第七十三夜 ―― 断ち切られた黄金と、茨の暗闇 ――
第七十三夜 ―― 断ち切られた黄金と、茨の暗闇 ――
王宮の庭。鋭い刺を持つ「茨」が、夜の風に揺れて不気味な音を立てている。
ザルカ王は、その刺を避け、顔をしかめた。
「……サフィア。カマラは何という愚かなことを口にしたのだ。魔法使いにその事実を漏らせば、どうなるか分かっていたはずだろうに」
サフィアは、一本の鋭い「ハサミ」を取り出し、第七十三夜の語りを始めた。
◆ サフィアの語り 第七十三夜 ――「露呈した秘密と、墜落する希望」
『……ねえおばあさん、最近、洋服がきつくてたまらないの。なぜかしら?』
カマラの無垢な一言が、魔法使いを激怒させました。
『……この親知らず! 隠れて男を招き入れていたのか!』
魔法使いはカマラの豊かな黄金の髪を掴むと、バッサリと切り落とし、彼女を人里離れた荒野へと放逐しました。
その夜、何も知らぬ王子がいつものように塔を訪れました。魔法使いは切り取ったカマラの髪を窓から垂らし、王子を誘い入れました。
目の前に現れたのは愛する乙女ではなく、復讐に燃える魔女でした。
『……お前の愛した小鳥はもういない。猫に食われたよ!』
絶望のあまり、王子は塔の窓から身を投げました。一命は取り留めたものの、運悪く落ちた先にあった茨の刺が両目に突き刺さり、彼は光を失ってしまいました。
盲目となった王子は、暗闇の中、ただカマラの名を叫びながら森を彷徨うこととなったのです。




