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桜の舞う摩天楼  作者: ハイク
第二章 魔王軍
58/68

56話 覚醒進化(1)

前回のあらすじ

今までの苦労が水の泡に!ララが残したメッセージを追い、今度は魔王を集めて世界を救え!

どうでもいいけど今まで魔王要素全く無かったよね。


1/11:描写追加。

1/24:おかしかった部分を修正。

「巨木の街・・・」

そこは、大きい木と木に吊り橋が張り巡らされ、その奥には薄く黄色に光った巨木がそびえ立っていた。

今は夜なので、木々に明かりが灯ってなかなか良い風景だ。


「旅の方ですか?」

「この奥の樹木に用事がある。中に入ることはできるか?」

「わ、我らがご神木様になんたる無礼を・・・」

「そういうつもりじゃない。中に入れさせてもらえないかと言っているんだ。」

「それが無礼だと言っておるのだ!!」


蹴り。だがまだ弱い。俺は蹴りを片手で受け止めた。


「この街は簡単には行きそうもないな。」

「白、さっきと性格がだいぶ変わっておるようじゃが・・・大丈夫なのか?」

「こういう森の人はこちらの言う事を聞かないと相場が決まっている。」


「すまんが、あなたたちのご神木に悪さをするつもりは欠片もない。だから足を踏み入れる事自体が無礼であっても何も言わず通してくれ。」

「く・・・長老さまー!」

あのー。モブキャラさん強そうな人呼ぶのやめてもらっていいですか。


待っている間は俺達の間で雑談をしていた。

(おい、そういえば他の魔王はこの先の魔王とは面識ないのか?)

(魔王にも勢力ってもんがあるんすよ。そのせいでオレの知り合いの数は悲惨なことに・・・)

(ワシはおこちゃま魔王とか馬鹿にしてくる奴以外、仲は良いぞ。例えばこの街にいるシルフは儂のことをよく・・・何じゃったかの。思い出せんわい。)


「何じゃ・・・そんなに急かして。」

「この者です!ご神木に踏み入ろうとしたのは!」

「な、なんじゃってー!」

「なあ、お前長老ここに連れてくるまでの間、どう俺を逃がさないつもりだったんだ?」

「ここまで来たらもう遅い!成敗してくれる!(長老が)」

「え、え?な、なんじゃってー!」

「ほら長老も困惑してるじゃないか。」

「た、旅の者、何故ご神木に踏み入るのじゃ。」


慌てつつもしっかりとした目つき。さすがは長老だ。

「仲間を作るためです。俺達にはあることをする為にご神木へ入らなくてはいけません。」

「その決意。あることとは何じゃ。」

「それは話すことはできません。ご神木の最上階まで行くだけです。」

「そうであったか。ならば行けい!全ての責任はこの長老が引き受ける!」


「一度言ってみたかった言葉ワーストスリーに入るかの。ホッホ・・・ホホホッ」

そう言いながら長老は戻って行った。


「じゃ行くか」


巨木の中は殺風景であった。

横に付いた階段、残りは全て空洞という開放感漂うお家(?)だった。

天井はまるで後から付けたように固定されている。


「ノーム、確か天井に穴を開ければいいんだったよな」

「そ、そうじゃったか?というか穴開けたら怒られないかの?儂、シルフとは会った事あるはずなのじゃが、記憶が無いのじゃ。」

(ノームのそれは完全に実験台にされている人の言うセリフだぞ・・・)

大蛇がフラグのようなツッコミを入れる。


「さあ、俺達は上昇する。お前の部屋に穴が開けられたくなければ素直に協力しなさい。」

「もはや怪しいを通り越してしまっておるぞ・・・」


天井まで半分といったところか。

「あー、テステス。ハエ叩きのようにやられたくなかったらその上昇を中止しなさい。」

「それはつまり、天井に穴を開けて良いという許可だな。突撃する!」

「あ、ちょっハエ叩き出動!!」

ブーン…ブーン…と五月蝿い大きめで銀色に光るハエ叩きにヘリが付いたような機械がこちらへ向かってくる。


「儂じゃ、覚えておらんのか」

「え、ノームちゃん!?ハエ叩き撤退だ!」

木の中からエコーで大声が飛ぶ。

「儂をその名で呼ぶなっ!!!!」


シルフは手を二回叩き、真面目な話へ持っていく。

「・・・そちらの少年、用事は何だい」

「かくかくしかじか、だ。」

「そうか。分かった、協力しよう。」

「はい!?まじで分かったの!?これで!?」

「実は僕は未来の記憶を貰い、君の事情もある程度分かる。色々な事があるもんだ。」


ここぞとばかりに胸からララが飛び出し、

「じゃあリンクを繋げるね」

(思念で会話出来るのか、仕組みが気になる。)

