<お騒がせジャネット再び>
リピウスは2度目の協力者会議に出席した。今回は嘉助が夢幻の塔へ行っているので、杏子が進行役をしている。
ちなみに夢幻の塔は天界の果てにあり、ワープもできないため、行きは1ヶ月はかかるそうだ。帰りは夢幻の塔に帰還専用ワープゲートがあり、即時天界の中心部へ帰還できるという。
杏子の進行で会議は進んで行く。今回は前回からあまり進展も無く、一応平和に終わろうとしていた。
そんな時、会議室のドアがノックされた。
「嘉助さんは居ますか?」
と言って元気よく、大柄な女性が入って来た。
「ゲッ! ジャネットがなんで!」
杏子は入ってきた女性を見て叫んだ。
「あ! 杏子さん、お久しぶりです。この間は色々とお世話になりました」
今回のジャネットは、前回とは打って変わって低姿勢で、親しみを込めて接してくる。
「あ、いや……。って、なんでまた来たんだよ」
杏子はジャネットが苦手のようだ。
「はい。今回も公安庁からの指示で、人間界の調査に来ました」
「調査? もう、あの件は終わったんじゃないのか?」
ジャネットは杏子の疑問に対して説明し始めた。
ジャネットによると、監視員とERIに対する嫌疑は一切無いとの結論になったが、やはり最近になってC国の動向が公安庁でも取り上げられ、霊界の技術が流出している可能性を、再度調査する事になったそうだ。
「それで、前回調査を担当した私が、一番人間界にも馴染みがあるだろうって、また指名されたんすよ」
今回も嬉しそうにジャネットは捲し立てた。
「な、なら。なんで嘉助を探しているんだよ」
杏子はまだ警戒している。
「あ〜、それは人間界の調査をするなら嘉助さんに協力して貰えって、上司から言われましてね。真っ先に相談に来たんす」
会議室内は、突然の乱入者に呆然としていた。
そんな空気を感じて、杏子は会議の終了を宣言してみんなを解散させた。その上で、ジャネットの話を聞くために彼女を席に着かせた。
皆が出て行ったのを確認して、杏子はジャネットと話を始めた。
「まず嘉助だけど、ちょっと任務で天界に行っているんだよ。多分1ヶ月は帰ってこないぞ」
「え? そんなにですか? それは困ったな」
ジャネットは困惑した表情で、本当に困っているようだった。
「まあ、あたしで対応できる事ならさせて貰うけどな」
杏子の言葉に、ジャネットもホッとした表情になった。
「で、協力って何をすれば良いのだ?」
杏子の問いかけに、ジャネットは具体的な任務内容とその方法に関して説明した。
彼女は今回、調査に先立ち一人で下見に来たそうだ。なので現地へと行き状況を確認したいという。その結果を元に、本格的な調査チームを組織して対応するという話である。
「ひ、一人で現地へ?」
杏子は無謀な計画に呆れてしまった。
「いや、流石に私も人間界に馴染んだとは言え、一人でC国に行くのはちょっと不安なんですよ。だから嘉助さんから、現地案内を兼ねて、同行する人を紹介してもらおうと思いましてね」
ジャネットはさらっと言う。
「いやいやいや、それは無理だよ。あたし達だってC国には伝手も無いからね」
杏子は大きく手を振りながら、無理だと強調した。
「え? 嘉助さんなら、どこでも話を通せるんじゃないですか?」
ジャネットはキョトンとして聞いてくる。
「そんな事あるかい! 欧米や日本ならともかく、C国は特殊だから絶対に無理だよ」
「えー! そんな〜……。じゃあ、杏子さんが同行してくださいよ」
「無理! 無理! 無理! ただでさえ嘉助が留守してんだからね。私まで居なくなったら、流石に仕事が回らなくなるって」




