<カテリナ VS リピウス>
リピウスの最大霊力パワーは公的には32万であるが、既にコントロールレベルは9に達している事から、実質は40万弱まで出力できるようになっていた。セバスとの訓練によって、瞬間的には人間の肉体であっても50万までは出力可能になっている。
勿論、そんなパワーは一瞬だけであり、安定して動き続けられるのは実質35万までと言う事になる。
それに対して、カテリナの魔力パワーは42万である。ガードナーの48万には及ばないものの、悪魔内でも最高戦力と言える戦士であった。
つまりリピウスにとっては、何とか拮抗できる状態を維持し続けていたが、それでは悪魔を倒す事は出来ず、リピウスは肉体的にも疲労が増すばかりであり、完全にジリ貧状態で追い詰められていくだけであった。
(何とか杏子が来るまで耐えるしか無いな……)
リピウスは、そう思いながら最も安定感のある、霊力35万の状態で戦っていた。
ただカテリナの戦法は実に嫌らしいもので、全身から無数の触手を伸ばし、リピウスを絡めとろうと全方向から攻撃を加えて来る。
しかも触手はヌルヌルとした毒の粘液に覆われており、見るからに危険を感じさせている。
更には時折、強烈な火炎弾や火矢の雨を降らせてきたりもする。
リピウスは仮に触手に絡まれても、全身を強度の高いバリアで覆っているので直接的なダメージは受けないものの、やはり絡まれるとその分動きを封じられてしまう。
なので、できるだけ触手は早い段階で排除しつつ、中距離から水刃や氷の槍等を放って攻撃した。
しかし、その程度ではカテリナにはダメージを与えられない。
(流石に戦い慣れているな)
そう思いながら、リピウスは何とか互角に渡り合っていた。
いや、カテリナが面白がって手抜きしているから維持できているだけ、という事も分かっていた。
少しでも本気で攻撃されたら、ひとたまりもないかもしれない。
しかし、数分しても杏子は現れない。
(おかしいな……。もう来ても良いころなのに)
そう思って、ジャネットがワープした場所をチラッと見た。ターゲット装置を置いて行ったなら、ワープ地点に杏子を連れて出てくるはずである。
だが、その地点にはターゲット装置も見当たらないようだった。
(あれ? ジャネットは置いて行かなかったのか?)
ジャネットがまたやらかしたのか? と思ったのだ。が、ワープさせた時の事を思い出した。
カテリナの攻撃を受けて、その衝撃でジャネットを押し込んだのだが、その際かかとで何かを蹴った気がした。そして視界の端に石ころのような物が、ゲートに転がり込んでいく様子を見ていた。
(俺が蹴飛ばした?)
そう思ったら、リピウスは冷や汗が出てきた。
(ヤバイ! 杏子の援軍は期待できない)
その間もカテリナからの攻撃は続いており、リピウスは何とか凌いでいるものの、気持ちの焦りから防戦一方になって来ている。
(時間稼ぎはこっちに不利だな。下手したらダーズリー卿達まで来てしまうかもしれない)
そう思うと、早く決着をつけるしか無いと覚悟せざるを得なくなった。
幸いカテリナの魔核位置は既に把握している。ちょうど胸の少し右寄りの場所である。
リピウスはタイミングを計って、一気にパワーを上げて攻勢に出た。
カテリナも攻撃の圧が高まったため、少し体勢を崩した。
リピウスはチャンスと見て、光の輪でカテリナを拘束する。カテリナの体を8本の光の輪が締め付ける。
「うぉー!! こんなもの!」
と叫んでカテリナは、光の輪を断ち切ろうと力を込めた。
その時、光の輪から強烈な電流が放出され、カテリナの体を貫いて行く。
「グアアアアアー!!」
全身を痙攣させながらカテリナが叫び声を上げた。
『レーザービーム!』
心で念じながら、最大限に収束させた強烈なレーザービームを魔核に向かって放った。
このビームは一瞬だけと言う制限付きで、肉体強度を超える霊力50万の必殺ビームであった。
ビームは狙い通りカテリナを捉え、体を突き抜け魔核を破壊する……と思っていたのだが、何故かリピウスの最大出力50万のビームは胸に当たって、激しい光を放ちながら拡散してしまった。
「なぜだ!」
リピウスは叫んだ。カテリナの胸を見ると、黒く焼け焦げた痕は見えたが、貫通まではしていない。
その瞬間、ガクッとリピウスの膝が折れた。
一瞬ではあるが、肉体の限界を超える力を出力した反動で、体が少しフリーズしてしまったようだ。




