粛清2
真夜中となるフェアライン大陸
私はノクゼンハープから東に位置する海岸…ノクゼンホルトにいました
あのイグラシア大王国軍残兵がここ、ラインツ王国に大量に潜入し、作戦指揮系統の拠点がここにあるからです
それよりも…
報告よりも数倍の残兵達が大量にラインツ王国に上陸していました
一体…どうやって第7騎士団の目を掻い潜って来たのかは分かりません…
王都襲撃の首謀者達に尋問します!
危うく私の立場が危なかったです…ホント勘弁して
きっかけは、王都近隣の森に謎の武装勢力がいるのを第3騎士団の騎士が見回りしていて目撃、報告を貰いました
現在、第2騎士団が奇襲攻撃を仕掛けて交戦中
です
ローゼンハイム家襲撃は報告書から知っていました
彼らが商人に扮して、謎の魔動兵器をローゼンハイム領近郊に運搬していましたよ!
立ち回りが上手くなってて腹立たしい!
私の団員が奴らを監視している後ろでイブが団員を監視していまして…
敵勢力はどちらにしても八方塞がりでしょうね…
ローゼンハイム領とその近郊はイブにとって庭の様な所ですから
何かあるとすぐにフェルクリスの耳に入り…私の家族に情報が流れるのです
私の団員達でもローゼンハイム領ではイブには勝てません
何回か実験しましたから実証済みです!
さて…話が逸れましたね
「誰だ?」
ノクゼンホルトにある廃棄された地下施設の見張りをしていた男
私は有無も言わせず、相手を切り刻み…中へと足を進めます
下側へと続く階段
レンガで積み上げて作られたその地下空間は時空の魔女が潜んでいた…あの場所と似て暗い気持ちになりそうです
そんな気分を替えようと…私は鼻歌を口ずさみました
聖女の頃に、たくさん聞いた讃美歌です
敵は私に気がつくと、大声を上げながら襲って来ます
ロングソードを壁や天井に引っ掻けては持ち直しながら、ぎこちない手付きで私を殺そうと剣を振ってきます
私は避けては懐に入り込み何度も何度も切り刻み続けて
相手の息が絶えるまでそれを続けました
孤児院に行くと、子供達が私の来訪のお礼に讃美歌をよく歌ってくれました
歌手の様にとても上手ではありませんが…
子供達は一生懸命に歌ってくれました
それがとても可愛らしく、健気に感じて好きでした
「お…お前!なんで人を殺して笑っていやがる!この悪魔め!」
悪魔…
なるほど、私は聖女から悪魔になったのですね
クスクスと私は笑いながらも、その男を切り刻みの刑に処したのでした
また鼻歌を口ずさみながら歩いていると
いよいよ本陣がいる部屋に到着してしまいました
ガチャリとドアを開けると…ご立派な軍服を着込んだ人達が真っ青な顔をして見ていました
「これはこれは~…どこかでお見えになったことがあると思いましたら、元イグラシア大王国の宰相様でしたか」
「ア…アイリス・ローゼンハイムッ…!」
クリス・クロレンツ国王がどういった処罰を下したかはご存知ありませんが
ピンピンしてここにいらっしゃるのですから、現国王に上手いこと取り入ってなんとかしたんでしょうね
「あら?今日はあのボロ布みたいなローブではないのですか?」
私が聖女召喚の儀に汚いフードを被った男…あれがかの国の宰相でした
なぜあんな汚いフード付きローブを着ていたのでしょうね?
「あれは…国宝級の魔導ローブだ!ボロ布ではない!」
え?ウソ…あんなものが??
どう見たってスラム街の浮浪者よりも酷い物でしたよ?あれ
「冗談でしょ?あれが??」
「いいや…あれは、魔力増幅に魔力消費削減が付与された国宝級のローブ!あれの良さが分からんとは…貴女も見る目がない…大体、最近の若者はすぐに宝石だのドレスだのを国宝級だと騒ぎ立てる!あんなもの見た目だけでなんの意味があると言うんだーーー
長々しいお話をし続ける元宰相(名前は知らない)
「そう思わんかね?」
いや……知らんよ!
同意を求められても…話半分しか聞いてませんでしたもの分かりません
「ま…いいです、それでは皆さんには聞きたいことが山ほどあるので、眠っていただきますね?」
「我を倒したら話してやろう!」
元宰相は携帯していた剣を鞘から引き抜いき
…
私を睨み付けていました
でも残念ですが、それは無意味な行動に終わります
「おやすみなさい」
私が人差し指を上に突き立てた後…その指を振ってあげますと
部屋にいた私以外の人達が崩れるように夢の世界に行ってしまいました
常時発動の仕組んだ催眠魔法
私が生け捕りにしたい時に使う魔法です
気持ち良さそうに眠る元宰相の顔を確認して、私は収納魔法の煙に手を入れ、時計を確認しました
2:45分。
この用途不明の地下空間を制圧した時間はわずか50分程度でした
「いいなぁ…私もベッドで寝たーい」
血で染まった騎士服を見てまたがっくりと項垂れて言いました
…私が寝る暇もない程追い詰められたのに、追い詰めた本人達はどうしてこう…気持ちよく眠っているんでしょう
気持ちよく眠っている元宰相の顔を蹴りたくなる衝動を抑えながら…部下達の到着を待っていました
しばらくして…
「おっ…お疲れ様ですっ!第7騎士団長っ!」
応援に駆けつけて来た、第3騎士団の団員に彼らの捕縛と牢獄への移送を指示して…
転移魔法を使って執務室に行きました




