<初顔合わせ>
そして週末の土曜日。週1回の日本での定例会議にリピウスは出席し、他の協力者と初顔合わせを行った。
リピウスは9時半には402号室へ入り、メイさんの淹れるコーヒーを飲んでから、10時に2階の会議室へ移動した。
会議室に入ると、既に6人が集まっていた。
リピウスは新参で、少し居心地が悪かったが、とりあえず空いた席へと座った。
ちなみにリピウスは、最初に嘉助に会った時から、30代半ばという感じの、ややポッチャリ系中年男を装っていた。今回も同じ様相で会議には臨んでいる。
この格好は普段から一番良く使っているもので、デュークやヨルダ爺と一緒に外出する時も、概ねこの格好をしていた。
二人からは、
「おまえ、なんでわざわざそんなダサい恰好しているんだよ。本当はもっとスマートで若々しい外見なんだから、自宅以外では若い格好してた方が良いのじゃないか?」
「うむ。わしも何時も思っておるんじゃが、何か意味があるのかのう?」
などと良く言われていた。
リピウスに言わせると、
「だって本来の外見だと結構イケメンだしさ、万が一女性に惚れられたりしたら面倒だから、あえて女性に忌避感を与える姿にしているんだよ」
などと答えていた。これには二人から自意識過剰だと指摘されてもいたが、何故かリピウスはこの如何にもダサい恰好を好んでいた。
すぐに嘉助、杏子、清君の3人も入って来たので、嘉助からリピウスは紹介され、その後出席者に関しても、簡単に紹介を受けた。
参加者の片側に協力者4名とリピウスが並び、反対側には嘉助を先頭に5名の監視員が座っている。ロの字に並んだテーブルの真ん中には、プロジェクター投影装置が置かれ、正面にはスクリーンが設置されていた。映像は正面の机にあるPCから投影機にケーブルが伸びており、PC画面が映し出されている。
最初に監視員側を代表して、清君から定例報告が行われた。清君はスクリーン前のPCへ移動し、資料を映し出しながら説明を始めた。
主たる内容は、世界各地での悪魔の出現状況や、要監視者達の動向報告などであった。
次いで協力者の桂木舞から、警察庁関連で把握している、日本の状況が簡単に説明された。
「今のところ、どこも何とか持ちこたえている状況みたいだね。ただ、組織的な動きが目立ってきているので、その辺は要注意だね」
嘉助が全体的なまとめを行った。
「で、今日はC国関連の情報を、再度確認しておきたいと思う。既に皆へも送っていたので、見てくれていると思うけど、今回リピウスからも、C国内の情報が提供されたので、そちらも併せて、何か意見や質問があれば出して欲しい」
嘉助が言うと、全体を見回した。
前のPCには真美ちゃんが移動して、資料をスクリーンに映し出していた。
「あの、この資料を見たのですが、随分と研究所内の様子が、詳しく書かれていますよね? リピウスさんは研究所を実際に見てきたんでしょうか?」
監視員の当真が質問した。彼は社宅1階に入っている、コンビニの店長をしている。
スクリーンには真美ちゃんが、該当しているであろう箇所を映し出した。
そして全員の視線の先がリピウスに集まる。
「別に行った訳じゃないけど、内部は一通り探索してみましたよ」
リピウスの言葉に、他の者達は不思議そうな顔をしている。
そこでリピウスは空間からノートPCと操縦用のプロポを取り出した。
誰かが小声で、(ディメンションボックス……)と囁いている。
リピウスは前に行き、真美ちゃんにスクリーンに繋いでもらい、リピウスのPC画面が映るようにしてもらった。
そしてマウスをポンポンと操作すると、スクリーンには研究所内と思しき風景が映し出された。
「え? それってC国の研究所内ですか?」
清君の声に、他の者たちもザワザワしている。
すると、リピウスは操縦スティックをクイクイと動かした。それに反応するように、映像も動き始める。
「ん? 今実際に動かしているんですか?」
この声に、ますますザワつき出す。
「リピウスが言っていた、霊力ドローン能力って、もしかしてこれなの?」
嘉助も唖然とした顔で言い出した。
「そうですよ。一応市販のドローンが持つ機能を再現してますからね。操作もほぼ同じにしてます」
リピウスが自慢げに言う。
(いや、問題はそこじゃない!)
と、誰もが心の中で突っ込みを入れている。
「あ、あの、ここから中国の研究所内にあるドローンを、操作しているのですか?」
真美ちゃんがおずおずと質問した。
「そうだよ。今5ヶ所の研究施設と首都の本部に、それぞれ2台ずつ監視ドローンとして設置してあるからね。普段は適当な場所に固定して、監視カメラ状態だけどね」
「「「えー!!!」」」
全員から、今日一番の驚きの声が上がった。




