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<だから止めとけって言っただろ!>

リピウスがジャネットを追って行くと、町の外れに少し空き地が広がっており、その一角に廃屋らしき朽ちかけた家が見えた。

ジャネットはその家の崩れかけた石垣に身を潜めて、中を伺っているようだった。


『あの中に居るみたいだよ』

リピウスが来たのを確認すると、ジャネットが廃屋を指さして言った。

『そうみたいだね』


『ちょっと見て来るね』

とジャネットが言い出したので、リピウスは慌てて止めた。

『駄目だよ。あれは中級悪魔で魔力12万もあるから、危険すぎる』


『大丈夫だよ。あたしだって霊力18万あるんだからね』


『いや、悪魔ってのは特別だから、霊力値で判断はできないんだぞ』

そう言いながら、リピウスはここで引き返したいと思い、ジャネットの肩に手を掛けようとした。


しかし、それより早くジャネットは、スルスルと石垣を離れて、廃屋の入口へと進んでしまった。


『あ! 駄目だよ。危険だから戻って』

リピウスが念話で注意するが、ジャネットは手を上に挙げて(大丈夫)とばかりヒラヒラと動かしつつ、入口へ辿り着いてしまった。


そして入口から顔だけ出して覗き込んだ瞬間、中から何かが飛んできて、ジャネットの顔面を打った。


「ふぎゃ!」

妙な声を出してジャネットは後ろに尻もちを着いた。咄嗟に顔に当たった物を掴んだようだが、それは引き千切られた人間の腕であった。


「ギャーーーー!」

ジャネットは思わず叫び声を上げてしまった。それを見てリピウスは顔を手で覆い、『あちゃー!』と叫んでいた。


ジャネットは腰が抜けたのか、立つ事もできずに四つん這いになって入口から離れようともがいている。

すると入口に、大柄な男らしき人影が現れた。


姿は完全な人型である。ただ頭に2本の角が生えている。そして全身の皮膚は灰褐色をしていた。指の先には鋭い爪も見えた。


(マジでヤバそうなやつが出てきたな……)

リピウスが呟くと、悪魔はずいと前に歩いて、這って逃げようとしているジャネットに腕を伸ばした。


(ヤバイ!)

と感じたリピウスは、石垣から飛び出しつつ電撃を飛ばした。

悪魔がジャネットを捕まえる寸前に電撃は胸の辺りを直撃して、悪魔を廃屋の壁まで吹き飛ばした。


「グギギギ」

悪魔は変な声を出して、胸の辺りを掻きむしっている。

その隙にジャネットの傍へ行くと、自分の身体を強化して、ジャネットを抱え上げ、石垣の背後へと逃げ出した。


ジャネットを壁際に座らせると、悪魔の方を確認した。悪魔は既に立ち直って、こちらへと突進して来ていた。

止む無くリピウスも石垣から出て、悪魔と正面から対峙する。


悪魔は勢いそのままに殴りかかって来た。その拳をリピウスは片手で払いつつ、逆に殴り返した。その拳には電撃を纏わせてあり、悪魔の顔半分を吹き飛ばした。


そのまま悪魔は3歩ほど後ずさりしたが、その間に消失した顔は再生してしまっていた。

リピウスの霊力探知には、近づいて来る人らしい反応も感じられた。


(長引いて目撃されると厄介だな……)


既に魔核の位置は把握していた。腹部中央辺りにあるようだ。

そこで速攻で悪魔を仕留めるために、光の輪を複数創り出し、悪魔の体を光の輪で拘束した。


「グギグギ!」

と悪魔はまた妙な声を出して、輪を外そうともがいている。

しかししっかりと輪は体に食い込み、完全に悪魔の動きを止めていた。


『これで終わり。レーザーキャノン』

とリピウスは念じて右手を前に出すと、そこから太いレーザーが発射され、悪魔の腹部に大きな穴を開けて突き抜けた。

その瞬間、「パキッ」と乾いた音がした。


悪魔は拘束していた光の輪が消えると、グズグズと全身が崩れ出し、地面へと液状になって広がっていった。そこからは十数個の淡い光の球が、フワフワと立ち上っていった。


リピウスは光の球に手を合わせて祈りを捧げると、石垣のジャネットの所に戻ろうとした。

その時、突然別の魔力がすぐ近くに現れた。その魔力には見覚えがあった。チラチラと点滅する魔力。それはダーズリー卿達の誰かである可能性が高い。


『ジャネット、すぐここを退散する』

そう言ってジャネットを立ち上がらせた。そしてワープゲートを開こうと辺りを見回したところ、その視野に、大柄なドレッドヘアーの女が入って来た。


(ヤバイ! こいつ絶対にヤバイ!)

リピウスは一瞬フリーズしてしまった。


その間に女はゆっくりと近づいて来る。そしてさっき倒した中級悪魔の残骸を見ると、リピウスの方を睨みながら言った。


「あたい達の仲間を殺したのはあんただね?」

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