後日談2~解決方法
「え?スキルの消し方?……ないよ」
「ですよねぇ」
私とクレイお兄様は、メリダス様の神殿の応接室でお茶をしながらご相談していました
目的はお兄様に授けられた【女体化】のスキルを消す方法を探る為です
「大変ですね…心中お察し致します、クレイ様」
「はは…ありがとうございます…教皇様」
顔をひきつらせながら、お礼を言うお兄様
本当に心中お察しします…
「失礼ですが…本当によく似ていますね…さすが姉妹…ではなく、ご兄妹ですね」
「そうですよね?私も時々、鏡を見ているのかなって思うときがあるんです!それに、最近もお母様と間違えたりしまして…大変なんですよ」
子供達の面倒を見ながら、たまたま通り掛かったお兄様を「お母様!」と間違えてお呼びすると「あ?お兄様だ…」と怒られるのです…
赤ちゃんがいるので怒鳴ったりされませんが…お外では「誰がお母様だ!お・れ・は・お兄様だっ!」と凄い剣幕で怒鳴られるのです…
…赤ちゃんだってお母様だと勘違いして泣き止むんですから、せめて赤ちゃんが歩けるようになるまで我慢してください
「大体さぁ~…無理だよ無理!時空の魔女ぉ?どうしてその事言わずに勝手に動いちゃったのさ~?僕ら神の使者だよ?そんなの君らじゃなくて僕が動かなきゃいけない事で、人間の君達の問題じゃなかったのに事後解決してからじゃ遅いよ…それに、まだ7つ子の顔見てないよっ!見たいよ!抱きたいよ!かわいい子供をっ!」
あぁ…出産後はまだお見せできてませんものね…
すごーくご機嫌の悪いオルグスさんに申し訳ないと思いながら、お説教を聞き流します
隣でずっとメリダス様が「ごめんなさいね…」とずっと言っていました
「はぁ~…」
お兄様は終始ずっとため息を吐いていました
ずっとお説教を続けるオルグスさんと、ハアハアため息をつくお兄様
私とメリダス様はこの困った2人を呆れながら、見ていました
…結局、何も解決法は出ず
私達はお母様代理で出産のご報告をしただけでした
「…少し寝る、呼ばないでくれ」
お屋敷に帰ったお兄様は、私室に入って行きました
…しばらく、一人にさせた方が良いかもしれませんね
弟達のお守りや、お兄様の問題が起きてしまったので悩ましいことです…
気を取り直し、私は国王陛下にご挨拶しに行きます
この時間は謁見の間にいらっしゃいますからね
転移っ☆
「またか!ええ加減にせえ!順番があるからいい加減守ってくれ!頼むよ!」
おっと…今は来客中でしたか…
これは失敬失敬…へへっ
私はバーリング?ホーリック?さんの横に立って大人しくしておきます
従者に装います
「…何をしておる?」
「え?私は陛下の従者になりきってます?どうぞ?お話しの続きを」
…
私が従者になるのが不満だったのでしょうか?
謁見の間から追い出され、謁見を待つ部屋…待合室に案内されました
当然ながら、待合室は誰もいません
さすが私!
陛下の謁見する時間の中でも人が少ないと思われる時間に来れるのですから完璧ですっ!
王宮の侍女さんがお茶を淹れてくださり、私はゆっくりとお茶を飲み過ごしていました
すると、待合室に1人…凄くお可愛らしい同い年ほどの女の子が私の方に来てご挨拶をしていただきました
「ごきげんよう!騎士団団長様!お初にお目にかかります!私、ルーティア・フロイツ・ラインツですわ!」
美しく綺麗な金色の髪…綺麗な海色の瞳…透き通る真っ白な肌…スッキリとした鼻筋…小さくも綺麗なピンクの唇
スラッとした体型に似合う青と白の綺麗なドレス…
う…美しい…
完璧な…美少女!
私採点で100点満点の女の子です…
はっ!?…いけません!この方は…
この方は第一王女様!
私はばっと立ち上がり騎士の礼をして名乗ります
「失礼致しました!第7騎士団…団長!アイリス・ローゼンハイムであります!王女殿下っ!よろしくお願い致しますっ!」
私の挨拶を見て、何か不満そうなお顔をしていました
「…ごめんなさい、やり直します」
王女様はそう言うと、待合室から出て行きました
ええぇ…ヤバいかも…王女様に失礼でもした…?
何が不味かったか…
座り直し、考え込んでいると…
また応接室のドアが開き…王女様が来ます
「ごきげんよう!ローゼンハイム侯爵令嬢…アイリス様!お初にお目にかかります!私、ルーティア・フロイツ・ラインツですわ!」
あ…あれ?そっちで来ましたか…
私は立ち上がり、カーテシーをしてご挨拶をします
「ごきげんようルーティア王女殿下、私…ローゼンハイム侯爵家の令嬢、アイリス・ローゼンハイムでございます…よろしくお願い致しますわ!」
私は令嬢式のご挨拶をします
王女様は「う~ん…」と考え込む声がしますが、私は頭を下げたまま動きません
「…出直します!もう一度だけ!」
王女様は再び、タタタっと待合室から出ていってしまい
私は頭を上げ…また座ります
…呼び掛けの肩書によって、挨拶を替えないといけないので大変です…
しばらくして…再び、ドアが開くと
…また王女様が私の前に来ました
「ごきげんよろしゅうございます…聖女様、私…ラインツ王国第一王女、ルーティア・フロイツ・ラインツでございます、よろしくお願いいたします」
「……ラインツ王国第一王女様、頭をお上げください、私は聖女アイリス・ローゼンハイムです…こちらこそよろしくお願い致します…あなたに祝福があらんことを」
私は両手を合わせ、祈るポーズをします
…聖女式のご挨拶です
全大陸で、国王よりも高位と制定される[聖女]として、嫌というほどメリダス様からご指導された礼儀作法です
ラインツ王国では騎士団団長として国王陛下にお会いしていますが、他国では[聖女]として各国に赴いています
なので、騎士団団長や侯爵令嬢…聖女様でもなんでもござれです!
