10話 幸せの最中に
「おーい、一郎
少し手伝ってくれ!」
「はい!父上!今行きます」
「ふふ、転ばないようにね」
そんな会話が起きているのは駿河の家だ
20歳で結婚した後にすぐに子どもができた
名前は一郎
駿河仁右衛門
駿河たき
駿河一郎
の3人家族である
そして28歳になった彼は飛脚は辞めて
気にかけてくれていた奉行の所に仕えている
これは通常では殆どあり得ないことだが
幼き頃から奉行は彼の私生活や仕事ぶりを見ており
近くに置きたいと考えたのだ
「では仕事に行ってくるぞ
一郎よ、たきをしっかりと助けて
学問にも励むのだぞ」
「はい、父上!
母上の手伝いは出来ることも増えましたし
寺子屋は楽しゅうございます!」
「そうかそうか、頼もしいな!」
「あなた、一郎はまだ8歳ですけど
とっても頼もしいですよ
家の様子をずっと見てもらいたいものですね」
「見たい気持ちはやまやまなんだがなぁ
最近町が発展したのもあり仕事が
忙しいものだからな
奉行様も大変だし頑張らねば
家のことは頼んだぞ」
「あなた、気をつけていってらっしゃいませ」
「父上!いってらっしゃいませ!」
そして父の仁右衛門は奉行の屋敷へ行き
発展した町をまとめる為に動いている
一方たきは家で出来る仕事として
編み物をしており
大変評判が良く奉行様の屋敷に納品もしている
一郎は寺子屋に行くまでの間や帰って来てからも
手伝っている
「一郎、いつもありがとね
たまにはお友達と遊んだっていたんだよ?」
「いえいえ母上!
私は手伝えることが楽しいのです!
寺子屋でも友達と遊ぶ時間はありますし
家ではこうしていたいのです!」
「そう?何かあれば言うのよ?
奉行様の所へ納める物もまだ時間はあるから
焦らなくていいからね
そろそろ夕飯の準備してくるから
この部分の縫いだけ同じできる?」
「任せてください!」
こうして幸せな日常が過ぎていく
「一郎はなぁ、、
ワシには勿体無いくらいいい子でのぉ
たきの手伝いも何でもしておったし
嬉しかったのぉ」
「ふふ、聞いてて羨ましくなるくらいです
お子さんが大人になる頃はどんな感じ
だったんですか?」
「うむ、そこなんじゃがのぉ
多分、、、いや確実にワシがこの世界に留まっている
理由はそこなんじゃ
一郎が大人になり、、、その後じゃ
ワシは何も出来なかったのじゃ」
「言いたくないところもあるでしょうし
そのあたりは今すぐに言わなくてもまた
後日でも、、、」
「いや話させてくれ
話すことで見えてくるものもあるかもしれないしの
それが君の役割を果たすことにも繋がるはずじゃ」
「そうですか、、、
では聞かせてください」
「うむ
実はワシが40歳の頃、そして一郎が20歳の頃の話じゃ
戦乱の世が終わり平和だったんじゃが、、、」
幸せだったはずの
駿河一家に一体何が起こったのだろうか




