<預言とアリエル最後の言葉>
ガブリエルはスーッと中央に置かれているテーブルの元に移動した。
テーブルの上には1冊の本が現れた。同時に椅子が3脚出現した。
『ここに座りなさい』
ヨルダら3人は、言われるまま椅子に座り、テーブルに置かれた本を見つめる。
すると本は勝手にパラパラとページがめくられて行く。
ガブリエルがスッと手を翳すと、ページ送りが停止した。
『さあ、3人で預言を読むが良い』
そう言うと、ガブリエルはテーブルから離れて、奥の壁際に佇んだ。
ヨルダらは開かれたページを読む。
預言内容は、それほど長いものでは無い。ただ、『悪魔伝説』で伝えられていた一文に比べると、遥かに長い。
(リピウスの言う通り、あれは一部分だけを流布したものじゃったな)
読みながらヨルダは思った。
3人は何度も預言内容を繰り返し読んだ。そして3人は顔を見合わせて、頷き合った。
それを合図に、本はパタンと閉じられて、スーッと消えていった。
すると再びガブリエルは、3人の前にやって来た。
『どうだ? 予想通りの内容だったかな?』
「うむ。まあまあ予想通りかの」
ヨルダの答えに、ガブリエルは満足そうに微笑んだ。
『なあ、ヨルダ。預言とは別に、女神様に託けを頼まれていてな』
「女神さまからじゃと?」
「あ、それでは我々は階下へ移動しましょう」
ジンが言うと嘉助を促した。
するとガブリエルは二人を押しとどめた。
『良い。二人も一緒に聞いて行け。特にジンは聞いた方が良いだろう。アリエルの最期の言葉だからな』
「アリエル様の!」
ジンが驚きのあまり叫んだ。
皆の動揺が収まるのを待って、ガブリエルは静かに語りだした。
『ヨルダすまない。君には何時も尻拭いばかりやらせてしまった。将来また迷惑をかける事になるかもしれないが、僕を許して欲しい。君は僕の真の友人であった。君と共に過ごせて僕は幸せだった。ありがとうヨルダ』
ガブリエルの言葉を、ヨルダ達は噛みしめるように聞いていた。
『以上だ』
ガブリエルの言葉に、3人は「ほぉ〜」と深く息を吐いた。
暫くの沈黙の後、ヨルダは「ありがとうガブリエル」と言って深々と頭を下げた。ヨルダの眼には涙が光っていた。
ジンも眼がしらに手をあて、神妙な顔でヨルダを見ていた。
『なに、礼なら女神さまに言うんだな』
少しの間をおいて付け加えた。
『女神様も残酷とは思わんか? この俺にアリエル最後の言葉を言わせるんだからな。これも天罰の続きなのか……』
「いや、おぬしの心を救うためじゃろうよ」
ヨルダはガブリエルに近づき、じっと見つめながら言った。その目は慈愛に満ちているようであった。
『ふふふ。相変わらずだなヨルダは。しかし、そうかもしれないな』
その後、ヨルダ達は広間に現れた帰還専用のワープゲートに入り、夢幻の塔から帰った。