「まぁ!やはりお噂は本当だったのですね!素晴らしいです!3度も失礼致しました!またお会い致しましょう!」
王女様は…嵐のように現れ…嵐のように去って行きました
その後、待合室に立っていた従者の方が「王女殿下のご無礼、大変…失礼致しました」
と胃の所を抑えながら謝罪していました
あぁ…辛そうですね
私は「いえいえ!お気になさらず」とお声をおかけしながら、彼にヒールをしてあげました
…やっとの事で、私が謁見の間にお邪魔できましたので国王陛下にお会いします
「こんにちは~国王陛下~…」
「なんじゃそのユルユルな挨拶は…」
私は片手でヒラヒラと手を振って国王陛下に挨拶しました
…というか、疲れました
挨拶疲れです
「ルーティア王女様に3回も挨拶致しましたから…今回は特別にお許しください」
「構わん…構わんが、貴女はいつも挨拶せんではないか…」
そんなことはないはずです
えぇ、ありません
…きっと
たぶん?
「ルーティアの事は失礼した…どうせ3度の肩書の挨拶をさせられたのじゃろ?」
「はい…そんなところです」
「全く…あの子も貴女も…儂の子らはなんでこんなにもお転婆なのかのぉ」
玉座の肘掛けに頬杖をついて悪態をつく国王陛下
んぇ?私も含まれてる?
あぁ、陛下に家族認定されたんですね
でへへ~
隣に控えるマーベリックさんは眉間に手を置いて苦しんでいました
「…で?赤子は皆元気か?」
「はい!母子ともに無事です!陛下もお顔を見に来ていただければ幸いです」
私の言葉に、国王陛下は少し考えてから口を開きました
「うむ…貴女が言うなら、伺ってやろう…」
おぉ!国王陛下が来ていただけるのですね!
子供達も物凄く喜びますね!きっと!
「殿下はローゼンハイム侯爵夫人のご出産に非常にご心配しており、使者に安産だったかを確認するように申し付けておりましたね」
「ボ…ボーリックよ!その様なことは言うな!儂の威厳がなくなるじゃろ!」
まぁ!
国王陛下までもご心配いただけるなど大変嬉しいです!
「大変嬉しゅうございますわ!!」
「ボ…ボーリックがずっと心配しておったからだ…べ…別に心配したわけではない」
あっ…あなたはボーリックって言うの?
…マーベリックさんだと思っていました
「落ち着きましたら是非、我が家の弟達の顔をお伺いくださいませ」
「う…うむ…そうしよう」
あ~…なんとなくですが、陛下はもしかしたら子供好きなのかもしれません
女の勘?です
国王陛下はその後、姿勢を正して言葉を続けます
「で?今回は何をやらかした?貴女の報告は1ターンでは終わらんのは分かっとる」
陛下の言葉に、私は一息ついた後…話し始めます
「事後報告で失礼します…ブラッドリー伯爵領…ノクゼンハープにて、魔女に遭遇、騎士団総長及び魔術師団団長とその他3で魔女を撃破…負傷者0、被害7」
「…被害内容は?」
国王陛下は冷静に聞き直します
ボーリックさんは魔女という言葉に喉を鳴らし、緊張していました
「騎士団総長…エリック・ローゼンハイムが不老不死に…騎士団副総長クレイ・ローゼンハイムが女体化及び不老不死…魔術師団団長のオリヴィエ・アールライナの急成長…メーヴィス・ローゼンハイムの不老不死が最固定、ドウェイン・ローゼンハイムが若返り不老不死…エカテリーナ・ファイアライゼンが若返り…不老不死、フィリア・ファイアライゼンが不老不死になりました」
あの時空の魔女による影響はエカテリーナ夫人と…なぜかフィリア様までも不老不死のスキルが与えてしまった
…なんでぇ?私も訳が分からないよ
まぁ…エカテリーナ夫人までは分かります
だって、お母様とお父様…オリヴィエさんとエカテリーナ夫人の4人で時空の魔女を封印したので…エカテリーナ夫人にも影響は出ることは本人も分かっている事でしたが…
…なんでフィリア様まで巻き込まれてるん?
私にはさっっぱり分かりません!お手上げです!
お兄様で精一杯です!
「はぁ~~~………ローゼンハイム家のみならず…ファイアライゼン公爵家までもおかしくするつもりなのか貴女は…」
「不服です!私も原因はさっぱり分かりません!」
私のせいじゃないもーん!
知らないもーん
私だって知りたいもーん
「…で、儂は衝撃的だったのはクレイ・ローゼンハイムが女体化とはなんだ?あの成りで乳でも膨らんだのか…?」
「破廉恥ですね陛下…お母様と私の中間…?みたいな容姿になりました」
私の言葉に陛下はなにやら胃の辺りを抑え始め…苦渋な顔をしていました
「いててててっ…そうか…大変じゃが頑張ってくれ…いててててっ…下がって良いぞ…いてててて」
帰れと促し始める陛下に私は食い下がってお願いを言います
「えぇ!?ちょっと待ってください!その女体化した理由が【スキル】なんです!!そのスキルの消し方教えてくださいよ!?」
しかし、手で払いのける国王陛下
「しらん…いててててっ…帰っておくれ…いてててて…帰っておくれ!!!」
怒鳴られた私は渋渋…引き下がったのでした
…けちっ!




