられたことは感じていた。
舞が叫んだ。
「みんな、来るよ!」
その声が終わると同時に、2ヶ所のドアが蹴破られ、黒装束の忍者っぽい風体の者たちが、それぞれに魔力攻撃を放ちながら会議室内に飛び込んできた。
黒装束の一人が「土龍堅牢!」と叫ぶ。
一瞬にして会議室内にいた全員が、岩壁に囲まれた次元結界内に閉じ込められた。
「もうお前たちに逃げ道は無くなったぞ!」
リーダーらしき男が不敵に言う。
その間も黒装束たちからは、次々と魔力攻撃が繰り出されている。
前のドア近くにいたリピウスが、瞬時に防御障壁を張って守っている。
紫音がなぜか煙幕を張って、次元結界内の視界を奪った。
「馬鹿め! 俺たちに対して視界を奪うなど自殺行為であろう」
そう言いながら、黒装束の者たちは襲い掛かってくる。
煙幕の中、攻防の光や剣戟が響く。
「リピウスを見失うなよ! 奴だけは絶対にここで仕留めるんだ!」
黒装束のリーダーらしき男が叫ぶ。
「グワーーー!」
「ギャー! ゴブッ……」
だが、返ってきたのは仲間の悲鳴であった。