「じゃあ、僕の城に来なよ」



「いいけど、変なとこ触って僕の城を壊さないでくれよ」

現在、玄関で持っている全ての魔王と雷鳥を出している。

雷鳥、大蛇、ノーム、イフリート、あと大魔導士を呼んで今来てもらっている所だ。


「特に大蛇、君は絶対に動かないように・・・!」

「わかっておる。心配するな」

「心配してんだよ!」


扉が開く音。

「・・・待ったか?」


「では、これより会議を始めよう。」


――――――以降の言葉はすべて思念での会話だ。――――――


「僕に未来の記憶が来たと話したが、そんな事が起こるのは未来で僕が失敗したためだ。」

「つまり、このまま行くと確実に失敗する。」


「ええと、私達も会議に参加してよろしいのですか?」

赤いスライムのようなモンスター・・・

「いいんじゃねーか、許可したことなんだし」

頭に黒い羽の生えた女の人。

「この状況を打破するためには必ず彼女達の力が必要になる。」

「紹介しよう。ベスとサラだ。」

「~~。~~~(よろしくお願いします。研究者をやらせてもらっています。)」

「サラだ。助手をしている。」


「未来の記憶では俺はどうなったんだ?」

「魔王はほぼ殺され、指導者である白も息絶えた。まさに地獄さ」

「このまま行くと確実に負けるか・・・」

「ごめんなさい。私が不甲斐ないばっかりに。」

「ララのせいじゃないだろう」

「とにかく持てる力の全てを使わねば確実に負ける。そのために彼女達の出番だ。」


「彼女達はいつも『時』について研究している。そして完成させた。」


少し待っていてくれ。と言いシルフは奥の部屋に入って行った。

光が浮かび上がる。機械の形だ。

「ホログラムか」

「そうだ。話を進めるが、君達はこれに入って『覚醒進化』という強化を受けてもらう。」

「君達は元々人間、それも日本人だ。己の弱さを知り、克服し、能力を身に着けてもらう。」

「長く、苦しいだろうが耐えてくれ。各々の強化が済むまで僕は待っている。」


「ここで何か質問は?」

「雷鳥の私にも強化は受けれるのですか?」

「ああ。日本人であって魔王ではないからな。日本人であれば誰でも可能だろう。」

「シルフは受けなくていいのか?」

「僕はもうすでに受けている。未来の記憶を貰ったのは大分前なんだ。」

「他の魔王は後からでも良いだろう。君達は『序の魔王』が故・・・弱く設定されているのだ。」

「白君、君から聞いた事なのだが、この世界がゲームならば序盤の魔王であればあるほど弱く設定されていると言っていた。神にとっては『遊び』だからこそのバランス調整なのだろう。」

「そうそう、忘れるところだったけど勇者を捕まえて来てくれ。勇者も同じく弱い。だが彼女はこの世界の者だ。私達で地道に強くしていくしかない。」


「それはいいっすけど・・・勇者が簡単に魔王の話を信じると思うっすかね」

「正直今のレイカは魔王や俺との接点は薄い。だけど、俺なら説得出来るかもしれない。」


「そう言ってくれるだろうと思っていたよ。君はそういう男だからね。」


「では、白君はレイカを探してくれ、他の魔王達は一刻でも早く覚醒進化を行って欲しい。」

「わかった。」

「ああ、それと。」


手渡された物は緑のクリスタル。


「それを強く握ればこちらへ戻れるだろう。無くさないように頼んだよ」



―――――――――――――――――――――――――









時は少し遡り・・・

私はレイカ。どうして村の皆がこんなにひどくなったの・・・?

私はポータル前の洞窟で一人考えていた。

タッ・・・タッ・・・・洞窟の方から足音・・・一体誰?


