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出口

「やはりそうか……。」

 安国寺恵瓊は呟いた。

「今、石田や宇喜多は福島らの攻撃を血眼になって押し留めている。ただ奴らも必死。真後ろに家康が居る以上、躊躇するわけにはいかない。どちらも苦しい状況にある。ここで我らが家康の背後を狙ったら……。」


 徳川方は瓦解する。


「その事は広家もわかっているはず。しかし奴が動かなかったと言う事は……。」


 吉川広家は徳川家康と通じている。


「と考えて間違いは無い。ここは秀元に強権を発動させ……いやそれはやってはならない。戦線離脱していたはずの秀秋が松尾山を奪おうと行動している。これ以上、毛利が内輪揉めしている姿を晒すわけにはいかない。かと言ってこのままにしていおいては関ヶ原の連中が持たない。広家はそれで良いかも知れないが。もしこのいくさ。徳川が勝った場合、斬り捨てられるのは私。総大将となっている輝元様が不問とするには、それ相応の代償を必要となる。

『輝元を唆したのは恵瓊だ。』

と……。これだけは絶対に回避しなければならない。そのためには……。」


 このいくさ。是が非でも家康を倒さなければならない。


「ただ広家は秀元様に内通している事を打ち明けていない様子。秀元様は広家の行動に激怒しているのがその証左。打ち明けていない理由は他にある。それは……。」


 もし徳川方が敗れた場合。


「の事も想定しているであろう。恐らく奴は、家康が退却となった場合の事も見越している。家康の負けは広家の立場を悪化させる事になるから。これを回避するためには、それ相応の手柄が必要となる。それが家康の首。しかし広家の手勢だけで、徳川の大兵を打ち破る事は出来ない。3万に抗しうる規模が必要となる。その時、役に立つのが秀元様の軍勢。その事も想定しての待機なのであろう。しかし……。」


 そのような身勝手な真似は許さぬ。


「秀元様は家康打倒を誓っている。同じ事は長束や長宗我部にも言える。私の手勢も合わせれば2万を超える。これだけの軍勢を以てすれば、家康を倒す事も不可能では無い。ただ問題なのが、家康の背後を衝くためには広家の陣地を通らなければならない。その広家が参戦を認めていない以上、秀元様も動く事が出来ない。……忌々しい。家康の背後に回り込む事が出来ないまでも、関ヶ原で戦っている宇喜多に小西。そして石田。更には松尾山で踏ん張っている大谷を救う手立ては無いものか……。しかし出口は広家に塞がれてしまっている。……ん!?」

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