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完結 吾輩は捨て子猫である ~動画投稿でご主人を救う恩返しにゃん物語~  作者: カトラス


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第36話:もち、ついに“テレビ取材”が来る!?

【もち視点】


 吾輩の名はもち。白き毛並みに短きしっぽ、かつ最強の存在感を持つ猫である。そして今、人生——いや、猫生最大の事件が起ころうとしていた。


「も、もち~~!今日テレビの取材来るからね!?お願いだから暴れないでよぉおお!」


 朝からうろうろと部屋を掃除するご主人、みのり。その手にはなぜか新品のコロコロが握られておる。吾輩の落とした毛たちが粛清されていく……。


「取材って、あのテレビであろう?茶の間の神であろう!?え、吾輩出るの?全国ネット?マジ?」


 緊張のあまり、カリカリを三粒しか食べられなかった。いや、これはさすがに緊張ではなく、ご主人が騒がしすぎて落ち着かぬのだ。多分。


 その時だった——。


「ピンポーン♪」


 ご主人がピタリと止まる。空気が、変わった。


「きたぁぁぁあああ!」


 彼女は玄関へ飛び出し、そこにはスーツ姿のテレビ局スタッフがずらり。カメラマン、ディレクター、女性リポーター、そして……見知らぬ機材の山。


「うわっ……機材多いな……あ、はじめまして、飼い主の朝倉みのりです!うちの“もち”です!」


 差し出された手に握手しながらも、みのりの笑顔は完全に引きつっている。

 それを感じ取った吾輩は、即座にテレビモードへ切り替えた。


「吾輩の魅力、世界に見せつけてくれようぞ……!」


 にゃあと鳴いて、カメラの前でコロン。いつものゴロゴロではなく、特製の“媚びゴロ”である。さらにみのりの足元にぴったり密着。

 愛猫アピールの極みである。


「うわ~かわいい~~!カメラ回して回して!」


 リポーターが甲高い声で言う。カメラマンが構えるその先に、吾輩のドアップが映る。


「カリスマ猫“もち”ちゃん。動画投稿で話題沸騰中です!」


 吾輩、どアップでドヤ顔。


【みのり視点】

 

 まさか、あのSNSに上げた一枚の写真から、こんな未来になるなんて。

 数ヶ月前の自分に言っても信じないだろう。

 地味OL生活から一転、「猫系YouTuber(飼い主)」とか、肩書きが急にファンシーになってしまった。


 テレビ局のディレクターはにこやかだが、明らかにプロの空気感。

 リポーターはテンションMAXで喋り続け、カメラはもちを追って回転してる。

 うちのアパート、六畳一間なんですけど……。


「ではまず、朝倉さんともちちゃんの出会いを教えてください」


「あ、はい……えっと、道端の段ボールに……捨てられてて……それで、拾って帰ったんです……」


「ほ~!まるで運命の出会いですね!」


「(いや、現実は鼻水垂らして泣きながら拾ったんだけど……)」


 でも、もちがうまくやってくれてる。

 いつもはクッションに埋もれて昼寝してるくせに、今日はなぜか背筋までピーンとしてカメラにアピールしてる。え?モデル猫?


「この子、ほんとに分かってるのかな……」


 そう思ったその時だった。


「にゃ~」


 もちがわざわざリポーターの膝の上に飛び乗って、ぺろりと一舐め。

 スタッフ一同「キャー!!」と歓声。


「……やばい、完全に持ってかれてる」


 インタビューは和やかに進み、撮影も佳境に。

 もちのグルメレビューコーナーや、お気に入りの“押し入れタイム”もばっちり収録され、最後は私の膝の上でちゅ~るを舐めているシーンで締め。


「ありがとうございました~!放送は来週水曜日、夕方のニュース特集で流れる予定です!」


 名刺を受け取る手が震える。地方とはいえテレビ放送。いや、全国ネットの提携もあるらしいって……うそでしょ?


「おつかれ~もち~……もう今日はちゅ~る2本あげちゃう……」


【もち視点】

 

 テレビ取材、完全勝利である。全て計画通り。ちゅ~る、2本。カメラの前では猫かぶり……いや、吾輩は猫であるが、今日はさらに演技力を発揮した。


「これでフォロワーも再生数も爆上がりであろう……」


 ご主人様は放心状態。

 だが、少しだけ目元がうるんでいたのを、吾輩は見逃さなかった。


「なんか、夢みたいだね……」


 ちゅ~るを手から食べさせながら、彼女はポツリとつぶやいた。


「夢ではないぞ、ご主人様。これは……吾輩たちの、猫と人の冒険である」


 その夜、吾輩はいつものクッションではなく、ご主人様の胸の上で寝た。


 次回、第37話「もち、テレビ放送で大バズり!?」に続く。

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