表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結 吾輩は捨て子猫である ~動画投稿でご主人を救う恩返しにゃん物語~  作者: カトラス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/101

第24話:もち、まさかの“ダンボールハウス”建設計画

吾輩は猫である。名前はもち。

 住居には強いこだわりがある。


 日中の定位置はエアコン様の真下、夜はみのりの枕元。クローゼットの中やテレビ裏の隙間など、ひと通り全エリアを制覇した吾輩だが、最近、物足りなさを感じていた。


「もっとこう……秘密基地みたいなやつがほしいのである」


 そんなある日。みのりがAmazonの箱を手に帰宅した。


「ふふふ、もちぃ~、今日はすごいお届け物があるんだよ~」


 宅配ボックスから取り出されたのは、大きなダンボール箱。

 吾輩の二倍はある堂々たるサイズ。横には“キャットタワー(要組立)”の文字。


「ふにゃ!?(キャットタワー!?いま吾輩に最も必要なやつ!)」


 だが、そのとき――


「タワー組み立てる前に、箱で遊ぶかな~と思って……ほらもち、箱~!」


 ばふっ!


 ダンボールが床に置かれるや否や、吾輩は反射的に突撃!


「にゃっほおおおおお!!」


 中に入る。狭い。暗い。

 落ち着く。これは……猫的楽園。


「うふふ……やっぱ入ると思った~。完全にもちサイズだね~」


 そう言ってご主人様はニコニコしていたが、吾輩は重大なひらめきを得ていた。


――この箱、改造すれば、夢の城になるのでは?



 その晩。

 ご主人が寝静まった後、吾輩はひとり、ダンボールの中で考えた。


「まずは入口の強化だな。現状では防御が甘すぎる」


 ぺしぺし。

 爪で出入り口の端を削り、好みのサイズに整形。

 紙の破片が舞うなか、吾輩は黙々と作業に取り組んだ。


「ふむ……ここに監視窓を……そして上には見張り台……」


 ご主人の読みかけの雑誌を引きずって運び、屋根に設置。通気性確保のために側面にパンチを施す(もちろん、爪で)。


 朝になる頃には――


「にゃっはー!完成である!」


 吾輩特製“もち城(仮)”が誕生したのである!



「な、なにこれ!?ダンボールぼろっぼろ!?もち、夜中に何してたの!?」


 翌朝、みのりは愕然としていた。


「にゃ(改築工事である)」


「いやいやいや、壁に穴空いてるし、屋根に私のanan乗ってるし、床にちゅ~るのパッケージ敷いてあるし!住む気まんまんじゃん!!」


「にゃふ(当然である)」


 ご主人様はやれやれと首を振りつつも、なぜか笑っていた。


「じゃあさ、もちの“おうち”にしようか。せっかくだから、窓も作ってあげよう」


 なんと、手作り装飾タイムが始まった!


 ハサミで窓が空けられ、中に小さなクッションを入れてくれた。外壁にはマジックで「もちのおうち♡」と書かれ、入口にはキャットステッカーがペタリ。


「はい、完成!これで快適だね~もち~」


「にゃふっ(この女、できる……!)」


 吾輩は喜びの舞を披露し、箱の中で寝転がった。



 以後、ダンボールハウスは吾輩の基地と化した。


 客人(宅配業者)を見張るポスト、昼寝用の影の確保、ちゅ~るの隠し場所……機能性は抜群。冬にはフリースを入れてもらい、まさに快適住宅。


 だがその夜。


「よし、そろそろキャットタワーも組み立てるか~」


 みのりが例の段ボールを空にして、パーツを床に広げ始めた。


 吾輩は驚愕した。


「にゃふぉ!? まだ進化を続けるのか!?もち城が……二階建てに!?」


 ご主人様が組み立て始めたタワーは、なんと3段階構造の豪華設計!

 しかも最上階にはハンモックつき!


「これぞ……天空のもち城……!」


 吾輩は目を輝かせ、ハンモックに飛び乗ってぷらーん。


「ふっふっふ……世界はすでに吾輩の手中である」


 ご主人様がにっこり笑ってカメラを構えた。


「今日のもち、なかなかの職人だったね~。じゃ、記念撮影♪」


 ぱしゃっ。


 写真には、手作りダンボールハウスの中で得意げに座る吾輩と、それを見て笑うみのりの姿が残された。



 その晩――。


 吾輩は新タワーのハンモックの中で、ふと考えた。


「この家に来て、最初は不安でいっぱいだったけど……今や、ダンボールすら吾輩の城である」


 優しいご主人様と、快適な部屋と、たくさんのちゅ~る。


「ここが、吾輩の国。吾輩の家族――吾輩の、世界である」


 風がエアコンからそよそよと吹き、どこかダンボールががさりと鳴った。


「明日は、秘密トンネルでも掘るかの……」


 そんなことを考えながら、吾輩はぬくぬくと眠りについた。


 次回、第25話:もち、深夜の運動会を主催する に続く。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