プール
主人公視点に戻ります
■視点戻ります■
「魔法が使えたのか……」
あれ?もしかして志崎さんはそれに驚いたからいつもと違う表情?
それとも、どうして教えてくれなかったんだって怒ってる……?いや、そんなことはないよね?
「あー、はい。ハズレの土魔法です」
土魔法なんてかわいそうにと哀れむ目を向けないように怒ったような表情になっているだけ?
「はぁー、いや、ハズレなんて失礼だろ、穴を掘って埋めるだけなのは確かだが……。漫画やゲームの魔法と違ったからってハズレだと言うのは……」
もしかして、遠回しに慰められてるのかな?
「気にしてないから大丈夫ですよ?それに、かっこよく魔法で魔物を倒せなくてがっかりした人にとっては、確かにハズレって言いたくなるのもわかりますし……」
志崎さんが頭を押さえた。
「まぁ、うん、そうだな、確かに、その気持ちも分かる。穴を掘るだけの主人公なんて漫画にはいないもんな……」
うーんと考える。
「あ、ほら、マイクランっていうゲームなら、主人公が穴を……」
志崎さんがまじめな顔で続けた。
「マイクランも敵を倒すときは剣だけどな」
「そうでしたっけ?」
首をかしげると志崎さんも首を傾げた。
「あ、いや、斧やスコップでも倒せたんだっけ?」
志崎さんがいつもの表情に戻ってほっと息を吐き出したのもつかの間、すぐまじめな顔に戻ってしまった。
「いつも、この方法でスライムを倒しているのか?君が考えたのか?」
「い、いえ、違いますっ!他の人が……えーっと、トンボを使っているのを見て、水切りゴムワイパーでもできるんじゃないかと思って真似しただけで」
手を横に振りながら答える。
「……なるほど」
志崎さんがちょっと考えごとをしながら返事をする。
「もしかしてプールは有希が作ったのか?」
私が、作る?ええ?なんで?池みたいなものがダンジョンの中に初めからあるわけじゃないの?
「プールって、何ですか?」
「知らないのか?すまない、俺の周りではずいぶん話題になっていたから知っているかと……」
謝られてしまった。
「いえ、すいません、見たら教えますと答えたのは私ですよね。誰かが泳いでたりして、見たらわかると思ったんですけど、私が作るとなると話が違ってるなぁと」
志崎さんが小さく頷く。
「プルーのように大きな穴のことだ。水は入っていない」
「あ、そうなんですね。穴だから、私が作ったかって……えっと、プールは作ったことがないです」
小学生が入るようなプールじゃないよね。中学校や高校にあるようなプール?それとも大人が入るプール……競技用?
学校だと25mプールだっけ。競技用は50mだったよね?深さはよくわからない。中学校とかは立って顔が出たかな?つま先立ちでやっとだったかな?だんだん深くなってたかな?どうだったかな?
「作ろうと思ったら、作れる?」
志崎さんの問いに、んーと考える。
うんと、25mプール?50mプール?オリンピックだと何コースあるの?何メートル?深さは?シンクロとかもするなら深い?
大きな穴……。
「あ、そういえば魔力切れで意識を失ったんだ!」
石像のような砂像を作ろうとして……あのときは20mくらいの大きさだっけ?
マキちゃんに運んでもらったんだよね。
「は?魔力切れで意識を失った?大丈夫だったのか?」
「はい。親切な人に運んでもらったので……その、恥ずかしながら、2回……」
志崎さんが頭を押さえた。
プール、調べました。
オリンピックとか50m×25mだそうです。
中学校とかは25m×15m前後だそうです。深さはやっぱりだんだん深くなる感じ~のようです。
あ、私、泳げません(カナヅチ)でプールの授業は恐怖の対象でした。拷問だよ、嫌いな人間にとっては……。辛かった。




