<さて、どうしたものか?>
ヨルダ達は夢幻の塔から戻ると、すぐに学園長に連絡を取り、緊急会議をする事にした。
いつものメンバーが集まる中、まず嘉助から預言内容が開示された。
〜 女神さまの預言 〜
人間界の闇が深まりつつある。
天界で己の境遇を嘆く者は、人間界で狂気に憑りつかれた者と出会う。嘆く者は狂気の者に手を差し伸べ、更なる狂気へと誘い、悪魔を誕生させる。
長き時を経て、悪魔は嘆く者の支援を受け、大いなる悪魔の軍団を作り上げるであろう。
そして嘆く者も、蝕まれていく人間界を利用し、霊界人の心を惑わし、己の同志を募りつつ、悪魔が立ち上がる時を待つ事になる。
人間界の自然が悲鳴を上げる時、自然を愛する者は、人類の横暴に対して警告を発し続ける。そして、限界に達する前に人類の秘められし力を開放するだろう。全ては人類自身の手に委ねられる。
人類が秘められた力に目覚めし時、悪魔達も人類の支配へと動き出す。そして大いなる悪魔の軍団が、人類へと襲い掛かり、人類は悪魔の業火に焼かれ苦しむであろう。
人類が絶望の淵を覗く時、大いなる救世主は覚醒し、人類の心を一つにまとめあげんと立ち上がるだろう。
〜 そのもの光る衣をまといて、漆黒の闇に立つべし、失われた心の絆を結び付け、清浄なる魂の唄声で、ついに人々を正しき道へと導かん 〜
救世主の声を聞け。そして救世主を守る事のみが人類を守る道となる。
人類が回心し、悪魔に全てを賭けて戦いを挑むならば、人類は暗雲を吹き払い、光ある未来を切り開くであろう。
しかし、人類が悪魔に魂を売り渡し、戦いを放棄するならば、人類は滅亡への道を歩む事になろう。
我が子らよ。人間界に深き関りを持つ者たちよ。叶うなら救世主を守り、救世主の声を聞き、悪魔の存在を断ち、大いなる陰謀を阻止する事を願う。
~~
「ふ〜む……。これが『悪魔伝説』と対になる預言という事か」
学園長が呟く。
「救世主か……」
閻魔がポツリと言った。
「ふむ……。塔で見た時は、リピウスが救世主かと思ったんじゃがな」
「僕もですね。でも、改めて見ると、流石に規格外な能力者とは言え、人類の救世主と言えるほどとも思えませんね」
「ふむ。それにリピウスは人間嫌いじゃからな。人類の心を一つにまとめようとは絶対せんじゃろうな」
ヨルダと嘉助が即座に応えた。
「ふむ。それに救世主が現れるのは、人類が悪魔との最終戦争に入ってからでは無いかな?」
学園長も頷いた。
「ただ、この預言を見れば、四仙会が背後に居る事は明白ですね」
ゼルが預言内容を見ながら言う。
「そして悪魔はダーズリー卿という事だな」
閻魔の言葉である。
「だが、これをもって四仙会を追及する事もできんな」
学園長が難しい顔をして言うと、ゼルと閻魔も頷いている。
「この内容から見て、悪魔と人間の戦いは、避けられないようですね」
ジンの言葉にも全員が頷いた。
「さて、どうしたものかのう……」
ヨルダの言葉に、応える者は誰も居なかった。
「まあ、とりあえず、今後起こりうる状況は見えてきた訳じゃしな。後はそれぞれ、何ができるかを検討してみるしか無いのう」
ヨルダの言葉で今回はこれで解散し、それぞれが再度検討するという事で終わった。
嘉助は久しぶりに人間界の事務所へと戻った。




