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迷い迷って辿り着いたのは……あなたの隣でした  作者: あさぎ
二章 大雨の後の澄んだ青空
17/34

17.こういうの、好きなんだ

 


 カフェからの帰り道、セルジュさんと別れた私は馬車に乗り家に向かっていた。


「あれ?アンナじゃないか」


 道の途中で、ふと聞こえてきた聞き慣れた声。


「あら、ハル」


 そう言いながら、御者にストップをかける。


「こんな時間に会うなんて珍しいな」

「あなたこそ。いつもこの時間、家にいるのに」

「僕はね……親戚の屋敷に行ってたんだ。つい最近改築したらしくて、ぜひ見て欲しいって招待されてさ。アンナは?」

「私?私は……」


 言葉に詰まってしまった。


 素直に言うべきか、言わないでおくべきか。

 セルジュさんと何度も会ってる事。


(いや、でもまだ付き合ってるわけじゃないし……また心配かけても嫌だから、やめとこ)


「ちょっと……その、ちょっと遠出して森林浴に行ったの」

「森林浴かぁ、いいね。今日はいい天気だから、部屋にいちゃもったいないもんね」

「そう、そうなのよ」


 なんとか危機回避。


(ふぅ……)


「……ところで、その格好どうしたの?」


(ぎくっ!)


「えっ?!こ、これ?」

「そう。今までとは違う雰囲気だなって思って」


(ぎくぎくっ!)


 やばい。私の変化に気づかれた。


 もしかしてセルジュさんの存在、勘づかれてたり……?


「あ、ええと……たまには気分を変えようかなって思って。ハル的にはどう?」

「えっ?!」


 話の主導権をハルに返すと、不意打ちされたかのように焦り出した。


「どうかな、これ。似合う?」

「あ、え、あ……えっと……」

「ハル……?」


 元はと言えば彼から切り出した話。

 なのに、とても慌てていて……


「いや、その……ええっと……か、かか、可愛いなって、思って!」


 茹蛸のような真っ赤な顔で、変にうわずった声でそう返ってきた。


(はは〜ん。なるほどなぁ)


「ハル、もしかして……こういうのが好きなの?」


 わざとニヤニヤしながら聞くと、視線を逸らして黙り込んでしまった。

 どうやら図星らしい。


(そうなんだ、意外。でもごめんね……あなたのためじゃないのよ、これは)


「へ〜。ハルって、こういうタイプが好みなんだ。結構王道が好きなのね」

「……っ!」

「あら、顔真っ赤よ?」

「う、うるさい!」

「耳まで染めちゃって!」

「見ないでってば!」

「ふふふ。ハルの秘密、知っちゃった」

「ううう……誰にも言わないでくれよ?恥ずかしいんだから」

「う〜ん、どうしようかな〜」


 ニヤニヤが止まらない私。


 それを見てハルは、帰るよ!と急に言って御者を急がせ、あたふたと立ち去っていった。


 これ以上いじられたら堪らないと判断したんだろう。


(面白いネタ手に入れちゃった。忘れた頃にまた言ってみよっと)


 慌てる彼の顔が浮かび、思わず笑いが溢れる。



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