表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜の舞う摩天楼  作者: ハイク
第二章 魔王軍
65/68

63話 覚醒進化(8)

~前回のあらすじ~

・俺達の戦いはこれからだ!

・海の魔王二人は幸せな生活をして終了

・ウンディーネ「これまでの恨み!!」

「神は死んだ…」

「急にどうしたんですか!?」


未来りばいあと会って三日。私は今、才能の無さに打ちひしがれていた。

そう、思い返してみれば、最終的な『決定』は全てりばいあが行っていた。それが意味すること、それは…


「私っているだけじゃん!何もできないじゃん私っ!!」


それがなぜ才能の無さに直結するのかというと、一度隠れてりばいあのやっている事を真似てみた事がある。手頃な石を積み上げて印を作る?バランスの問題ですぐに崩れた。少し遠足気分で今の家から離れた時はすぐに方向感覚が行方不明になった。海の支配者と名乗っておきながら・・・


「で、でも、他にも出来る事はいくらでも・・・」

「ない!そんなん絶対ない!!」


もし裁縫が出来ても、もし料理が出来ても、ここ海ですから。海で出来る事全部思いつく限りやってこの結論だ。


「じゃあ、白さんに聞いてみますか…」

「なんでそんなニセドラゴンに聞かなきゃいけないんだよ!」

「全部聞こえてるぞ?」

「ピャアアアアアアアアアアア!!」


「ど、どうやって私の索敵を見破った!!」

「そりゃ今来たばっかりだし。」


……へ?


この後白から説明があり、白は神となりこの世界を自由にできる立場にあるそうだ。だから当然目の前ワープも出来る・・・

「いやいやいや、何全能感ぶってんの?この俺様ウンディーッネに敵うと思ってるわけ?」


「じゃあ問題だ。3000割るゼロは」

「ェ?・・・さんぜん?わる?ぜろ?」

「答えが欲しいか?欲しいなら負けを認めろ」


悪魔の囁き。しかしそんなのに挫けるわたくしウンディーネではない。


「無限だあああああっ!!」

「逆だ。正解はない。」

「・・・・・・・ずるい。」

「勝ちは勝ちだ、ウンディーネに敵わない相手とかいないんじゃないか?」

「ぐぬぬぬぬぬ....」


「じゃ、じゃああんたのこの状況も分かっているわけ?」

「これのことか?」


弓矢である。私はアキタと呼ばれる魔王に作ってもらい、いつか来るであろう天敵を倒すためにトラップを設置していた。

「一本だけじゃねーかっ!ハッハハ、この俺がスイッチを押せばすぐ……あれ、あれぇぇぇ!?」

スイッチを押す事で自動照準付よくわからないけど敵を狙ってくれる…はずだった。何度スイッチを押しても発動しない。


「まずこのスイッチ水厳禁だから。」

「ああああああぁぁぁぁ.........ぁぁぁぁああああ!?うったえてやる!」


まずこのスイッチ水厳禁だから。まずこのスイッチ水厳禁だから。まずこのスイッチ水厳禁だから。

木霊するように私の脳内に響く。泣きたい。いや、ここは海の中。泣いても誰も涙に気付かない。

「全部手動で発射すればイケるっ!!」

「敵がそうさせると思うのか。見上げた根性だ。」


白が目の前に立ちふさがった。

「ど、どけぇっ!」

「フフフッ」

「そこ!りばいあも戦え!協力だ!」

「私は痛い目に会いたくないですし…」

「その賢さは今は要らないいいぃぃぃ」


「ほう、仲間にも見捨てられるなんてなぁ?」

「な、なんでこうなったし。」


それが私の最後の言葉だった...






