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黒ずくめとの激戦

ヴァーヴァラ、ミニ図鑑、おさらい編


【魔術無効化】


稀に武器などが有する特殊能力。

読んで字の如く、魔術を無効化する。

レイズがヴァーマーとなった姿、零牙刀やアテネがヴァーマーになった姿がその力を有していた。

 目の前にいる三人のうち、γとαは動こうとしなかったが、βは地を蹴った。

 魔術を放ちながら、クリスを狙う。

「私は閣下を!君は奴を!」

「分かった、任せろ!」

 僕はカノンと言葉を交わし合うと短刀と槍を持って駆けた。

 そして、放たれた魔術を短刀で防ぐと、αに向けて槍を放った。

 が、αはそれを掴んで止めると、瓦礫を掴んで僕に投げてきた。

「くっ!」

 僕はそれをかわしながら、腰から手榴弾を抜いて投げた。

 すると、一度も動かなかったγが手を突きだして投げられた手榴弾を掴んだ。

 ボフンッと音がしたが、γは何ともなさそうに爆発した手榴弾を放り投げた。

「なるほど、結界か―――!」

 と、その瞬間、αが肉迫してきた。

 床に転がる兵士の死体から短刀を奪い取ると、それを僕に投げる。

 僕はそれを避けた瞬間、背後からバチバチと激しい音が響いた。

「後ろだ!」

 カノンの声に振り返ると、βが掌に稲妻を溜めて突きだしていた。

「まずっ!」

 僕は咄嗟に指に魔力を発生させて傀儡糸を生成すると同時にβは稲妻を放った。

 その離れた稲妻を僕は傀儡糸でうまく絡みつけると、それを振り回すようにαに向けた。

 だが、αは優雅にそれを避け、稲妻は壁に激突した。

「くっ……!埒が明かない!」

 僕はそう言いながら後退すると、カノンが背後から囁きかけてきた。

「これではダメだ。ここは少しリスクを冒して、誰か悪魔を―――。」

「いや、ダメだ。そうなったら今までの苦労が水の泡だ。」

「仕方ない……。じゃあ、汚れ役は僕が引き受けようか。もしかしたら誤魔化せるかも知れないし。」

 そう言いながら、カノンは僕を後ろに下がらせながら前に進み出た。

 そして、両手を上げる。

 と、その瞬間、地面に倒れていた兵士が立ち上がり、剣を持ってβに突進した。

「ッ!」

 βが驚く中、αが間に入って兵士を蹴り飛ばす。

 が、その背後で兵士が三人立ち上がり、槍やら剣やらを振るい掛かった。

 それはβが対応する。掌から炎を放出してそいつらを焼き払った。

 何だ……?死んだはずの人間なのに……。もしや、死んでいなかった―――という訳でもなさそうだが……。

「さすがに四人が限界かな……。」

 と、カノンは引きつり笑いを浮かべながら言った。

「ま、まさか―――。」

「そう、私が模倣(コピー)できるのは魔力の質や顔だけではなく、技もだよ。まぁ、これは魔力の流れを読み取ってそれをコピーして使っているから理論も何も分かっていないけど、これほど単純な技だったら私も出来るさ!」

