<緊急会議>
ここはERIの会議室。
今日は嘉助からの緊急招集で、主だった者達が集まっていた。
嘉助と杏子の他、監視員として清君と当真。協力者は紫音、舞、リピウス、ラヴィ、ジェームス。
ERIからは主任研究員のコスタと、最近創設されたERI警備班のボスコ班長が参加している。
「今日はちょっと厄介な情報を得たんで、みんなに集まって貰ったんだよ」
嘉助が言いながら皆の顔を見まわした。全員の注目を集めた事を確認すると、清君に説明をお願いした。
清君はスクリーンに資料を映しながら説明した。
彼の話では、鉄十字団と悪魔教団が協力関係にあり、そこに魔界衆も関与しているという。
そして彼らの目標は、第一がERIの施設であり、鉄十字団22名とサポートする魔界衆が最低3名程度参加する見込みであった。
さらに第二目標が「日本の社宅」だと説明した。
こちらは鉄十字団は関与せず、恐らくは魔界衆主体で襲ってくる可能性が高いと予想している。
「以上の事から、近々ERIに大規模な襲撃が行われると思われます。同時に社宅も襲撃を受けるでしょう」
ここで清君は説明を一旦区切った。
「ERIと日本の社宅を同時にですか?」
その質問に嘉助が答えた。
「リピウスが得た情報だと、そういう事になるね」
全員が顔を見合わせながらザワザワし出す。それを嘉助は手で制してから続けた。
そして清君が補足の説明を始めた。
今度は鉄十字団と魔界衆の戦力分析であった。
まず鉄十字団だが、3方向から攻めてくると分かっている。
正面: 団長(霊力18万)と主力2名、その他7名。
裏手: 副団長(霊力15万)と主力1名、その他6名。
遊撃隊: 残る主力1名を含む4名。
魔界衆に関しては、社宅襲撃は10名以下であろうと予測している。
魔力も10万〜最大で20万が一人居るかどうかというレベルらしい。
ただし魔界衆の場合はかなりの特殊技能を持っており、戦闘にも慣れていることから、魔力だけで判断する事は危険だとも付け加えた。
「いつ襲撃してくるのですか?」
ラヴィが嘉助に質問した。
「うん。そこはね、僕と杏子が霊界に呼び出されているので、その時に襲撃してくるだろうね」
嘉助があっさりと言う。
「え! 嘉助さんと杏子さんは居ないのですか?」
集まった協力者が驚きの声をあげた。
「うん。まあその辺はね、僕に任せておいてくれないかな? なにせ呼び出し者が管理部長程度だからね。いざとなったら幾らでも融通もきくと思うしね」
嘉助は何やら秘策でもあるのか、明言はしないものの考慮しているようであった。
そして、対応するERI側の体制を付け加えた。
ERI側としては、正面をラヴィとジェームス、メイさんが中心になり、他に4名ほど霊力5万〜10万前後の者達が加わり対応する。
裏手はソフィーと仲間2名に、他から2名が参加する。
日本の協力者に関しては、メイさん以外は社宅側に回る事になっている。ただ、その辺の話になると、はっきりしない言いようであった。
また警備班に関しては、相手が人間になるため、保護すべき人達の避難誘導と防御に専念するという事であった。
「なあ、メイさんって戦えるのか?」
ジェームスが興味津々に聞いてきた。
「ああ、多分君らよりも強いと思うぞ。一応、霊力20万クラスの戦力だからな」
「え?」
杏子の言葉に一斉に反応した。
「まあ、その辺はあまり触れないで欲しいな。メイさんに関しては、ちょっと特殊な事情があって、ここでは詳しく説明できないんだよね」
慌てて嘉助がフォローした。
「メイさんの実力が分かりませんが、今の話であれば、だいぶ楽になりますね」
ラヴィが少し安心したような表情で言うと、なぜか嘉助が表情を暗くしている。
「いや、それがね……」
嘉助が言いかけて少し躊躇している。代わりに杏子が言った。
「実は、奴らはドーピング薬を持っているらしいんだよ」
「ドーピング薬?」
この言葉に一同が驚きの声を上げた。
「そうなんだよね。それを飲むと戦闘力が2倍になるらしいんだよ」
嘉助の言葉に、全員が沈黙してしまった。
嘉助は補足として、ドーピング薬の概要を説明した。
ドーピング薬は禁止薬剤なのだが、飲むと一時的に霊力値が2倍相当に跳ね上がる。
ただ副作用として精神への負担も大きく、下手をすると暴走する危険性もあるらしい。
効果時間は概ね2時間程度だと言われている。
「結構ヤバイ薬だな」
「そこまでして、奴らは何がしたいんだろうね?」
と、リピウスが意見を述べた。
「俺が思うに、急激に霊力が上昇しても、人間の場合は肉体が対応できなくて、実質の戦闘力は1.5倍にもならないと思うぞ」
「なるほど、確かにね。人間の場合は我々とは違って、常に肉体的な制約を受けるからね。リピウスの言う通りかもしれないな」
「ああ、余程事前に何度もドーピングして、そのパワーに体を慣らしておかないと、30万以上のパワーが出ても、体が振り回されるだけで、下手したら動きが鈍ってしまうだろうよ」
「まあ、そういう事もあり得るけど、事前に試してから来る可能性もあるからね。一応は30万クラスの怪物と戦うという事を前提にしておいてくれるかな」
こうして緊急会議を終えて、ERIも臨戦態勢に入っていく事になった。




