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後任の聖女様

おおよその残党と内通者は粛清ができたはずです。


残務は…勢いで偽造した聖女の死…ですかね?


それに関しては、正直言うと辞めて清々してますし気にしてないんですけど


どうなっているかだけでも確認する方が良さそうですね


残した私物もありますし…


今の時刻は、イグラシア時間は朝10時をお知らせしていました。


メリダス教国の都市…メリダスシティーの街中で市民に扮して歩き回っていました。


「聖女様が…亡くなったなんて…」


「俺…聖女様のメモリアルメダル買ってないのに…」


「俺なんか聖女様の香水買えてねえよ…」


「握手剣買って…特典の聖女様との握手もしてねぇ…」


街中は聖女様ロスで全員が憂鬱な顔をしていました。


って…握手剣って何でしょうか?


…これはちょっとやりすぎたかな?


ん~…でも、因果応報ってやつでしょ☆


私は知りませーん


とりあえず、私物を片付ける為にメリダス教団に行きました。



「あぁ…!アイリスさん…!」


「うわっ!」


隈だらけの死にそうな顔をしたメリダス様が私を見た瞬間、抱きついてきました。


相当…大変だったんでしょうか?


「もう聖女は辞めたので…荷物を取りに来ました」


「つ…つ…次の聖女様を選定するのに手伝ってください!お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願い!!!」


物凄い勢いでダイレクト土下座をメリダス様が行い


必死さが凄く懇願されました。


え~…めんどくさーい


「何でもしますからっ!もういっそのこと適正なくてもバレないし気がつかないので誰でもいいから女の子を紹介してくださいっ!お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願い!!!」


頭がおかしくなるっ!


足元にすがり付くメリダス様を剥ぎ取ろうとしても恐ろしい力でくっ付けれて振り払えない…!


私が知っている中で最強なのかもしれない…!


「わかりました!わかりましたから!」


なんとかメリダス様を引き離しました。


…引き離したのはいいんですが、さて…どうしましょうか?


そんな女の子いないでしょ…。


う~ん…フィリア様?


…フィリア様は家業がお忙しいでしょうし



ウチの団員…ナタリアちゃん?

う~ん…ナタリアちゃんは大人系のセクシーな子だから向いてないですね…


う~ん…


まさかのオリヴィエさん?

基本ものぐさなので、絶対に嫌がるでしょうね…。



え~…

マチルダさん…かなぁ?


…いいや!絶対マチルダさんは嫌だ!私が甘える時間がなくなっちゃう!



お母様…とか?

絶対押し付けたらネチネチお説教されるのが目に見えてますね…



……は!


クレイお姉さまだっ!


クレイお姉さまに聖女を押し付けてしまえばいいのでは!?


「心当たりがあるのですか!?」


「はい!あなたのご希望に沿った可愛い女の子を紹介できますよぉ~!」


この時の私の顔は、悪魔のような笑みを見せていた。


この瞬間の顔は…サーラ曰く、悪魔が宿った笑顔と語られる事となった。


「是非是非是非是非是非是非是非是非紹介ししししししてくださいっ!!!!!」


「落ち着いてください!今から連れてきますから!」


パニックになっているメリダス様をなだめた後、すぐに転移魔法で騎士団に駆け込みました。


騎士団本部…総長室。


ガチャ


「お姉さま!」


そこには、眠い目を擦りながら事務処理に追われているお兄様とお姉さまがいました。


「アイリス!騎士団で裏切り者が出たって本当か!?」


「それに関してはこの書類を確認してくださいっ!それよりもクレイお姉さま!」


机をバンッと両手で叩いて、お姉さまの方を見つめます。


「なっ…なんだよ」


「急務でお姉さまが必要です!緊急事態です!」


「なにっ!?まだ残党がいたのか!?」


「ここは僕が出ようかっ!」


2人は同時に立ち上がって、剣を帯同しようとしていました。


用があるのはクレイお姉さまだけなので…お兄様には冷たく言い放ちます。


「あ、お兄様は大丈夫です」


「ぐっ…!アイリスガイイナライインダ…」


しぼんだ風船の様に気落ちするお兄様を尻目に、私はクレイお姉さまの手を掴んで、メリダス教団に転移しました。


---------------------------


「連れてきました!」


「おぉ!私は救われるのですね…!」


メリダス様が物凄い勢いで駆けつけて来ました。


相当…切羽詰まってたのでしょうか?


「で…緊急事態はどこだ!?」


クレイお姉さまは左右をキョロキョロと鋭い目付きで見回していました。

 

それを見たメリダス様が跳び跳ねる様に喜んで、クレイお姉さまの両手を掴みました。


「あなたが後継者になられるのですね!?」


「は?後継者?何の後継者だよ?」


状況が全く読めていないクレイお姉さまは頭の上に???を出して固まっていました。


「とりあえず大人しくメリダス様に従って!緊急事態ですからっ!」


あえてクレイお姉さまを考えさせないようにして、言われるがままにお姉さまを誘導しました。


------------------------------


「この方こそが…!アイリス・ローゼンハイムの姉…クレイ・ローゼンハイム嬢が後継となる聖女様です!!!」


「うおおおおおおお!!!!アイリス様のお姉さまが聖女様だあああああああ!!!」


大観衆の中…広場に作られたお立ち台に何も知らないクレイお姉さまが紹介されました。


しかも、純白で聖女らしい格好にさせられた状態で。


「えっ!?ちょっ!?嘘だろ!?」


事態を把握しても…時既に遅しですよ!クレイお姉さま!


強引な手段でしたが…これも女子力を磨く為の修行です!


「どうぞ!聖女様!一言お願い致します!」


先程と違って…生き生きとしたメリダス様が満面の笑みでクレイお姉さまに一言要求する。


クレイお姉さまの顔は真っ赤に染まっていた。


おぉ…恥ずかしがる姿なのでしょうか!


初めて見ました!


「…押し付けられた形だが仕方ねえ…お前ら!救われたきゃ信仰しろ!毎日祈りやがれ…!!!」


クレイお姉さまの強気な一言に民衆は一瞬だけ沈黙しましたが…


その後…すぐに騒ぎ始めました。



「うおおおおおおお!!!!今回の聖女様は女王様気質だあああぁああああぁあ!!!!!」


「うおおおおおおお!!!!下僕にしてくださいいいいい!!」


「きゃああああ!聖女様ああああ!私達を導いてぇえええ!」


うんうん! 老若男女問わず大反響ですね!


これで完璧な後継の聖女様が出来上がりました!


---------------------------


聖女様のお披露目が終わった後のメリダス教団。


「お…まええぇっ!おまえっ!おまえっ!おまえっ!」


「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃいれすおねへはまぁ」


クレイお姉さまが鬼のように大激怒しながら、私の両頬を引っ張りまくっていました。


事の状況を完全に把握したクレイお姉さまは涙目を浮かべながら怒っています。


「ありがとうございます!クレイ様!これでメリダス教団の威厳も保たれますっ!」


一方のメリダス様はウキウキとスキップしながら喜んでいました。


「どーしてくれるんだっ!聖女っつーのは何をすればいいんだっ!というか押し付けやがったなっ!!」


怒りと困惑と後に来る…苦労を悟ったクレイお姉さまは混乱しながら、私の両頬を引っ張り続けるのでした。

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