「っは!知らない天井!?ここはどこだ!」

「~~~~~(やっと目が覚めた)」

「一体何をやったんだい?」


「しっシルフ!?てことは、城?」

ガチャ、ガチャ。またもや両手・尾びれは拘束されている。


「あれ?そういえば私は?」

「白が研究材料にして良いとまで言わせたのは君がよっぽど悪い何かをした。間違いないよね?」

「いや、私何も悪い事...」

「ふむ・・・記憶の中を見せてもらうよ。」

「アッ...」


眠らされた。

目が覚めた時には両手と尾びれの固定は解け、私の現在の心境は改造手術を受けたサイボーグのようだった。


「それにしてもよくアキタに会えたね。」

「挨拶に来てくれたから。」

「そうか。」


特に何事もなく解放された。

しかしシルフの顔は曇っていた。そしてウンディーネが完全に出て声が聞こえなくなったところで呟く。


「やはり、間違ってはいない。」




海に帰って来た。

特に何気ない毎日が帰って来た。

そして、私には海の過ごし方ではなく戦い関係の教えが多くなってきた。

あの一件以来何もないまったりとした時が過ぎたわけです。



「そういえば、そろそろ期間満了ですね。」

「あれ?もうそんな時期?」

「ええ。明日には帰られると思います。」


りばいあは何か冷たく感じる。


「・・・」

私は無言だった。


しかし、口を開く。

「なんで前日にそんなことを?」

「それは、当日に話してもし忘れていたら、ウンディーネはパニックになるだろうと思ってのことです。」


「じゃあ今の内に言っておくけど、りばいあ、ありがとう。」

「いえいえ。」


他の人から見たら、リヴァイアサンの方が辛いと思うだろう。

誰がどう思うかは様々だが、「現在のウンディーネではないのに仲良く接したリヴァイアサン」として見える事だろう。

しかし、このリヴァイアサンは知っていた。シルフから聞かされていた。

それはシルフの推測なのだが、『このウンディーネは別の世界からやって来た』ようなのだ。

つまり、今そこにいるウンディーネの未来は、今のような状況にはならない。

現在も残っている覚醒進化装置の残骸のデータを解析した結果、私達の時代のウンディーネはこういう平和な未来に飛ばされてはいなかった。


この世界のウンディーネの記録では、白達が敗れ、滅びた世界でただひたすらに生きていた。

しかし今、我々はすでに勝利している。ここで矛盾があるのだ。


私は今、知っているウンディーネではない私の知らないウンディーネと接している。


「じゃあ、今日はたっぷり休みましょう」

「そうする。」


何事もなくりばいあが言っていたその日がやって来た。朝から私ことウンディーネはシルフに呼び出され、そこで事実を告げられる。

「君はこの世界の魔王ではないのは気付いてるね?」

「そ、そりゃ・・・え?」

何も知らんし。


「はぁ。君はこの世界に元々存在していた人間じゃない。外から来た人間だ。」

「へい??」

「じゃあ・・・・」


サラサラサラ、と何かを紙に書く。

「もし君の居た元の世界にこの紙が持ってこれるのなら、これを肌身離さず持っててほしい。もし僕に会ったらこの紙を渡すんだ」

「わ、分かったけど・・・・」


「もう時間か。じゃあね」

シルフの言葉だけが最後に聞こえた。


私はこの変な装置から戻って来た・・・のかもしれない。地面に手をつく。

りばいあは?



~リヴァイアサン編~


私には名前が分からない。しかし、この世界にやってきてから水は大好きだ。

気がついたら親友になっていたウンディーネも居る。私には楽しい生活が待っていた。


だが。研究者であるシルフに「このままでは負ける」と言われ少し悔しさもありながら装置に入った。

私の体は大きいのでとりあえず頭だけ入れると、全身が変な世界に飛び込んでしまった。ここは何所なのだろう。


ノータイムで世界は黒く、色が剥がれ落ちて、聞いたこともない声から告げられる。


「覚醒の試練『過去』を断ち切りました。これからあなたには次の試練へと行ってもらいます。」


「・・・」


扉が現れ、自動で扉が開く。ギイイと音を立てて。

私は温度を感じない真っ黒な地面を這いながら、扉を抜けた。


「ここは?」

辺り一面海しか見えない。そして私は今、その海の上に浮いている。


「・・・?」

違和感がある。いや、違和感しかない。


この世界は、これほど海しかない場所ではない。しかし似ている。私の思考は混乱の渦に巻き込まれた。

やがて正気を取り戻し、私は一つの行動をしようとする。


海に入ってみる事である。

そう願うと浮いた体はゆっくりと海との距離を狭めていく。

「・・・!!」


近くまで来て分かる、壮絶な臭気。こんな海に入れば、どんな魚であっても死んでしまうだろう・・・この臭いは正真正銘の『毒』であった。


空へと逃げる。私の体は空中を支配した鳥のように空を駆ける。

ひたすら上へと進む・・・もうこの海には住めない。そう思って空に逃げ場を探す。


(どうして私がこんな目に...)


