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将軍に仕えし一時

ヴァーヴァラ、ミニ図鑑、おさらい編


神炎(かみほむら)


神宝の一つで隆史が保有する神の祝福。

体内の魔力、体力、脂肪を消費し、全てを燃やし尽くす炎を生み出す。

だが、それは加減を誤ると死も招きかねないため、隆史は『神の呪い』としばしば呼んでいた。


【神宝】


神の残した三つの宝。

神炎(かみほむら)神黒(かぐろ)神槌(ロン)の三種である。

例外的に神の清め(テイケカ)というのも存在する。


「―――こいつは驚いたな。」

 僕はAK-47(カラシニコフ)を脇に置くと槍を構えながら言った。

「僕が将軍に仕官した途端に盗賊様々が来たか。」

 僕が暗にそのことを伝えると、咲はニヤリと笑った。

 口が、オーケー、と動く。

「ふん、仕官したということはそれなりに出来るのだろう。私が相手をしてやる。」

 そして進み出た咲。

 僕もすっと槍を構えて進み出る。

「―――素人構えだな。」

 咲が小馬鹿にしたように呟く。

「もっと脇を締めろ。さもなくば、私の槍がお前の心臓を抉るぞ。」

「参考にする。」

 僕は脇を締めて構えると、咲はドッと地を蹴った。

 鋭い突き。

 僕はそれを見切ってかわすと、槍を突き出した。

 その槍は咲の顔に突き出され……。

 こんっ。

 その穂先はスッとずれた。小手を当てて逸らしたか。

 しかも、剣の要領で突きだしたがために無駄に槍を突き出してしまった。つまり僕の身体が浮いて無防備である。

 ちぃっ……!僕はそれを修正しようとするが、その隙を見逃す咲ではない。

 咲は槍を素早く手元に戻して、横の大きく薙いだ。

「ぐっ!」

 僕は腹に重い薙ぎを喰らいながらも足をしっかりついて持ちこたえる。

「ふん、口ほどにもない。」

 咲はそう冷たく言いながら僕に槍を突きつけた。

「貴様は槍を舐めている。出直してこい。」

「生憎、ここを守る以上は死守させてもらうよ。」

「ならば死ね!」

 咲はそう言うと同時に鋭い突きを放った。

 僕はそれを見切り……腰のベルトの右のボタンを押した。

 バンッと音を立てて斧が真上に飛ぶ。

 僕はそれを掴むと真横に薙いだ。

「くっ!」

 咲は咄嗟に槍を引き戻そうとしたが遅かった。

 一拍早く、僕の斧が彼女の槍を粉砕してしまった。

「くっ……引き上げるわよ!」

「はいっ!」

 咲と蕾は潮時と見たか颯爽と去っていく。

 なるほどね……カノンの策略か。

 僕は苦笑しているとバタバタと後ろから兵士達が走ってくる音がした。


「今回の働きは誠に天晴れであった。」

 クリスティー将軍は僕を呼び出すや否や褒め称えた。

「さすが、ロウェルが選抜しただけはある。いい目を持っていると直感的に思っただけはあった。」

「光栄であります。閣下。」

 僕が頭を下げると、女将軍はますます強く頷いた。

 だが、次の瞬間、その顔が憂いに満ちた。

「ふむ……。衛、私を守れる自信はあるか?」

「もちろん、ありますが。」

 クリスティー将軍はさっと視線を走らせる。

 だが、ここは彼女の部屋でしかも僕だけしか呼び出していない以上、二人っきりだ。

 もっとも、イヴのことを概念に入れれば別だが。

「実は……この城の中に間者がいる、と考えられるのだ。」

「ほう。」

「私の弟が探っているがうんともすんとも言わん。そこで強固なボディーガードが欲しいのだ。」

「―――何故、僕を信頼なさるのですか?」

 僕は小首を傾げて訊ねた。すると、彼女は頬を少し赤らめた。

「そ、それはだな……。私は過去、お前に似た奴に救われたことがあるのだ―――って何を言わせるんだ!」

「いや、自分から言いましたよね。」

「う……まぁ良い。とりあえず、差し支えがなければ私の側で仕えて欲しい。」

「畏まりました。」

 僕は頭を下げて言った。

 これは接近する良い手段だ。

 ここまでカノンは裏工作したのだろうか?

 だったら何らかの形でその間者が接触を図ってくる可能性が高い。

 それに籠絡するのも側仕えであった方が容易いだろう。

 僕がそう考えている最中、女将軍は安堵したような微笑みを見せた。

「良かった。では、私の部屋の一室を与えよう。そこで休め。」

「はっ。」


 そして、クリスティー将軍は僕にこの部屋と直接繋がる部屋を与えたのであった。

 これによって、僕は任務の成功に近づける……。


 訳でもないのであった。


「衛。ロウェルを呼んできてくれ。」

「はっ。」


「衛。判子をどこにやったか分かるか?」

「分かりませんよ……。」

「探せ。」

「―――はっ。」


「衛。甘味を欲するのだが。」

「畏まりました。」


 ―――使いっ走りとなっていました。


 しかも、分かった事はグリゼルダに似てかなり野暮ったい性格で、下着一枚で寝るたり出歩いたりする事もしばしばである。

 それを目撃するたびに殴り飛ばされるのであった。

 側仕えになってもう一週間が経ったが……未だに慣れん。

 僕は今日も宛われた部屋で起きると、そっと彼女の部屋を覗き込んだ。

 まだ寝ているようだ。

 起こさねば……。今日は下着でなければ良いのだが……。

 僕は恐る恐るクリスティー将軍の寝台に向かうと、彼女はあどけない寝顔で眠り込んでいた。

 それを可愛らしく思いつつ、僕は優しく囁いた。

「閣下。朝です。起きて下さい。」

「う……たか……し……。」

 ぎくっ。

 僕は思わず後ずさって引きつり笑いを浮かべた。

「ご、ご冗談を。僕は衛ですよ。」

「うぅ……?」

 と、そこで初めて将軍閣下が起床なさった。どうやらさっきのは寝言らしい。全く心臓に悪い。

 だが……僕の存在を知っている?文献でか?

 とにかく、用心は必要だな。

「あぁ……衛か。おはよう。」

「お、おはようございます。」

 将軍は朝の挨拶を終えると、寝台から降りて鎧を身につけ始めた。

「今日は何人か重臣を集めて会議を行う。弟を含めた重臣故、心配はいらぬと思うが……念のため、頼むぞ。衛。」

「仰せのままに。閣下。」

 僕が頭を下げると、同時にドアがノックされた。

「入れ。」

 クリスティー将軍は気安くそう言うと、ドアがキィ……と開いた。

「姉上。」

 そこにいたのはここでの重臣で将軍の弟君であった。

 どこかクセがあるのか、左肩が下がっている。


「さぁ、会議だ。行くぞ。」「はい。」

 

 

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