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完結 吾輩は捨て子猫である ~動画投稿でご主人を救う恩返しにゃん物語~  作者: カトラス


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第50話:「もち、ご当地ちゅ〜るに感動する(食レポ付き)」

――吾輩はもちである。今、旅先の卓上にて“謎の袋”と対峙している。

「にゃん……これは、ただのちゅ~るではない……!」


 吾輩の鼻先をくすぐる、未知なる香り。かつて嗅いだことのない……何というか、こう、燻された魚と野菜が恋をして混ざりあったような複雑な匂いである。

 しかも、袋にはこう書いてある。


『ご当地限定・信州サーモン味』


「ごしょーち……? サーモン……?」


 むむ。何やら特別なちゅ~るらしい。これは、ただの餌ではない。未知との遭遇、すなわち――食レポの時!


 

【みのり視点】

 

「じゃーん、見てもち! ご当地限定ちゅ~る! 信州サーモン味だって!」


 お土産コーナーで見つけて、思わず手に取ってしまった。なんかパッケージも可愛いし、「地域限定」って言葉に弱いのは猫も人間も同じでしょ?


「はい、もち~。あーんして?」


 私はちゅ~るの端をちょっと切って、もちの前に差し出す。すると――。


「にゃっ!」


 もちの顔が、ばっと輝いた。目がキラキラ、いや、ギラギラしてる。わかりやすっ!


「どう? もち、味の感想は?」


 

【もち視点】:食レポモード発動

 

 吾輩は、ちゅ~るの一滴目を口にした瞬間――確信した。


「うむっ……これは……深い……!」


 まず舌の上でとろける濃厚なサーモンのうまみ。

 そのあとに、かすかに香る山菜の気配。そして最後に残る、信州の風土が育んだ……水の味!


「……ほわぁぁあ……しあわせの味がするにゃ……」


 これはちゅ~る界の革命だ。吾輩のグルメ魂が今、熱く燃えている!


「評価:星五つ。いや、五肉球!」


 吾輩は勢いよくちゅ~るをぺろぺろと平らげ、最後のひとしずくまでなめ尽くした。その様子を、ご主人様はぽかんと見ていた。


 

【みのり視点】

 

「え、もち……あれ……?」


 ちゅ~るの食べっぷりが……いつもと違う。


 ひと舐めひと舐め、まるでワインのテイスティングのように丁寧。

 そして最後のひとしずくを、これでもかというくらい愛おしそうになめるもち。


「ちょっと、もち……アンタ、猫舌ソムリエだったの?」


 なんだか面白くなって、スマホを構えて動画を撮ってみた。


「『もち、ご当地ちゅ~るで食レポデビュー!?』ってタイトルにしよ。編集したらSNSにアップだー!」


 ついでに、旅館の背景とか温泉地の紹介も入れて……うん、これ動画としてめっちゃ良いかも。


 

【もち視点】

 

 吾輩は食後、座布団の上で満足げに毛づくろいをしていた。


「ふふ……やはり、ちゅ~るは正義だ……いや、もはや芸術と言ってよい……」


 ご主人様が、何やらスマホをいじりながら笑っている。どうやら先ほどの“食レポ”を、世に広める気らしい。


「ふふ、吾輩の味覚は世界に通じるのだ。やがては、ちゅ~る大使の称号も……ふにゃふにゃ……」


 

【みのり視点】

 

 その夜、動画をアップして数時間。思ったより反応が早かった。


《「もちの食べっぷりが神すぎて無限ループ」》

《「猫ソムリエって言葉、今作ったけど流行るわ」》

《「これ、次のCM案件くるんじゃね?」》


 コメント欄がどんどん伸びていく。


「やばっ……もち、バズってる……!」


 もちを振り返ると、当の本人はおなか丸出しで爆睡していた。足はピーンと伸びていて、肉球がゆらゆら揺れてる。


「……こんな姿が、全国に配信されるって、なんか面白すぎるよ……!」


 私はもちの寝顔を見ながら、そっと頭を撫でた。


「ありがとう、もち。ほんとに、来てよかったね、この旅」


 


――【もち視点】(寝言)

「……ごちそうさま……次は……京都ちゅ~る……」

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