別視点 よこながしきんし 親会社倉庫の人の視点
別視点となります。 周りの反応を少しずつ。
別視点<親会社倉庫で働く人>
とある会社の倉庫。
「あー、どうするんだこれ。もうこれ以上倉庫に入らないぞ?」
台車に1階層と書かれた箱を4つ積んで倉庫に来た男が頭を抱える。
「いくら研究用資材として販売すると言っても、1階層の物はもういらんだろう」
男の声を聞きつけ、奥から派遣社員の中年の男が現れた。
「今月中はまだ1階層の物を会社が買取るんですよね?……今月、まだ半分残ってますけど、絶対に置く場所足りないですよ?処分するように会社に掛け合ったほうがいいんじゃないですか?この現状を見てもらえばすぐに処分してくれって言うと思いますよ?」
「そうだよなぁ。処分しないと、上層階の品を収める場所もない……。1階層の品なんて欲しい時にふらっと行って自分で取ってくるころだってできるから、金を出してまで欲しがる人はいなくなるのなんてすぐだよな?」
派遣社員の中年の男がしたり顔で頷いた。
「そうですねぇ。まだ多くの人は気が付いていませんが、すぐに事実は広がりますよね」
倉庫で子会社や下請け会社から集められたダンジョン探索品の整理をしている男たちはすでにうすうす気が付いていた。
「そうだよなぁ。ダンジョンごとに違うものが出るかもしれないと全国各地のダンジョンから品物を集めてるわけだけど……どう見ても一緒だよなぁ」
社員が支社から送られてくる箱をを開いた。
「そう、すぐに気が付かれますよ。自分で取りに行くか、知り合いに頼んだほうが早いって。北海道のダンジョンの物が欲しいとか、沖縄のダンジョンの物が欲しいとかないんですから」
派遣社員の言葉に、社員がうなづいた。
「よし。ちょっと上と掛け合ってくる」
社員が倉庫に運んできた台車を押して出て行った。
先ほど支社から送られてきて開封して分類したばかりの1階層からとってきた品物だ。
上司に見せると、すぐにため息をついた。
「そうだなぁ。どのダンジョンでも同じなのは明らかでしょう。処分と言っても、ダンジョンに捨てるわけにもいかない。産業廃棄物としても、ダンジョン産のものは量に制限が設けられているからなぁ……」
上司がさらに上に確認を取った。
2日後に、派遣社員に告げられた。
「1階層から出たものは処分が決定したよ。保管料もばかにならないということで。週にコンテナ1つ分までの量に限るが……」
社員の男は大量に保管されているダンジョン産の品が詰まった箱を見た。
週にコンテナ1個分じゃあ、増える量に追いつかない。
にやにやと派遣社員の男が笑う。
「どうせ処分するなら、こうしたらどうです?」
スマホを取り出し、ダンカリの画面を見せる。
「第一階層採取物。採取ダンジョンはいろいろと混じっています。着払いのみで発送。画像は見本となります……と、こんな感じで出品すれば少しは引き取り手がいるんじゃないですかね?」
社員はうーんと頭を抱える。
「これは、横流しに当たるからしてはいけないことだ」
派遣社員の中年の男が舌をちろりと出した。
「はぁ、そうですか?売れるのは、どのダンジョンでも1階層で取れるものは一緒だと言う情報が知れ渡る前、今しかないんですよ?会社はこの大量の品をどうするんですか?っていうか、まだまだ増えるんですよね?」
社員が派遣社員の男の言葉に身じろぐ。
……こういう狡猾な、ちょっと悪いことをしてもばれなきゃいい、むしろ自分はいいことをしてやっているんだという考え方が社員には受け入れられなかった。
「……君が、10箱1円で買取りたいと言っていると、上司に相談してみよう」
それならば横流しではなく売買だ。
倉庫に積まれた箱は、どこかへ売るための物だ。買い手がつけば売る、それならば横流しには当たらない。
処分するつもりだったものなのだから、1円でも売れれば処分費用の節約にもなるため、すぐに許可が下りた。
派遣社員はすぐにダンカリに出品している。
1箱1000円。10箱で1万円。
こんな処分にも金がかかる物が売れるのか?
ご覧いただきありがとうございます。眠いです……すいません、中途半端……おやすみなさい。




