騎士団…団長モード!
私が騎士団本部に戻ると、ツルツルのガードナーが執務室で待ち構えていました
「プッ…ククッ…」
転移して…目を開けたらツルツルのガードナーがいますから…思わず笑いそうになりました
ランタンに照らされて光っているのですから…面白いですね
「笑わないでください…それで、その転移魔法で王宮に出向かわれたのでしょう?方針はいかほどに?」
副団長のガードナーは本当に有能な部下です
私の考えを即時に理解して、行動を起こす素晴らしい人材です
…ストレス発散に付き合わせてますけど、文句を言わずについて来てくれます
「すぐに第7騎士団を招集せよ!場所は騎士団広場!アイリス・ローゼンハイムの命令だっ!行けっ!」
「はっ!行って参ります!」
部下の騎士がいるときは威厳のある物言いをしていますが、ガードナーと2人の時だけは砕けた口調をしています
ガードナーは私が新人の頃からの付き合いですからね…猫被ってもバレてしまいます
待機していたガードナーが用意してくれたお茶を飲んで待っていると…お呼びが掛かります
さすがガードナーですね さすガーです さすガー…流行りませんね
さて、私も騎士団広場に歩いて行きます
…さて、ここから騎士団長モードでやりましょう!
騎士団の広場に向かうと、既に第7騎士団全100人が集まっていました。
早い対応はさすがです
私は木箱の壇上の上に乗り…大声を張ります
「諸君!私は帰ってきた!敵の策略にあやかり…偵察をして戻ってきた!こうして無事だ!…私がいない間…油断していた騎士はいないか?」
「「「「「「「おりません!!」」」」」」」
100人全員がビシッと姿勢を正して、私の言葉に大声で返事をする
「よろしい!では…今回の任務を発表する!この任務の主な趣旨は諜報活動だ!異議はないか!?」
「「「「「「ありません!!!」」」」」」
第7騎士団…私の家族であり、大切な仲間だ
たった16歳の小娘に従う40歳~16歳の男女。
100人の命を私は背負っているのです
「よし!ならば話そう!…3日前、私は異国に転移した!それは海を越えた未知の大陸…そして未知の国々だ!その国は大陸全土を掌握する力を持つ!その国は将来…侵略される恐れがある!その驚異となる力を徹底的に分析し…対策を講じる為、我ら第7騎士団が調査する!移動は魔術師団に私が赴き、転移の魔石を作り…最大50名…半数を送り込む!帰還も同様だ!失敗すれば命を落とし…帰還さえ不可能となる!それでも従ってくれるか?」
「「「「「仰せのままに!!!!」」」」」
…ありがとうみんな!愛してるよ!
ガードナーがタイミングを見計らって、走り書きで現地での諜報活動を行うメンバーの名前を書き示しました
さすガーです
「では…私が呼んだ者達は現地での諜報活動!残りは情報を整理する活動に分担させる!…まずは私、アイリス・ローゼンハイムとガードナー・ブルックリン!そして…ナタリア・フォーアイス!ケビン・ドーグマン!」
ガードナーが選んだ人選は、諜報活動に優れた人材を筆頭に、様々な者達を選別された。
そして、私が呼んだ者達がイグラシア大王国に諜報活動を行うメンバーになりました。
任務を言い渡した後…第7騎士団を解散させ、すぐに転移魔法を使って、魔術師団本部に行きました。
目的はこの転移魔法を私がいなくても使えるようにするためです。
この魔術師団には、大魔法師オリヴィエ・アールライナがいる筈です
…魔石集めをしていなければ
「ごめんくださーい」
「ひぃっ!」
あぁ…相変わらず魔術師団の方々には私は怯えられているみたいです
彼らは同じ魔力を持つ人達のオーラを読み取る事ができるそうで…
私のオーラは白い光が大きく出ているのですが…私が高難度の要求ばかりして来たので、また理不尽な要求をされることが恐いみたいです
テヘッ
「んー?あいりすー?あー…もしかして転移の魔法のやつでしょ?」
「えぇ…そうです!誰でも何度でも往復できる転移魔法を使える魔石を作りに来ました」
今日は偶然にもオリヴィエがいたお陰ですんなりと進みそうです
私よりも小さな身長をした青髪ツインテールの女の子なんですが…150歳の多分?不老不死の大魔術師さんです。
オリヴィエの研究室に2人で向かい、用件の物を作る話をしていました
「あいりすーが持ってきたドラゴンの魔石なら100年は使いたい放題できるんじゃない?…できるか分かんないけど」
魔石は魔物から出る石で、大きさによって使用回数が限られます
…もっとも、私が4頭のドラゴンを八つ裂きにして魔術師団に送った魔石の使い道が今できました
「ええっと…どうやって魔石に効力を与えるんでしたっけ…?」
「まじぃ?学園で習わなかったっけー?僕が教鞭握ったはずなのにー」
オリヴィエは、10歳から15歳まで通学を義務付けられた学園で魔術の教師を兼任しています。
…彼女は、私に偉大な魔法使いの才能があると言って、学園を卒業後に魔術師団への勧誘を物凄く推し進めていました
オルグスさんとオリヴィエ、お父様が3人で国王陛下を挟んで私の取り合いをしているのを見たときは…すごくみっともなくて呆れていました
私の希望通り騎士団には入りましたが…枢機卿みたいにオリヴィエに小言を言われませんし、やりやすい相手です
「えっと~まずはその転移の魔法に使われる構文を魔石に掘って~後はあいりすーが光の魔力を注ぎ込んだらかんせーだよ!行き来するってことは2ついるからね?」
「分かりました」
私は渡された魔石を掘ろうと彫刻刀を握ります
あまり得意じゃないんですが…やりましょう!
