<閑話:ERIの談話室にて>
ソフィーが協力者になると決めて数日後。
ERIの談話室でラヴィとジェームスが談笑しているのを見て、ソフィーは挨拶に近づいた。
「あの、ちょっとよろしいですか?」
ソフィーに声を掛けられ、ラヴィたちは少し驚いたように彼女を見上げた。
「あ・ああ、ソフィーさんだね。体の方は大丈夫かい?」
「はい。もうすっかり良くなりました」
「あ、俺はジェームスな。よろしく」
「インドから来ているラヴィです」
二人が名乗ると、ソフィーは改めて挨拶し、椅子に座る。
「ジェームスさんって、人間界最強なんですよね?」
「まあ、霊力値的にはそうらしいな。でも強さで言ったら、ラヴィの方がまだまだ強いぜ」
ソフィーがラヴィに目を移すと、ラヴィは首を振りながら答えた。
「それで言ったら、圧倒的にリピウスだろうね。彼は上級悪魔と互角に戦ったらしいからね」
「上級悪魔?」
「あ、ソフィーは知らないか? えと、人間界では『呪霊』って呼んでいる事が多いかな?」
「呪霊なら聞いたことはあります。でも、それほど極端に強いとは聞いていませんが」
「普通の呪霊はね。ほら、アニメ的に言うと『特級呪霊』ってのが居るんだよ」
「本当にそんなのが居るんですか?」
「杏子さんに聞いたら、霊界的にもトップクラスの戦士でないと対応できない存在らしいぞ」
「では、お二人でも?」
「う〜ん……俺らはまだ出会ったことが無いからな」
「ですね。リピウスは既に4回も出会っているらしいけどね」
「リピウスって人は、何か特殊な能力で上級悪魔を探し出しているとかですか?」
「さあね。嘉助さんも杏子さんも、わけがわからないと言ってたよ」
「それよりさ、俺はあのメイさんてのが気になるんだよな」
ジェームスが、ソフィーが来る前に話していた内容に戻した。
「メイさんですか?」
「ああ。ソフィーは意識を失っていたから知らないだろうけど、あの時リピウスに呼ばれてやってきたメイドさんなんだよ」
「メイドさん? リピウスって富豪か何かなんですか?」
「いや違うらしいが、そう言えば執事も居るって言ってたな」
「その辺もリピウスってのは謎なんだよね。嘉助さんに聞いたら、触れない方が良いって言われたけどな」
「リピウスって人は謎が多い人なんですね」
「そうだな。姿は純日本人で、戸籍はアメリカで、でも所属は日本の協力者だからな」
「そうですね。あと紫音さんが言っていましたが、とんでもなく頭が良いのに、抜けていて軽薄だとか。能力も一見普通なんだけど、実はとんでもない能力ばかりだとかね」
「まあ、確かに能力は凄いよな。ソフィーのレーザー攻撃も、平気な顔して防御していたからな」
「彼もレーザー光線は扱えるそうだよ」
「あの時も居たんですね……あ! 途中で紫音さんとは別な声が聞こえたけど、もしかして?」
「多分リピウスだな。ソフィーの仲間達にも、ソフィーに声を掛けるように指示していたみたいだしな」
「そうだったんですね。あの時、仲間達の声が無かったら、私は元に戻れなかったでしょう」
「あの日は『冴えているリピウス』だったらしいぞ。紫音には何度も頭を殴られていたけどな」
「若い人なんですか?」
「それも謎なんだよ。見た目は30代ってところかな? でも、あの姿も実は変化している姿らしいぞ。嘉助さんもリピウスの素の姿は見た事無いって言っていたし」
「僕が聞いた話だと、実際はかなりの高齢者だとか」
「俺は逆だな。実際の姿は20代の若者だって聞いたぞ」
「本当に謎の人なんですね」
結局、話題はリピウスの事ばかりになってしまった。
彼らがリピウスの本質を知るのは、まだ先の話であった。