「ちょっと待って、あなたは誰?」

「ああ、俺か。ただの旅人だ」

「あそこのポータルはギルドの・・・・」

「イドの村で疲れてるんだろ?頑張れよ」

「ッ・・・あなたは一体」

「俺も急いでるんだ、またな」


そういって男は去って行った。こちらの事情を察している人なの?なら一体いつから・・・

しかし、その男は不思議な人だった。私と男は初対面のはずなのに、まるで古くから友達だったかのように感じる。


私はあの男に元気を貰い、イドの村の異変を解決しようとした。

「すみません・・・話を聞いてください。」

「女、この女が」

「タリー。私よ・・・覚えてるでしょう?」

「誰だ、オマエ」

「・・・っ」

私は森へ逃げた。

誰も私の事を覚えていない。私を供え物としか見ていない。この村は狂っていた。

しかし、私の事を覚えていない・・・私にはそのことがひどく気になる。

あの少年を思い出す。

気がつけば、森の中のオアシスと言わんばかりに拠点に最適な池と洞窟があった。


「こんな所・・・知らない」

ポータルを作り、恐る恐る洞窟を探索してみる。

道中オオコウモリが出たが、ファイアを使い蹴散らす。


大部屋に着く。しかしそこには何もない。少し前まで何かが居たような痕跡はあるのに・・・


エリュシオンへ戻り、報告する。

「もしかしたらそれは・・・魔王かもしれません。一応上には報告しておきます」

「魔王・・・」

魔王。悪の根源。私自身が倒さねばならない敵・・・


私は強くなるため塔へ入る。

しかし、モンスターは一匹たりとも見かける事なく帰って来た。

「私はこの街を発って強くなります。」

「そうですか・・・いつでも帰ってこれるよう私達もお待ちしております。」


歩いて次の街『クポの街』へと行く。

道中も平和なもので野盗やモンスターは全く出なかった。

私はクポの街の魔書の店へ行く。魔法を覚えるためだ。


「ファイア系魔法総集編?」

「これは2160マルになっています。」

「高いわね・・・」

「ですが特別に500マルでお譲りしましょう。みんな買ってくれないんですよ。」

「それなら何とか払えそう」


やたら分厚い炎系魔法総集編をスキルで鑑定する。


炎系魔法集 打80 魔130

特殊効果:攻撃魔力30%UP 打撃-20%

     炎系魔法強化


「こんな物が売れてないなんて信じられないわ。」

やはり値段なのかな・・・


この本は読んで魔法を覚えることができる他、武器として使って魔法の威力を高める効果もある。

他の本も同様に魔法が強化されるが、何かしらデメリットが存在する。

しかしこの本は打撃-20%(つまり重さが-20%)なので魔法の行使に特化している。


宿を借り、一日中魔法の習得に努めた。


「もう朝。今日はギルドに行かなくちゃ・・・」

私はギルドへ行き、手ごろなクエストを受ける。

そしてモンスターを倒し、クエストを達成する。そういった日々が続・・・・かなかった。


クエスト達成後、ギルドに「レイカ」と呼ぶ声が聞こえた。

「どうして私を・・・?」

私を呼んだのはあの時の旅人。

「話は後だ、こっちへ来てくれないか」

「え、ええ。」

どうも少し会っただけのような気がしない。

私は誰とも分からない旅人を勘で信じた。


「えーと、確かこれだったな」

旅人が取り出したのは黄緑色のクリスタル。

「これを強く握ってくれないか。」

私は頷き、旅人と一緒にそのクリスタルを強く握った。


風。足元に風が吹く。

それは私達を包み込み、気がつけばどこかのお屋敷だった。


「おーいシルフ、連れてきたぞ」

「ありがとう、じゃあ先に白君とリンクを繋いでくれ」

白の胸から妖精が飛び出した。

「じゃ、ちょっとお待ちくださいー」

(できたか?)


心の中に声が響く。

(こうかしら?)

(成功のようだな)

(口で喋らないようにな。これから説明することはとても危険な事だ。)

危険・・・?





よし、レイカを捉まえて魔王城へ帰って来た。

一応レイカにはこれからやることの説明とかはしたが・・・怪しいヤツと思われているか心配だ。

(ってちょっと待って、今からやることは神殺し?一体あなたたちは何者なの?)

