パーティー?
「それで話を戻すが、ミサは土魔法でありながら、剣の腕一本でコツコツと魔物をたおしてレベル11に上ったんだ。レベル10の壁を越えた。よほど剣の腕がなければ厳しい」
「へーすごいんですね!……ん?でもどうしてギルド職員に?そんなにすごいなら探索者を続けなかったんですか?」
志崎さんが首を横に振った。
「……次のレベルに上るために必要な経験値はレベルが上がるたびに増えると言う話はしたよな?レベル11から、1年。レベル12に上ることができずに、ミサは探索者としてダンジョンに潜るのを辞めてギルドに就職したんだ。その時も、ミサは俺に嘘をついた……」
志崎さんがつらそうな表情を浮かべる。
「飽きちゃったってってな……。でも、今日の様子を見ると、とても飽きたようには思えない」
うん、楽しそうだったし、それにレベルが上ったってすごく喜んでいた。
ピロロと志崎さんのスマホが鳴った。
「ああ、すまない。時間だ……先に失礼するよ。帰りはこれを使ってくれ」
タクシーチケットを渡された。
いやいや、どこの芸能人ですか。
「そこまでしてもらうわけにはいきません」
「いや、俺が勝手にここに連れてきたんだ」
受け取ろうとしない私の前にチケットを置いて、志崎さんは足早に立ち去っていく。
「……面倒見のいい、お兄ちゃんだなぁ……」
それからゆっくりと朝食を続ける。
朝食なのに、さすが高級ホテル。
パン一つとっても、ふわふわでほんのり甘くて小麦の香りとバターの香りが鼻に抜けてとてもおいしい。
なんだかんだといろいろとお世話になっちゃったなぁ。
宿泊費も払ってもらったし。
黄色い派手なツナギ、結構すごい素材でできてるんだよね?あと、着替えも結局買ってもらっちゃった。
さて、今日はどうしようかな。5倍の経験値はおいしいけれど、どつき兎は怖いし……。
レベル8になったから4階層には進めるようになったとはいえ、二足歩行の魔物が怖いし……。
と、思っていたら。
「あー!いたいた!」
レストランに駆け込んでくる人の姿に目を向ける。
「お姉さま!まだいた!よかったぁ!」
「ミサさん……?」
手にはスマホが握り締められている。
「い、いま、お、お兄ちゃんから、メッセージが、はぁ、はぁ、届いて」
随分慌ててきたようだ。
「4階層の案内を、してやってほしいって」
「え?志崎さんにはミサさんのこと勝手に決めないようにってちゃんと言ったのに……気にしなくて大丈夫ですよ?」
ミサさんが頭をブンブンと横に振った。
「違うんです、あの、私が、もっと、お姉さまと……一緒に……その……もし、よければ、少しだけでも、パ、パ、パーティーを……」
あっ。
土属性にも関わらずパーティーを組もうとする人はミサさんはお兄さん目的の人やナンパ目的の人など不純な動機の人が多くて、結局ずっと一人だったと志崎さんが言っていた。
確かに私は志崎さん目的でもなければナンパ目的でもない。……それに、同じ土魔法だから土魔法をバカにすることもない。
「私はかまわないんだけれど、ミサさんには何のメリットもないんじゃない?まだレベル8の超初心者だし……その、戦うすべもないので」
ミサさんが苦笑した。
「レベル8で超初心者って意味が分からない」
「でも実際まだ探索者になって1か月もたたないんだよね……」
日付はよく覚えている。忘れたくても誕生日だから忘れられない。婚約破棄された日付もセットで忘れられない。
けど、いつか笑い話にするんだ。あの日が転機となって今の私があるって。
ああ、志崎さんの言うところの「ぎゃふんと言わせる」っていうのがそれに近いかな。
「それってすごいことだよ!聞いたことないもん。あのスライムを大量に倒す技で?なら、土魔法ってすごいよね!」
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続:な、つ、か、れ、た!




