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クリスティー将軍

ヴァーヴァラ、ミニ図鑑、おさらい編


【江崎流武術】


江崎剣が始めた剣術とその弟、江崎衝が始めた拳法の総称。


江崎流剣術は身体を回転させるような動きで相手を翻弄し、斬りつける。

薙刀を元にした動きに近い。隆史が習得。


江崎流拳法は手首の動きと魔力を駆使して衝撃波を巻き起こして相手の肉体の内部に損傷を与える拳法。グリゼルダが習得。隆史に伝授。


ちなみに、その妹、江崎薙は神谷家に嫁ぐ。

その神谷家は神谷流剣術の開祖であり、内畑丈がそれを習得している。


江崎剣に関しては禁術に手をかけて転生を繰り返して生き長らえている。

が、戦乱に参加したか否かは不明。

 僕はロウェルによってガンダーラ城内に入る事に成功した。

「随分、立派なお城ですね。」

「うむ、居住まいだけはな。」

 ロウェルは顔を顰めながら言った。

 これ程の筋骨隆々の色黒男が顔を顰めると怖い物があるな……。

「イギリスによって改築されたのだ。いけ好かないが、防衛に便利なのはこちらだから仕方ない。」

 まぁ、確かに完璧な石造りで一部のミスもないように見える。

 余計な飾りもなく、防衛に専念しており、中は単調だ。

「と、ここが将軍閣下のお部屋だ。覚悟はいいか?」

 ロウェルは廊下の途中で足を止めた。そこにはツヤツヤと磨かれた石の扉がある。

「はい。」

 僕が頷くと、彼は咳払いして戸をノックした。

「誰だ?」

 中から女の声がした。

「ロウェルでございます。閣下の元で働きたいという感心な若者がおりまして連れて参りました。」

「そうか。入れ。」

 承諾。ロウェルはコクンと頷くと戸を引き開けた。

「失礼します。」

 僕も続いて入る……その瞬間、凄まじい勢いで既視感(デジャヴ)が襲ってきた。


 その部屋の中は女性の部屋らしかぬ殺風景な光景であった。

 鎧や剣ばかりで物騒だ。

 そんな中にその女性はいた。


「グリゼルダ……?」


 僕の口から思わず言葉が零れでた。

 それは我が師に似ていた。海の底まで射抜くような赤い瞳に緑の髪。それは彼女を彷彿させた。


「―――ん?私はクリスティーだが。」

 その女性が首を傾げて言う。その声で僕は我に返った。 

「も、申し訳ありません。知人によく似ていた者ですから。」

「構わぬ。それでこいつが仕官してきたという男か?」

「その通りです。」

「どこかで見覚えがある気が―――。」

 ぎくっ。僕の背中に冷や汗が一筋流れ落ちた。

 ここで悟られては意味がない。僕は先手を取るべく口を開いた。

「ぼ、僕の名前は清水衛と申します。」

「む……ではやはり初対面だったか。」

 クリスティー将軍はふむふむと頷いた。

「腕前は如何ほどだ?」

「まだ未確認ですが、かなり出来るかと。」

 細かい質問に応対するロウェル。どこかその表情は緊張している。

「なるほど。お前が言うのであればそうなのだろうな。どれ、私は手の者が時間を空けるには少し日にちが掛かりそうだ。とりあえず、裏門の警備を頼む。他にも何人か人をつけようぞ。これで何らかの手柄をあげた暁には大抜擢になるだろうな。」

 女将軍は笑みを見せながら言うと、近くの机に向かって紙を広げるとペンを走らせた。

「よし、辞令だ。よろしく頼むぞ。」

「はっ!」

 僕は敬礼すると踵を返してロウェルと部屋から出た。


「良かったな。これで名を挙げれば大抜擢だぞ。最近、ならず者も多い故、可能性は期待出来るぞ。」

 ロウェルは僕を兵舎に案内しながら言った。

 兵舎の中にはあまり人はいなかった。

「とりあえず、武器が必要だな。そうだな……重量がある物とか。」

 兵舎の武器庫にロウェルは僕を案内して言った。

 金属や油、仄かに血の香りもする。

「そうだ、棍棒とかどうだ?」

「いや……以前は剣を使っていたので……。」

「だったら斧か。いや、ここは趣旨を変えて槍に行くのも……。」

 そう言いながらロウェルは頷いて奥から槍を取り出した。

「とりあえず、槍だな。」

 えー、僕、剣や刀しか使った事がないのに……。

 僕が戸惑っていると、ロウェルは続いて奥から何かを取り出した。

「ベルトだ。これが便利でな。この腰のボタンを押すとここに装着されている武器が射出されるのだよ。お前の場合だと軽い斧がいいか。」

 ベルトも船に置いてきてしまったからな……。

 僕は苦笑しながら槍とそのベルトを受け取った。

 確かにベルトの左右にはボタンと簡単な装置がついている。すでにロウェルの手によって小ぶりの斧が取り付けられていた。

「一応、銃器も用意しておくか。ええと、軍用品がここらに―――ああ、これだ。」

 ロウェルは上機嫌に箱の中から銃を取り出した。

 今まで扱っていた拳銃とは違う、大きさは八十センチぐらいのいわゆる機関小銃という奴だ。

AK-47(カラシニコフ)だ。連射性にも優れた量産型の銃器。一応持っておけ。」

「はぁ……。」

 僕はその銃器を受け取ると、腰に引っかけた。

「銃の取り扱いは分かるな?量産性だからあまり性能は良くない。暴発も懸念せねばならない。気をつけろよ。じゃあ、場所まで案内する。」

 ロウェルは一方的に僕の武器を選び抜くと、満足げに兵舎を出た。

 僕はため息をつくと、彼の後をついていった。 


 僕は裏門でぼーっとしていた。

 ロウェルに案内され、ここに座って異常があれば合図すれば良い、と言われたが……。

「なぁに、ここに来るのは雑魚の盗賊だけさね。」

 一緒になった兵士は呵々と笑って言った。

「わしも日本人じゃげ、同郷の誼に少し話さ、しねか?」

「一応、来るやもしれぬと言われましたから。」

「隊長は真面目じゃからのー。」

 時々、その兵士と言葉を交わし合いながらぼーっと見張る。

 大分時間が経った夜、僕は座り込んでいるとふと何か変な気配がした。

 僕は槍を握ると、すっと立ち上がった。

「んあぁ?」

 兵士は怪訝そうな声を上げる。

「何か……いる!」

 僕はそう叫ぶと、カラシニコフを構えて発砲した。

 ズドドドッ!

 辺りに掃射すると、茂みからバッと何かが出てきた。

「危ない危ない。」

「さて、見つかったからにゃぁ、容赦はしないぜ。」

 そう言いながら現れたのは双子の槍使い……。


 咲と蕾だった。

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