砂埃
「……すでに、2回も魔力切れを……それは、なんというか……」
言葉を濁してしまった。
そうですよね。まだ私、探索者になって1か月もたっていないというのに、2回も魔力切れで意識を失って運ばれたなんて。情けないですよね。
紫崎さんが明らかに期待外れだというような顔をしている。
「ちゃ、ちゃんと気を付けるようにしてますから、前みたいに魔力切れで意識を失うようなことはないので……えっと……失望させてしまって、ごめんなさい」
いい大人のくせに、危険なことをするとあきれられたのかと思うと悲しくなって謝る。
「や、謝ることはない、謝らないといけないのはこちらだ……。勝手に、特級かもしれないと期待して、違うとしってがっかりしてしまった。表情に出ていたよな。不快な思いをさせて、申し訳ない……」
志崎さんが頭を下げた。
「特級?」
「知らないのか?」
「あはは、すいません、えーっと……。魔法が使える人の中でも、魔物が倒せるくらいの魔法が使える人は100人に1人くらいだという話は聞いたんですが……そのことですか?」
志崎さんが振り向き、人差し指を立て、軽く横に振った。
「おっと、邪魔が入ったな。【風刃】」
こちらに向かっていたどつき兎が光となって消える。
「す、すごい!今の、魔法ですよね?ふーじん……風神雷神の風神ですか?なら風魔法?」
「あー、いや、風に、やいば、刃とかいて風刃だ」
頭の中で漢字を想像する。風に刃……?
「ウインドカッター!」
志崎さんの頬が少し赤くなった。
「あー、そう、まぁ、うん、中二病っぽいよな……。ウインドカッターだったんだよ、昔はまんま……呪文……長いから変えたけど」
……なるほど?
「私に魔法を教えてくれた人は、イメージと言葉を結び付けることが大事だって……だから、イメージと結びついているならいいんじゃないかなって思うんですけど……?」
志崎さんがうんとうなづいた。
「そうだな。言葉とイメージを結びつけるのは大事だ。あとは動作とも結びつけるといい。俺の場合は呪文は【風刃】だけれど、動作で使い分けている。【風刃】【風刃】【風刃】」
呪文に合わせて、指先を横に軽くスライドする、肘から先を横に薙ぐ、腕を振り下ろす動作をする。
どつき兎を倒す魔法と違う。
肘から下を動かしたものは、ぶわっと池のようになっていたスライムがあっという間に吹き飛び光となって消えていった。
そして、腕を振り下ろした後は激しい砂ぼこりが立つ。
砂埃が少し収まると、目に映ったのはパクっと割れた地面だ。
なんというか、バトル漫画とかで地面がぼこっと大きな亀裂入りの穴があくような描写があるけれど、あれが丸ではなく線になったような感じ。
穴を掘ったのとは明らかに違う。
「すごっ……ごほ、ごほごほっげほっ」
砂ぼこりを吸い込んでしまった。
「すまん、あはは、砂まみれだな……」
須崎さんが私の頭に降りかかった砂を払うように私の頭に手を載せた。
「あ」
そういう意味合いはないとはわかっているものの、頭ポンポン見たいなことをされるのは照れるというか、35歳になってされるようなことじゃないから恥ずかしいというか……。
「ご、めん、セクハラするつもりじゃなくてっ!」
声を上げてしまったため、気を使わせてしまった。志崎さんが両手を上げた。
「そうだ、風で飛ばそうか?砂ぼこりを吹き飛ばすイメージで……えーっと、クリーンルームに入る前に風で埃を払うあんな風【風よ吹け】」
志崎さんがイメージを固めて魔法を使った。
ぶわーっと、体全体にドライヤーの弱の風を当てられたようになる。
ご覧いただきありがとうございます。
頭がジャリジャリって分かります?風が強い日に運動場の砂が舞って……最近の運動場は土じゃないこともあるらしいので、知らない人もいるのかな?地域によって……