「まった!なんかすごく嫌な予感するから僕が掘り込むよ…構文をこれに書いて教えてー」
渡された羽ペンと羊皮紙に[光の使者よ…我が求める場所に導きたまえ]と書き込みました
それを見たオリヴィエは「うえ…超位魔法じゃんか…どこで拾ってきた魔法なんよ…」と愚痴を溢しながらも丁寧に文字を掘ってくれました
仕事で毎回掘り込んでいるからでしょうか?
オリヴィエは本当に上手く掘っていますね
「じゃ、これに光の魔力を注ぎ込んでみて」
言われるがままに、私は光の魔力を注ぎ込みます
周辺が明るくなりながらも、魔石はその光をどんどん吸収していきます
「めっちゃ魔力いるじゃん…やば~国宝級になっちゃうよソレ」
オリヴィエを無視してひたすら魔力を注ぎ込みます
かなり注いでるんですけど…全然満タンになりませんね…
「がんばれーがんばれー」
集中するために、目を瞑って魔力を注ぎ込みます
はぁあ!っと力を入れて魔力を注いでいたら
オリヴィエに止められました
「満タンだよ!ほら!」
魔石の中に光る液体がちゃぷん…ちゃぷん…と音を立てて動きました
久しぶりにちょっとだけ魔力を使いましたね
魔力を出したスッキリした感覚も本当に久しぶりです…
「なんかたっせーかんに浸ってるけど、まだ1個しかできてないよ…あいりすー」
「そうですね!次行きましょう!」
次の魔石にまた魔力を注ぐ作業をして…
完成しました!
透明な魔石に綺麗な光る液体の入った転移石…?が見事に完成です!
…綺麗で見とれてしまいますね!
「やばい代物作ったね…こ…これは世界一の至宝だよ…これ一つで国買えるレベルの大秘宝だよこれ!?うわー…どーしよ…こんなもの実務に使うなんて危険すぎるよ…君がとんでもない人間だというのは昔から痛いほど分かってるつもりだけどさ…これは国王も卒倒ものだよっ!僕だって卒倒しそうだもん…」
転移石を見ながら、顔をひきつらせてるオリヴィエ
何がそんなにすごいのか私には分からないけど、とりあえず…第7騎士団を送り込む転移石は出来上がって良かった…
これがないと私が大変だもの
「そうなの?使い終わったら砕いてネックレスとか…イヤリングにしたいんだけど…ダメ?」
「ダメに決まってるじゃん!?使い終わったら即刻破棄して未来永劫バレないようにしないと…これを狙って世界中が戦争になりかねないオーパーツだよっ!?ダイアモンドなんか非じゃないよ!?」
オリヴィエが興奮して話すので、ちょっと恐くなってきました…
そんなにすごい代物なんですねこれ
「コホン…とりあえず、これは周囲にいるだけで記憶した場所に転移できる覇権物のアイテムだから、目に触れられない厳重な箱で隠して使ってね…くれぐれも!僕と君以外には絶対見られないように!じゃないと本当にヤバイからね!」
念を押されて渋々頷きながら…私はその魔石の小さな…小さな2cmほどに割ってポケットに入れました
オリヴィエは反抗した時には、厳重な箱を探して、見つけた様で無言で転移石をしまってしまいました
あーあ…せっかくの綺麗な石が見えなくなりました
…残るはポケットにある小石だけです
「この箱には僕の施錠魔法を施したから、僕以外は絶対に破れないよ!箱を壊そうとしてもね!絶対に箱を開けられないよっ!試しちゃダメだからね!?」
あっ…ちょっと試してみようかなって思った矢先に念を押されてしまいました
ちょっと残念ですね
「はぁ…とりあえず、その転移石が使えるかチェックしないとね!詠唱はー…光の使者よ…我が求める場所に導きたまえ」
オリヴィエが詠唱すると、すぐにラインツ王国王都郊外の草原に転移していました
大丈夫そうですね!
後は、研究室に置いてきた転移石の場所をイメージして詠唱する…
「光の使者よ…我が求める場所に導きたまえ」
また一瞬の浮遊感を感じた後に、研究室に戻っていました。
「うん…完璧に出来てるね!それじゃー…この箱ごと持っていってくれあいりすー!おかげで僕も転移魔法が使える様になったし…今回はそのお礼ということで!んじゃ…またね!…光の使者よ…我が求める場所に導きたまえ」
オリヴィエは魔石に頼らず…すぐに転移魔法を自分の物にしてしまいました
…さすが大魔術師と呼ばれてるオリヴィエ
本当に転移しちゃうなんて…さすがの天才だと思いながら…私は帰路についた。




