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迷い迷って辿り着いたのは……あなたの隣でした  作者: あさぎ
二章 大雨の後の澄んだ青空
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18.親友同士、陰と陽

 


 サイラスと別れて、どんどん離れていった友人達。

 私の八つ当たりが原因で、皆いなくなってしまった。


 自分のした事が原因で皆が離れていく、この光景には見覚えがあった。


 まるで前世での出来事をなぞるかのようで……ああ、またかって感じだった。


 分かっていたから、すぐに諦めるつもりだった。

 孤立の苦しみを受け入れるつもりでいた。




 でも、あれからもうすぐ二年になる今……ありがたい事に、皆戻ってきてくれた。

 なんとなく気まずかっただけで、そこまで私が嫌われていたわけじゃなかったみたいで。


 いや、前の世界でももしかしたら……こうなるはずだったのかもしれない。

 こうやって時間が解決してくれたのかもしれない。


(でも、あの時の私は……自分のことばっかり考えて、八つ当たりして……そうやって自分から離れていって、勝手に苦しんで……)


 自ら自分を追い詰めていって、苦しんだまま終わってしまったのだった。




 だから、反省すべき点はいっぱいある。


(でも、だからっていつまでも過去に囚われていちゃ駄目)


 前世は前世。今とは違う、もう終わった世界。

 今更過去は変えられない。


 暗い思考を無理矢理頭の隅に追いやって、目の前に集中する。


(今は今!……よし!)


 頬を思いっきりパン!と叩きたいくらいだったけど、人前なのでそれはさすがに自重した。




 人の前。

 そう、今の私の目の前には親友のローラが椅子に座っている。


 今日は久しぶりに彼女を自室に呼んで、お茶を飲みながらお喋りしていた。


「あっ、もうこんな時間。日が暮れて来ちゃった……ローラといると時間を忘れちゃうわ」

「久しぶりね、アンナとこうやって長々お喋りするのは」

「そうね。やっぱりお喋りするならローラが一番楽しいわ」

「ふふっ。そう言ってくれるの、あなたくらいよ」

「あら、どうして?」

「皆、私のことお喋りすぎて疲れるって言うんだもん」

「そうかしら?」

「私達だったら、これが普通なのにね〜」

「ね〜」


 いつも通りの他愛もない会話。

 しかし、今日のローラはいつもと違ってなんだかキラキラしていた。


 元々よく笑う明るい子ではあった。でも、今日はより一層輝いていた。


 何が、というわけではなくて全体的に輝いて見えるのだ。

 瞳も、お肌も、髪も、そしてその周りのオーラまでも。


 元々美人だったけど、さらに幸せいっぱいのオーラを纏って、いつも以上に際立って見えた。


 比喩じゃなくて本当に宝石のように光り輝いていて、見ているこちらが眩しいくらいだった。




 なぜこんなに幸せそうなのか。


 その答えははっきりしている……彼女は愛する人との結婚式を間近に控えているのだ。


(いいなぁ、幸せそうで)


 私には到達できない場所に親友はいる。

 近いけど、はるか遠い存在となってしまった。


(私には、もう当分チャンスはないんだろうな……)


 お茶を啜り、湧き出した黒い感情を押し流す。


 チラッとローラの方を見ると、タイミングよく彼女の薬指がキラリと光った。


「それ、もしかして婚約指輪?綺麗ね」

「ありがとう。そう……これ、プロポーズの時にもらったの」

「プロポーズ!……っていうと、やっぱりあれかしら?箱をパカって?」

「そうそう、跪いてこう……パカってやって……」

「わ〜!いいな!憧れちゃう!」

「そんな大した事ないわよ。むしろ、もう付き合って7年よ?遅い!って言ってやりたかったくらいだわ」


 でも、彼女は『プロポーズしてもらえた』人。


 恋人に結婚相手として認められた人であって……本人は謙遜してああは言っても、大した事『ある』のだ。


 好きな人と出会って、恋愛して……そして愛を深めていって。

 その結果のプロポーズ。


 相手次第だから、正しい進め方なんてどこにもなく。

 それに途中で相手の気が変わらない保証なんてない。


 それでも、彼女はその過程全てをクリアし結婚まで辿り着けた……すごい人。


「ちょっと、憧れの眼差しやめて!別に普通よ普通!」

「そうかなぁ」

「アンナだって、そのうちもらえるわよ」

「そうだと、いいけど……」

「そうに決まってるわ!だって今、恋人はいるんでしょう?それならすぐに……」

「……サイラスとはとっくに別れたわ。今は独りよ」


 セルジュさんはまだ、ただの知り合い止まりだし。


「あら、そうだったの。え〜っと……それじゃあ、あの人は?えっと、あの……幼馴染の……」

「ああ、ハルの事?」

「そうそう、ハロルド君。よく一緒にいるじゃない」

「ハルは……ないわ、流石に」

「彼、なかなか優しそうだと思うけどなぁ」

「優しいんじゃなくて、優柔不断なだけよ」

「あら、よく知ってるわね」

「昔からの付き合いだからね」

「それなら、尚更いいじゃない。付き合っちゃえば?」

「ないわ、彼だけはない」


 それでも彼女はしばらく私の恋人候補としてハルを勧めてきたけど……ないないと首を横に振り続ける私に根負けし、とうとう諦めたようだった。


「そう……じゃあ今は完全にフリーなのね」

「……」

「でも、落ち込む必要はないわ!アンナみたいないい女、放っておかれるはずがない!次よ次!」


 そんな励ましの言葉も、今の私には棘となって刺さっていく。


(次に行きたくたって、誰もいないのよ……!あなたと違って!)


 明るく輝く彼女に照らされ、心は暗く暗く染まっていく。


 彼女を太陽とするなら、私は月だ。

 それも、何も見えないほど真っ暗闇の……新月。



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