<リピウスERIで鑑定される>
そのまま一旦402号室を出る。杏子が空間に手を翳すと、ポッカリ穴が開いた。
そしてみんなを促して穴の中へ導いた。
穴を抜けると、そこは広い部屋の中であった。
「ここはERIの地下施設内です」
嘉助が説明した。
杏子は一礼して、どこかへ向かって行った。
残された嘉助はリピウス達を先導して、近くの応接室に入った。
「今ERIの職員に話をしてきますので、少々ここでお待ちください」
そう言って嘉助だけ部屋を出ていった。
「ヨルダ爺はERIにも来たことが有るんだろう?」
「随分昔じゃな。まだ、こんなに立派な施設では無かったがの」
「ここは最近できた?」
「らしいのう。ほれ、例の封印解除対策で、色々と準備しておったじゃろ? その際に大幅に拡張したんじゃよ」
「ああ、そういう事か」
「確か聞いた話では、地上階は講習用の教室や、霊力実技用のグラウンドとか室内訓練場等もあると聞いておるな。だがメインは、この地下の研究施設らしいがの」
「へえ〜……。けっこう大きな施設だね」
そんな事を話していると、職員らしき女性がコーヒーを持って入って来た。
それから少しして、嘉助と杏子も戻ってきたが、その際に技術者らしき白衣の男も一緒であった。
「彼はERIの主任研究員で、コスタ君です」
嘉助が紹介する。
「コスタです。ヨルダ老師に拝謁できるとは、誠に光栄の至りです」
「お! 流石はヨルダ爺だね。拝謁だってさ」
と茶化すようにリピウスが言うと、コスタはムッとした顔つきで睨んで来た。
「まあまあ、コスタも睨むんじゃないよ。彼と老師は親友なんだよ」
「ま、まあ親友でしたら……」
と妬ましそうな眼付きをしたが、それで収めたようだ。
「で、リピウスには、これからERI内の鑑定装置で鑑定を受けてもらうからね」
「ほう! 鑑定装置ですか。それは興味あるな」
「確かリピウスさんは、詳細鑑定もできるとか?」
コスタが興味深げに聞いてきた。
「うん。さっき杏子で確認したけど、間違いないよ」
嘉助の声にコスタは頷いた。
「ところでさ、人間界の能力者って、杏子みたいな凄い霊力値の人っているの?」
リピウスが嘉助とコスタを見比べるように尋ねた。
「杏子さんは霊界でも別格ですよ。人間界では現状27万だったかな? その程度ですね」
コスタが正直に答えてくれた。嘉助は「言わなくても良い事を」という目つきをしている。
「27万か。ラヴィさんって人が凄いんですよね。彼ですか? 最高霊力値」
リピウスが如何にも無邪気そうに、コスタに向かって言うと、コスタも即座に答えた。
「いや、ラヴィは20万ですね。ただ彼は制御レベルも高いですからね。その意味では一番信頼されている能力者ですね」
「あ、うん。まあ、そういう話はおいておいて、早速鑑定して、その後はERIの食堂で食事でもどうかな?」
嘉助は話を逸らしたかったようだ。そして立ち上がると、リピウス等を促して鑑定室へと向かいだした。
(やっぱ嘉助って油断できないな。俺の意図を見抜いているのか?)
リピウスは内心少しドキッとしていた。リピウスの意図とは、鑑定偽装の値をどの程度にするか、情報を得ようとしていたのだ。
(あの悪魔戦の事もあるからな……少し上げておくか)
そう思いながら、嘉助の後について、鑑定室へと向かった。




