各地のお祭りのお話
私達の日常は目まぐるしい程早く過ぎ…気がついた頃には1年が過ぎ去ろうとしていました
「はぁ…結局、季節のイベントをせずにまた1年が過ぎ去るのですね…」
私はお屋敷のサロンから、積もるほどではない雪をローゼンハイム領にはある我が屋敷で見つめております
「あぁ」
素っ気ない返事をしながら、クレイお姉様は夢中に本を読み更けていました
「弟たちも…もうお目目が見えて…」
弟たち…7つ子の子供達は目が開き…動くものを追い、目を合わせる者に笑顔を向ける愛らしい程に成長していました
「あぁ」
本当に粒のように小さかったお手手はちょっとした攻撃を行えるほどに成長しました…
先ほど、それを痛い程に実感したのです…
ルカが私のお鼻を引っ張って痛い思いをしましたもの
「あぁ」
…聞いてませんこのお方
「あっけないような日々でした…それは大きな男の子が…小さな女の子になって…ふと我に返ったら…私よりも大きくてたわわな胸を持つという腹立たしい事もありましたね…」
…そうなんです
この人、私よりも大きく…素晴らしいお胸をお持ちしていた事が発覚したのです
許すまじき…なんと神々は残酷なんでしょうね
「あぁ……ん?今なんつった?」
「え?弟たちの成長は早くて驚いたお話をしていましたよ」
「…そうか」
危ないところでした
このお姉様は危険です…
お母様の皮を被った…大悪党の化身ですから
すぐ怒り、すぐに頬を引き伸ばす危険なお方です
頬を引き伸ばす世界大会があれば、クレイお姉様は大会3位の実力者でしょう
…それはとにかく
季節はもう冬
そしてこの時期…フェアライン大陸には[聖神祭]があり…イグラシア大陸には[聖女祭]が始まります。
[聖神祭]は創造神の偉業を称え、それを壮大に祭る行事
[聖女祭]は初代聖女…アルメリア様の誕生を祝うお祭りです
共に10の日に行われる行事で
当然ながら…[大聖女]にされた私は…聖女祭には絶対に参加しないといけません
それに加え騎士団として聖神祭は更に忙しくなります
なんと言っても、全騎士団が20名づつ隊列を作り…王宮からオルグス正教まで行進しなければならないのです。
第1騎士団が[神の剣]を王宮から運搬してオルグス正教に届け、祭の終わりにまた[神の剣]を王宮に返す…という、めんどくさ…コホン、大変に名誉な公務があります…
同じ王都内で歩いて片道1時間の距離なのですが…この騎士団による大規模行進は、お祭り最大の目玉イベントなのです
この行進、その年の中で一番功績を挙げた騎士団が先陣を切って歩くのが決まりでして
この行進を見る王家と貴族…平民の方々は今年の先頭を歩く騎士がどこの騎士団なのか非常に注目されます
今年は残念ながら…私達、第7騎士団が任命されました
なぜこんな行進を嫌がるかと言いますと…
団長のみが馬に乗り…行進の真ん中で進む為、本当の本当の…本っっっ当に目立ちます
お父様やお兄様方が馬に乗り行進を進む姿に…胸を震えるほど感動したのですが
私がそれを行わなければならないのは…物凄く恥ずかしいのです
「あ?堂々としてればいいんだよ堂々とな!」
「あんなの…慣れれば大した事ないよ」
「儂はアイリスがその行進で注目されることを…父として誇りに思う」
経験者達は私の深刻な悩みをまともに取り合ってくれず…私は頭を抱えています
一方の聖女祭…こちらも私としては恥ずかしさ極まりない事で…
聖女祭専用の特注馬車に私と教皇が乗り込み、メリダス教団神殿からイグラシア王国王宮
王宮からアルクス公国の神殿
アルクス公国神殿からメリダス教団神殿に移動する大パレードが行われます
行った先々で祝言を唱え、道中は油断せずに街行く人々に手を振り続ける…
聞くだけでうんざりするイベントが待ち構えています
…イグラシア大陸は聖女様一人なので仕方ありませんが
フェアライン大陸では各国すべて共通で執り行われる行事らしいです
つまり、目立ち度が全然違うということです…
聖神祭ではラインツ王国のみで目立ち…
聖女祭ではイグラシア大陸全土で目立ちます
あれ?そう考えると騎士団の行進は大したことない気がしましたね…
…んん???