空は果てしなく続いているかのように、空には水蒸気の塊以外何も無かった。私達が普段見ている遥か空の彼方にある白いもやは水で作られていた。

私はその塊を突き抜け、空の上の更に上へと進んでいく。途中、なぜか息苦しさを感じ始めたが、この程度は魔法でどうにかなる。

私はそこまで来て、振り返る。

するとさっきまで近くにあった辺り一面に広がる水は、離れてみると水の球体のようにそこに佇んでいた。

(世界は無限じゃない・・・)

その水玉の先は黒く、暗く、そして私が生きるには厳しい世界だった。

その暗くて黒くて息が苦しい世界、暗闇そらからは少しの光が点在していた。更に感覚がおかしくなりそうな空間の先に、これと同じ丸い物体・・・・普段見ている太陽だってあった。しかしここからでは目が痛くなり、すぐに目を離した。


(ここは一体・・・どこなんですか・・・)


一種の絶望を肌身に感じ、今、私が出来る事を考える。

・まずは脱出すること

・脱出の方法を考える事

・脱出する先を考える事

・私が安全に平穏に暮らせる場所を探す事


・・・(息が・・・持たない・・・)


すぐに汚染された水玉へ戻る。ここは空気だけは綺麗だった。まるで少し前までそこで自然が存在していたように。


しかし、これから程なくして私は死んだ。

死んだ先には雲のような、白い綿のような何かが敷き詰められた世界だった。食べ物も、木も何もかもが欲しいままにできるような、天国だった。その雲の端から下を覗いても、何も見えないのが気がかりだったが。


「人間に・・・」

そこからすぐに気付く。元々の私の体が見当たらない。まず第一に見慣れない肌色の手足があった。

私に過去の記憶はなかった。だからこそ、この体が動かせるということに真っ先に感じたのが新鮮味だった。指が3本から5本になって、それぞれが動かせる事にも感動した。


私は、自由を得た。だがそれは何もない虚無を体験するのには十分すぎるほどの『自由』だった。


始めは何かを作ったり、家などの建築物を建ててみたり、これまでにない充実感があった。

しかし、食べ物は安定し、住む場所も安定した頃、違和感に襲われる。


(楽しくない・・・)


ここには魔力が溢れていた。いや、無限に存在した。

水などここでは取れないものを生成し、私が楽しむために十分なプールだって作った。石だって、魔力で作って神殿っぽい建物だって作った。

しかしその本来簡単に貫通するような雲はこんな重い物だって軽々と支える。その上で、ふわふわの感覚があるのだ。


私が踏んでいるこの地面だけ、何か別の、道理から外れた存在のように思えてきた。

それからすぐ、私の異変に気付く。


時間感覚がどれぐらいになっているか分からないが、もうすでに4年が経っている。


私にはもう、帰る事は出来ないのか?心の隅でそう思っていた。


私は何かを見つめる。


私は、なぜ、あの時の水玉を見た?


それはすぐに、推測的に元々の私達の世界だと判断した。

じゃあなぜあの世界は水だけになっていた?


そこまで考えて、良くない想像をする。


最初に言っていた天からの声。「過去を断ち切りました」・・・なぜかこんな時でも覚えている。




私は、退屈な世界から唐突に解放された。



「・・・!?」

装置から出て体が動かない。手の感覚も分からない。


私を見る。

・・・元の姿に戻っている。


私は、夢を見ていたのか?