 そう言いながら死体を巧みに操って、カノンは攻め立てる。

 僕もそれに乗じて短刀や槍を使ってγに攻めかかった。

 しかし、それはβがさせない。身を挺してそれを防ぐ。

 が、魔力を無効化する短刀はかなり有効で、かなりβは悪戦苦闘する。

 一方のαは四体の死体傀儡に攻められ、その度に首や頭を斬ったり吹き飛ばしたりしたが、それでも死体は立ち上がり襲いかかる。

「おらおらぁっ!」

 僕はβを攻めていくと、αとβは視線を交わし合うと同時に巧みな動作でお互いの立場を入れ替えた。

 αは僕の槍を掴むと、力任せにもぎ取って放り投げた。

「へっ、肉弾戦か、上等!」

 僕は短刀を懐に収めると、徒手格闘の構えを取った。

 そして、αと肉弾戦に縺れ込む中、カノンは死体を回避に専念させていた。

 死体は斬られようが吹っ飛ばされようが、その胴体と手か足、一本でも生きていれば何とか戦っていける。

 だが、βは魔力任せに焼き払いに来たから大変なのだ。

 死屍累々とは言え、死体に限りがある。

 出来れば温存したい。

 だが、死体は徐々に一体、また一体と焼かれていく。

「よし……!」

 その時、背後でロウェルが立ち上がった。

「お嬢さん、止血感謝するぜ。」

「いいえ。」

 どうやら、麻里亞が魔術を使わずに応急処置を施したようだ。

「衛!参戦するぞ!」

「無茶しないで下さいよ!」

 ロウェルの参加によってまたしても黒ずくめの戦士達はピンチになった。

 が、いきなり、すくっとγが立ち上がった。

 それと合図にバッとαとβがγの元に集結した。

「よしっ、チャンスだ!」

「いえ、待って下さい!」

 飛びかかろうとしたロウェルを僕は制した。

「何か変です……。」

 僕はそう言いながら床から斧を拾うと、連中に思いっきり投擲した。

 が、それはバシッと音を立てて、宙で弾かれてしまった。

「結界!?何を―――。」

 カノンが目を見開く中、βが両手を突き出しながらしゃがんだ。

 その肩にαは手を乗せる。

 そして、αの腰にγが手を当てた。

「何を……?」

 僕が呟いたその時、青龍眼がビクビクッと揺れた。

 は―――?

 慌てて青龍眼を作動させると、それが明らかになった。


「何だありゃ……。」


 物凄い勢いで魔力の奔流がγ、αを介してβに注ぎ込まれているのだ。

 その圧縮度に思わず、青龍眼から痛みが走ってきた。

 僕は痛みを堪えていると、それはβの掌に収束し、そして―――。


 ―――ッドンッ!


 一拍の空虚の後にそれは弾丸としてこちらに撃ち出された。

「くっ!」

 僕とカノンは咄嗟に魔力無効化(マギキャンセル)の短刀を突き出した。

 その瞬間、向かってきた魔力の弾丸は短刀の中に吸収されていくが、あまりの濃度に短刀が負荷に耐えきれず、バキンッと砕け散った。

「ぐっ!」

 その結果、残った余波が僕とカノンの身体を襲って吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。

「何じゃありゃ……。」

 僕が言う中、再度、黒ずくめの戦士達は魔力をβに注ぎ込み始めた。

「くっ、カノン、あの短刀は!?」

「もうないよ!」

 カノンが悲痛そうに叫ぶ。

 くっ、まずい、ここで手詰まりか―――!


『マスター。』


 その時、鼓膜に懐かしい声が耳に響いた。


『私がいることをお忘れではありませんか?』


 聖悪魔教会で、あの始まりのずっと前からいた、しぶといあいつの声が。


『不本意ながらも、一声呼べば馳せ参じる処遇でございますよ?』


「ならば応えよう。」

 僕は小声で呟きながら笑みを浮かべた。

「お前にこの状況がどうにか出来るならな……。さぁ、来い!」

 その圧縮された魔力の弾丸が撃ち出されると同時に、僕は叫んだ。


「―――!」


 その瞬間、ズドンッと音が響き渡った。

「―――着弾、終了を確認。」

 αは無機質にその言葉を発する。が、βは何かに気付いたように告げた。


「否、終了を否定。生存確認。」


「ひどいですね……マスター。もう少し早く呼んで下されば何とか出来たかも知れませんが。」


 魔力の弾丸が着弾した場所は埃が舞い上がっていた。

 だが、その中から声は響いてきた。


「悪かったな。だが、何とか出来たじゃないか。」

「そうですが……。」


 その声と同時に、一気に埃が風で吹き飛ばされた。

 そしてそこには大きな龍がそこに鎮座していた。

 僕はその鱗を撫でながら言った。


「ありがとう、ジャンヌ。」

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