ミサさんの過去
「スライムや蛇や兎じゃなく、4階層からは、二足歩行の魔物も出るようになる」
二足歩行の魔物?
「えーっと、ゴブリンとか?」
「知ってたか。そうだ。ゴブリンが出る。倒せなくても、レベルが8に上っていれば、1度や2度攻撃を受けても死なずに戻ってこられる。だから、レベル8は必要なんだ」
「倒せなくても?攻撃を受けても死なないなら、倒すこともできるようにならないんですか?」
志崎さんが首を横に振った。
「……2足歩行の魔物を倒せる人間と、倒せない人間がいる」
そうか。スライムや蛇やカエルとは違う。兎ですら倒すのを躊躇する人もいるだろう。
いくら魔物とはいえ。倒さなければこちらが倒されるとはいえ……。
「魔法攻撃が使える者は比較的この壁は超えやすいんだが、剣にしろハンマーにしろ……物理攻撃系はどうしても手に残る感触に耐えられないという者も少なくはない」
……そっか……。
「そのレベル8の壁というか、4階層からも戦える者が次に迎えるのはレベル10の壁だ。魔物の単純な能力も上がるが、頭もよくなる。連携も取り始める。倒すのが大変になる。遠距離攻撃が使えないと倒せない魔物も出てくる。そのうえ、倒しても倒しても、なかなかレベルが上がらない。まぁ、通常はパーティーを組んで挑むことになるが……」
志崎さんがちょっと視線を落とした。
「土魔法だと、パーティーに入れてもらえなくてな。それでミサはソロでコツコツと魔物を倒して経験値を貯めていった」
「えーっと、志崎さんがパーティーを組んであげなかったんですか?」
二人は仲がよさそうだし、志崎さん面倒見がいいのに……。ミサさんが拒んだのかな?
志崎さんの顔が曇った。
「……ミサは俺に心配をかけたくなかったのか、5人パーティーを組んで毎日楽しく魔物を狩ってると嘘をついてたんだ」
そっか。
「今思えば、土属性だからパーティーに入れてもらえないだけじゃなくて、土属性でもパーティーに入るか声をかけてくるやつらは俺と近づきたいという下心があるやつだったのかもしれない。だから、ミサは俺が利用されないようにパーティーに入らなかったのかも……」
確かにありそうだ。
志崎さんは自分のせいだとずっと自分を責めているのかな?
でも。そうじゃないかも。
「ミサさんかわいいから、ナンパ目的とかもいたのかもしれないですね」
「何?ミサをナンパ?」
志崎さんが驚いた顔をする。全く想像していなかったのかな?
「あー、ナンパか……。確かに漫画やなんかのハーレムパーティーのようなものに夢見るバカはいるな。命の危険が伴うというのに……そんな不純な動機でパーティーに誘うとかありえないだろ」
信じられないとつぶやきを漏らしている。
なるほど。志崎さんのダンジョンに対する姿勢はとっても紳士なんだね。
「有希も気を付けろよ。誰かにパーティーに誘われたら相談してくれ。俺が試験してやる」
真剣な顔で志崎さんが言うので、思わず笑ってしまった。
「まるで、お兄ちゃんですね。大丈夫ですよ、私はいい大人なので。そもそも誰も声なんてかけてこないですよ」
土属性なうえに、ミサさんのようにかわいくもなければ若くもない。
「大丈夫だというその言葉が一番信じられないんだ!あんな男に引っかかったくらいだから、また騙されるかもしれない!」
大真面目に私のことを心配してくれているのはわかるんだけど。
バカな男に引っかかるバカって言われてるみたいだ。まぁ、確かに過去の私はそうだけど。
「本当に大丈夫ですよ。もう、男はこりごりなので。バカな男に引っかかることもないですし、そもそも誰にも引っかかるつもりありません」
ほっと志崎さんが息を吐き出した。
ご覧いただきありがとうございます!わー、パチパチパチ!
志崎さんの、失言が止まらないwww
話題に出しちゃだめだよwあの男の話w
そして、ミサさんは頑張り屋さんのお兄ちゃん子でしたw
予想されていた方もいるように、4階層から2足歩行魔物出ます~。異世界じゃないと、きついよね、倒すの。まぁ、2足歩行じゃなくても動物みたいなの殺すのキツイ。何が一番きついかって、ダンジョンの外に出ると、日常が待ってるところだよね……。
犬や猫を蹴り飛ばすだけで残虐で異常者と言われる日常を過ごしながら、一方でダンジョンでは犬やウサギに似た魔物を殺す……人に似た姿の生き物まで……かなりキツイと思う。
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