<居ながら観光?>
そんなやり取りをし続けていたが、ふと杏子にアイデアが浮かんだ。
「ねえ、現地の様子を観られれば、それで良いんだよね?」
「そうよ。え? 何か良い方法が見つかった?」
ジャネットはキラキラした期待に溢れる目で、杏子を見つめている。
「ちょっと待ってて。すぐ戻るからさ」
そう言うと杏子は会議室を出て行った。
杏子は402号室へ行った。ノックするとメイさんが出てきた。
「いらっしゃいませ杏子様」
相変わらず美しいお辞儀でメイさんが迎えた。
「おう! リピウスは居るかい?」
杏子はドア越しに中を覗き込みながら聞く。
「居るぞ〜! メイさん案内して」
中からリピウスの声が聞こえると、メイさんは杏子を中へ入れ、リピウスの元へと連れていく。
「杏子、どうしたのかな?」
「う、うん。ちょっと相談が有ってな」
杏子はリピウスに事情を話し、霊力ドローンを使ってC国内の各地を見せて欲しいと頼んだ。
「ふ〜ん……。さっきの女性に、C国内の街中とかを見せれば良いのか?」
「ああ。頼むよ。彼女一人でC国へ行くって言ってるんだ」
「そりゃ無茶だな。俺だってあの国は一人じゃ怖いぞ」
その後、杏子はリピウスを連れて、再び会議室へ戻る。
「待たせたな」
そう言って杏子はリピウスに準備させた。
「この人は?」
ジャネットが少し不安そうにしている。
「ああ、彼はリピウス。最近協力者になった人だよ」
「あ! もしかして、彼が案内してくれるのか?」
ジャネットの顔がパッと明るくなった。
「う〜ん……。まあ、そうとも言えるけど。ちょっと待ってな。すぐ準備が終わるからさ」
ジャネットが怪訝そうにリピウスを見つめていると、準備ができたようで、用意したスクリーンにC国の映像を映し出した。
「ん? これはもしかしてC国の映像か?」
ジャネットが興味深げにスクリーンを覗き込んでいる。
「これはね、首都の市内ですね」
リピウスが説明する。
「へえ、こんな情報映像があるんだね」
「いや、今現在のライブ映像だぞ」
「え?」
ジャネットが理解できていなそうだ。
リピウスがドローンを操作しながら、映像が変わっていく様子を見せていると、ようやくジャネットも理解できたようだ。
「わー! 凄いですね。人間界って本当に便利な物があるんですね」
ジャネットのテンションが上がった。
その横で杏子は、少し俯きながら小さな声で呟いた。
(人間界じゃなくて奴が特別なんだけどな……)
その後も、映像を他の地方都市に切り替えて、市内や郊外の研究所など、様々な映像を見せていった。
1時間ほど映像を観て貰った後に、杏子はジャネットに言った。
「どうだい? 現地に行かなくても、彼に協力して貰えば、ここからC国内の状況を確認できるんじゃないか?」
「確かに!」
「まあどこの何が見たいのか教えてくれれば、ある程度は対応できると思うぞ」
ジャネットは大いに喜び、その後、社宅に1室を借りて、パソコンなどの機材も杏子に用意してもらい、自室で映像を観られるように準備を進めた。
そして数日間はリピウスがフォローしつつ、自分でも操作ができるように指導まで行った。
その結果、ジャネットは社宅に居ながら、C国の状況を知っていく事ができた。




