<義体でパワーアップ>
リピウスはカテリナとの戦いの後、色々と考えさせられるところがあった。
自分の霊力値は122万強。本来であれば杏子と同様に、簡単にカテリナの魔核を破壊できる力が有るはずだ。
だが実際には、現状の霊力パワーは最大でも40万程度が限界であった。安定して力を発揮できるのは35万程度である。
原因は肉体の耐久度にある。人間の肉体は、どんなに鍛えても限界がある。
普通であれば、10万程度のパワーでさえ耐えられないであろう。何もしなければ5万程度で限界が来そうである。
リピウスは霊力によって、戦闘時は肉体強化を施している。それでも40万にもなると肉体が悲鳴を上げてくる。だから短時間ならパワーも上げられるが、そう長くは持続できない。
そこで考えた。肉体が無ければ……代わりに義体を使えば、現在の限界を突破できるのではないか?
そこでまずは、幽体離脱してセバス用に用意されていた予備の義体に入り、試してみる事にした。
その結果、身体への負担が無い分、パワーを上げても安定して動けることが分かった。
流石に最大パワーまで出すと、セバスの義体でも限界が来るようではあるが、それでも以前のような振り回される感覚は無い。
(これがスーパー霊界人の感覚なのか……)
リピウスは感動していた。今までは見られなかった景色が眼前に広がる。このスピードとパワーは、とても人間としては味わえないであろう。
(ん? 杏子さんの義体って、どうなっているんだろう?)
素朴な疑問が生まれた。セバスの義体は一世代前の戦闘タイプだが、それでも最高級品であり、耐久度は現在の最新型を遥かに上回っていると聞いている。それで強度100万だ。
到底、杏子の最大パワーには耐えられないであろう。
(今度聞いてみようかな?)
後日分かった事であるが、杏子も通常は市販の高級品を使っているので、やはり耐久度は80万らしい。ただ、もともと使っていた戦闘義体は特注品で、耐久度130万という化け物義体だそうだ。
そして、その元となったのがセバスの義体であった。
なのでセバスの義体は、市販品では最高の耐久度を持っていた。ただし、ここまでの耐久度を必要とすること自体が通常はあり得ないので、高価すぎる事もあってすぐに廃盤になってしまったそうだ。
だが何故かヨルダ爺は、このモデルを3体も持っていた。今はそのうち2体をリピウスに貸し出していたのであった。
こうして自分の限界は突破できたわけであるが、いちいち幽体離脱をして訓練しなければならず、それをデューク達に見せる訳にもいかない。そのため、時々密かにセバスと組み手を行って訓練し続けていった。
通常は戦闘力80万程度に設定して行っているが、それでもディメンションルームが破壊されそうなほどの激しい衝撃が発生する。
もし地球上で80万の力が衝突しあったら、下手したらそれだけで地球が滅亡しかねない程のエネルギーを発するのだから恐ろしい。
(これがヨルダ爺達が恐れた、霊力制限無しの世界では滅びてしまうと言う意味なのだろうな)
リピウスは改めて、霊力の恐るべき力を実感したのだった。
だが同時に、このパワーで杏子さんと手合わせをしてみたいとも思えてくる。
(時期が来たら、本来の霊力値を明かして、杏子さんと全力の手合わせをしてもらうかな……)
そんな事を考えて、ブルブルと首を振り、恐ろしい事を考えてはいけないと自分を戒めた。




