表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

149/224

<またもあいつか>

2日後、ティモラからカテリナに関する情報が報告された。

広場にはダーズリー卿の他、ガードナー、ティモラ、デミトリ、御剣、ソルダー、凛玲と貴族クラス全員が集まっていた。


ティモラは現地で、現場を遠巻きに見ていた者達からスマホ映像等を入手していた。それらを整理してスクリーンに映し出しながら、カテリナが何者かと戦っている姿を説明した。


「またあのクソガキじゃないか!」


ガードナーが叫んだ。

遠目で解像度も悪く、カテリナと戦っている男の姿も現地人のような風体をしていたが、ガードナーにはリピウスだと分かったようである。


「あ・あいつが……あいつが……」


ガードナーの言葉を聞いて、御剣君が少し怯えるような目をしながらも映像を睨みつけている。

彼にしてみれば、生まれたてとは言え、初めての戦闘で危うく止めを刺されそうになった相手である。未だにあの時の恐怖は、魔核の奥底から消えていなかった。

傍らで凛玲と呼ばれた女性型の悪魔が、御剣君の頭を『よしよし』と撫でてあげている。


「あれが例の人間ですか? でもカテリナなら、あの程度の人間は簡単に仕留められたはずですよね」

デミトリが冷酷そうな目をして、映像を見ながら呟いた。


「ふん。どうせ相手が格下と見て、いたぶりながら楽しんでいたんだろうよ。そういう所があ奴の甘さなんだよ」

ガードナーは吐き捨てるように言い放った。


その後、大きな爆発と共に映像には杏子が現れた。


「おっと! ここで例の赤髪の魔女だね」

ティモラが後から乱入してきた杏子を指して言う。


「そしてすぐ次元結界を張ったようです。突然3人の姿が消えたと、目撃者全員が証言していますので」

ティモラの説明を、ダーズリー卿は映像をじっと見つめながら聞いていた。


「またあの女の次元結界か!」

ガードナーが、いかにも悔しそうに叫ぶ。


「そうね。カテリナ一人では、あの結界は破れないでしょうからね」

ティモラの言葉に、他の者達も頷いた。


「それにしても、毎回毎回出てくる、あのリピウスって奴は何者なんだ?」

「今のところ、人間の協力者であろうという事しか分かりません」


すると、ダーズリー卿が静かに口を開いた。


「あ奴は最近、協力者になった者らしい。霊力も現時点で人間としては第4位。総合力としては最強の能力者だと言われているそうだ」


「え? どこからそんな情報を?」

デミトリが驚いて聞き返してしまった。それを、ダーズリー卿はギロリと睨み返した。


「馬鹿だねデミトリ。例のお方からに決まっているだろうが」

ソルダーが言った。


ソルダーは200年前に、デミトリと共に仲間になった悪魔である。

ソルダーは生前から霊魂の研究をしており、その先駆者である生前のダーズリー卿を崇拝していた。

ダーズリー卿の研究成果を元に独自の研究を進めていたところ、やはり学会から異端扱いされて苦悶の内に自殺したが、死にきれずに悪魔化したのであった。

そして憧れのダーズリー卿の元に仕える事となり、現在はC国での研究施設で副所長として連絡係を務めていた。


「凛玲と御剣は知らないだろう。少し説明しておくかな」

意外とダーズリー卿の優しげな声が響いた。


(ちぇっ! ダーズリー卿様は、あの二人には妙に優しいよな)

ガードナーが心の中で、少し忌々しく思っていた。


凛玲は10年前に、ダーズリー卿達がC国進出を計画し、下見に来ていた際に偶然生まれた上級悪魔であった。

C国は貧富の差が激しく、差別意識もかなり強い国であった。そんな中、凛玲は辺境の少数民族出身で、地方の中核都市に出てきたものの、虐げられる毎日を送っており、富裕層のつまらない遊びで命を失うことになってしまった。

しかし、持ち前の強気な性格のためか、死を迎える寸前で復讐心が燃え上がり、そのまま悪魔化した経緯があった。


凛玲は即座に復讐を成し遂げて市中に潜伏している所を、ダーズリー卿に見出されて保護された。

以降、ダーズリー卿の教えを受けながらC国政府の中枢に潜入し、現在では最高権力者の側近として重用されるまでになっている。


「我々には、強力な支援者がいる」

「それはC国政府の者達ですか?」

御剣の言葉にも、ダーズリー卿は目を細めて答える。


「いや、それだけではないぞ。もっと人間界全てを掌握できるほどの、地位に居る者たちもいるのだ」


凛玲と御剣は、ダーズリー卿を敬愛の目で見つめ続けている。


一通り説明が終わると、ダーズリー卿は全員の顔を見まわして言った。


「奴らの事は、上の者達に当面任せる事とした。我々は再度計画の速度を上げ、来るべき日へと突き進むのだ!」


ダーズリー卿の言葉に、全員が平伏して応えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