<悪魔伝説の阻止>
暫くの沈黙をゼルが破った。
「お話を聞いている限り、魔族か悪魔かが、明らかにC国に関与しているという事ですね?」
ゼルが皆の顔を見まわすと、一同は頷いて返して来た。
「では、これも四仙会が絡んでいる可能性があるという事になりますかね?」
「そうじゃな。例の『悪魔伝説』流布とも繋がるかもしれんのう」
「おいおい! それじゃあ最悪じゃないか」
学園長が悪魔伝説を思い出して、ブルッと身を震わせた。
「確かにそうですね。悪魔の軍団というのは、悪魔達によって構成されていると思ってましたが、現状を見るとC国自体が悪魔の軍団になり得そうですね」
ゼルも事態の重大さに気付いたようだ。
「実に不味いな。C国と言えば核兵器も大量に保有していたはずだな」
閻魔も嫌な予想をしていた。
「どうしますかね? このまま放置しておけば、『悪魔伝説』が実現してしまいますよ」
嘉助の声に、場は再び沈黙してしまった。
結局、この場では解決策も見いだせず、ゼルによって四仙会の監視を継続しつつ、それぞれ対応策も検討してみるという事になった。
嘉助が戻ろうとすると、ヨルダが声を掛けてきた。
「のう嘉助、ちとリピウスに会いに行かんか?」
「え? リピウスにですか?」
「そうじゃ。わしはな、今までも行き詰まると、彼の意見を聞いて来たんじゃよ」
嘉助も「なるほど」と頷き、一緒に事務所に戻るとリピウスに連絡を入れた。
リピウスはすぐに嘉助の事務所へやって来た。
「おや? 珍しいコンビですね」
「すまんの。今学園長達を交えて、アレコレと打ち合わせをしておったんじゃよ」
ヨルダがすまなそうに言う。
「実は少々厄介な事態になって来てね。我々も行き詰まってしまったんだよね」
嘉助も申し訳なさそうにしている。
「へえ、それで俺の考えでも聞いてみようと?」
リピウスの言葉に二人は頷いた。
そして嘉助が状況を説明した。二人がリピウスの反応を見守る中、リピウスが口を開いた。
「やっぱ悪魔伝説ですか……。ねえ、女神さまの預言書って、実現を阻止できるものなの?」
「う〜ん。預言だからね。悪い内容の場合は、それを阻止するために預言は存在するからね。その意味では阻止も可能と言えるよね」
嘉助の言葉にヨルダも頷いた。
「ふ〜ん。悪い内容を阻止するための預言とかは無いのかな?」
リピウスの言葉に、嘉助とヨルダは思わず顔を見合わせた。
「た・確かに。阻止する側の関係者が行けば、そのような予言が存在するかもしれんな」
ヨルダが答えた。
「失念していましたね。今回の預言内容から、そのような予言の存在を、完全に忘れていましたね」
嘉助も同感の意を表した。
「だったらさ、嘉助さんなんて、関係者の最たる者なんじゃないの?」
リピウスの言葉に、二人は再度大きく頷いた。
そして、
「行って見るかの?」
というヨルダの言葉に、
「それに賭けてみても良いかもしれませんね」
嘉助も答えた。
こうして二人は、数日後には夢幻の塔に向かって旅立った。その際、話を聞きつけたジンも同行を申し出てくれたのは、二人にとっても非常に心強かった。




