別視点 倉庫→研究所
別視点です。
倉庫から途中で研究所へと移ります
★別視点 倉庫の続き★
「あ、売れたようです。えーっと、倉庫に置いて置いてもじゃまなので、早速業者を呼んで発送してもいいですか?」
派遣社員が宅配業者を呼び、着払いで送り出した1階層の品が詰まった箱の数は100個。
「あはは、これで10万、いや、手数料を差し引いても9万」
うはうはな顔をする派遣社員を複雑な表情で男は見ていた。
所詮は今だけのことだ。来月からは1階層の品物の買取りはなくなる。倉庫の中もすっきりしていくだろう。
あぶく銭。堅実な生き方とは違う。金に踊らされているから、40過ぎても派遣社員なんてやってるんだろう。
そういえば、40過ぎってことは動員法によりダンジョンに行く義務があるはずだよな?結婚して子供はいるんなら別だが。
次の日、宅配業者が引き取って行った箱の数は320個だった。
「えーっと、420円を会社に支払わないと。それで、入金金額が……」
にやにやしている派遣社員の言葉を男は思い出していた。
すぐにどのダンジョンから出る品も同じだと世間が知るようになる。そうなれば今のように売れなくなる。
ふぅと、男は上司の元へと足を運んだ。
「まだ倉庫を圧迫が続いています。1階層の品の他、2階層の品の処分も検討してはいかがでしょう」
男はまだ27歳だ。探索者になりたくともなることはできない。そのため法改正前に探索者になった友人へと声をかけ、ダンカリで2階層の品まとめて1箱2000円で出品してもらうことにした。
ところ変わって、とある研究所
「まとめて出品されてる、これいいですね。買ってもいいですか?」
スマホから顔を上げた研究員Aが研究所、所長に尋ねた。
「1階層品、場所いろいろ、品もいろいろですか。まぁ、ちょっとずついろいろな品を買い集めるよりも楽でしょう。10箱1万。今月はこれで研究する品物の選定をしましょうか」
うんと研究員Aが頷いた。
「ダンジョンの産出物がやっとダンジョン管理事務所……国の管理から外れて私たちの手に届くようになりましたねー」
「ああ。小さな研究所ではいかなる危険があるか分からないから取り扱わせてもらえなかったが、ついに指定品目以外は自由に手に入れられる時代が来た」
ダンジョンが現れてからこれまでは、放射能を発するような「その場にあるだけで危険」な物がある可能性、
「未知のウイルスをばらまく」可能性、「外来種として生態系を壊してしまう」可能性、など、あらゆる危険を想定して設備の整ったいくつかの研究所でしかダンジョンの品を研究することが出来なかったのだ。
国を挙げての研究の結果、危惧したような害を及ぼすものはダンジョンからは出ないことが分かった。
動植物は繁殖ができない。魔物もダンジョンから出て増えることはない。
ウイルスの心配もなく、人体へ悪影響を及ぼす物が出ていることもない。
そして、魔石や鉱物や薬草と呼ばれるものなど、非常に有用な品はダンジョン管理事務所を通してのみ売買されるようになった。国が完全に管理している。小さな研究所に回される品はさほど多くはなかった。
「研究を続けたい品が見つかれば、次回からはその品を中心に買えばいい」
「自分たちで取りに行けそうなら取りに行けばいいですしね」
所長がうなづいた。
「そうだな。荷物は明日届く。何が入っているか楽しみだな」
それから、4日後。
「所長、こ、こ、こ、これ、見てください……!」
研究員Aの興奮気味の声に、所長が手にしていた報告書を机の上に置き、顕微鏡を眺めた。
「これは……」
倍率はさほど高くない顕微鏡。砂のかけらが散らばっている。その散らばった砂のかけらのいくつかが動いているのだ。
同じ方向に向かってゆっくりと。
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少しばかり忙しくなってきて、毎日コツコツ更新が怪しくなってきました……(時々間に合ってない)
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