「あ、りばいあ!おかえり!!」

「あ・・・A・・・」

「どうしたの?りばいあ・・・ちょっと待ってて」


言っている事は分かっている。そしてウンディーネは人魚の姿で地面を這いながら外へ出ようとしている。

唐突にウンディーネが向かっていたドアが開く。

「おい、どうした」

「・・・」

「白!?よくも!!」

「ちょ、どれだけ恨み持ってるんだよ」


白を見るなり飛びかかろうとしたウンディーネが思い出したかのように黙り、

「・・・そうじゃなくて」

「?」

「りばいあが変なの。ちょっと助けて」

「あ、ああ。」


急いで白はこの場を離れる。1分後、シルフが飛んできて、私を風で浮かして運ぶ。

しばらくして、私はシルフに検査をされる。


「リヴァイア。言葉はわかる?」

こくり、と慣れない龍の首で頷く。

「そうかい。少し、ウンディーネにも話を聞きたい。連れてきて欲しい。」

「はぁ...」


面倒そうに白は引き受け、人魚姿のウンディーネを乱暴に抱えて持ってくる。


「あとで絶対制裁してやるからな!白!!」

「そんなのより今はリヴァイアサンの心配しろよ」

「そ、そうだった、りばいあ!」

子供っぽく無邪気に私を呼ぶが、体の動かし方を忘れた現在、返事を返す事すら無理だった。


「ちょっと待って、ウンディーネ。君が手に持ってるそれは何だい?」

「忘れてた・・!未来のシルフに貰ったんだけどシルフに渡してって」

ウンディーネは慌てた様子でその紙をシルフに手渡す。


「・・・・・・っ!!!」


はじめは奇怪な顔をして読んでいたシルフだが、すぐに顔色が悪くなる。


「よく分かったよ。覚醒進化装置は並行世界の未来を行き来できる物だった」

シルフはこれ以上は深く言わず、私に話しかける。

「リヴァイア。君はこの体の動かし方を忘れてしまっただけだ。恐らく君が人間になった状態で4年を過ごしたりしたんだろう、すぐに動かせるようになる・・・」


「A・・・GA・・・・・」

私は必死に喋ろうとした。


「この口じゃどうやっても喋られない。魔力を込めて喋るんだ。」

「あ、ああ・・・ああ、・・・・!!」


「あ、ありがとうございます。」

無事に喋られるようになった。体を起こそうとするが、リヴァイアサンの体はそれほど柔軟にできていない。そして私の龍の体がドアからはみ出てるほど大きい現状・・・龍の認識の中で立つ事は不可能だった。


「魔力を込めて。魔力で補助をして。君の体は沢山の魔力を持っているはずだよ」


しばらくすると完全に動きを思い出し、復帰した。


回復した私達はエントランスに戻る。

シルフが二回手を叩く。

「さて、皆集まったね」

「これからはララの念話で会話するよ」


(まず僕達をこうした原因である"神"を倒すには、監視者を倒さなければいけない。)

(その監視者が潜む時計塔の場所はすでに分かっている。この世界には存在していないから、ある装置で飛ぶよ)


シルフはこんな物をどこに隠していたか、覚醒進化装置の更に2.5倍程の装置を見せた。見た目は同じである。


(簡単に言うと、テレポートだよ。アキタ君についさっき作ってもらった。)

(これで乗り込むのか?)

(そうだ。だけど何回かに分けて飛ぶ事になる。最初と最後に白か僕が入った方がいいだろう。出来れば最初を白に入ってもらいたい。)


見た事ないおっさんが突然念話に入る。

(俺達の順番は自由なのか?)

(そういう事になるね。けどリヴァイアサンは大きいから絶対に一人で入る事になる。)


(構いませんよ。別に私は一人でも戦えます)

(そうか、頼もしい。)


こうして素早く会議は終了した。これで全員終わったのだ。


ただ一人・・・リヴァイアサンは気がついて居ない。

能力の覚醒が遅れている事に。そして、ウンディーネも、地上での対策が出来ていない事に気が付かない。

次回はちょっと巻き戻ってクレア編になります。クレア編終わったらまたこの二年間何があったかとかの話にするので監視者倒すのは後になります・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