(魔王だ。)

(ま、魔王・・・簡単に正体を明かすのね)

(俺は魔王じゃないけどな)

(どっちも一緒よ・・・魔王は私の倒さねばならない敵。)「覚悟ッ!!」

魔法を唱える。前見た時はこんなに強そうじゃなかったぞ?

ていうか城に被害が出るじゃねーかいい加減にしろ!俺が魔法を受け止めるしかないのか!

そう思い、受け止める・・・吸収・・・吸い取る・・・はっと思いついた。

「ファイアーボール!」

「ストレージ!!」

新しいストレージだ!受け取れ!!

何とか魔法はストレージに入ってくれた。


「私の魔法が効かないなんて・・・」

「いやちょっと待て、落ち着け。頼むから落ち着け・・・」

「城を壊したら俺が怒られるんだ。頼むから攻撃しないでくれ・・・」

「話は終わったかい?城を壊しても怒りはしないけど、修復作業はさせるからね。」

「では説明する。白は先に覚醒進化装置に入ってくれ。レイカは僕が強くする。」

「期間は二年。君にとっては四年に感じるだろう。何十年もかけてたどり着く境地をたった四年で片付けると思えば短いと思うだろう。」


「分かった。じゃあな」

俺は覚醒進化装置に入った。


入ったら装置が起動し、この身体の感覚が消えてくる。

やがて視界がはっきりとなる。

この場所・・・俺の部屋か。


「白ーご飯よー降りてらっしゃい」

「・・・え?」

母はそんなことは言わない人だ。いつも無口で疲れた目をしている人だった。

だが、大人しく部屋を出て、階段を下りる。

「今日は特別な日なの。白、あなたが自分自身を克服した日よ。」

どういうことなんだ・・?

食卓には野菜しかなくその野菜のどれもが燃えている。だが熱は感じない。どういう仕掛けだろうか。

食うべきか、食わざるべきか。


「ほら、食べなさい。すべてあなたの分よ」

意を決して食べる。


「おいしい。」


「ほら、私の作ったご飯だもの。美味しくないなんて有り得ないわ。」

「食べてみて。」


俺は全て食べようと野菜にフォークを突き刺す。

何か一つから異様な熱が出ているものには手をつけずに。

「おめでとう!」

気がついたら熱を持っていた食材は消えていた。

「そういえば、何のお祝いなんだ?母さん」

「白が引きこもりを抜け出した日!」

「あ、うん・・・。」


「せっかくだし学校いかなくちゃ!」

「あの、母さん。俺受験なんてしてないよ?」

「それはこう、ちょちょいと」

「・・・」

取りあえず用意されていた制服を着る。


これは夢の世界なのか?

ならなぜ俺が学校へ?

それに、あの変な物・・・気がつけば消えていた。

考えても仕方が無い。とりあえず学校へ行こう。道はなぜか覚えている。


歩いている間、俺は魔術やストレージが使えることを確認していた。

やはりここは夢の世界。俺は深い事は気にせずにいた。


ドンッ

俺は曲がり角で人とぶつかった。

「痛っ!」

「ごめんっ」

「いや、気にしなくていいよ。あれ?君天ヶ原 (アマガハラ)の生徒かい?」

「そうだけど・・・」

茶髪の男性はリョウと名乗った。


着いた場所は古い家。何というか道場のようだ。

「やあ先生。」

「集まったな。これより、授業を始める!」

「ちょっと待て、生徒は俺とコイツの二人なのか?」

「ああそうだ。この時間に来る人はお前らくらいしかいない。」

「今って何時なんですか?」

「4時と言ったところだな。」


全く気付かなかった。空の色なんて気にならなかった。

この世界は大丈夫なのか不安に思っていた。

シルフはあまり説明せずに俺をこの世界へ放り込んだが、今は奴を振りまくってでも聞き出したい気持ちでいっぱいだ。


「ありがとうございました!」

俺は普通の勉強をしていたようだ。というのも、俺にはそれをやっていた記憶だけがあり、実感が沸かない。時計を見ると朝6時だ。

「他の人と勉強したのなんて久しぶりだよー」

「そ、そうか」

「君、未練はないのかい?」

「未練か・・・」

俺はこの世界を未練として生み出したのかもしれない。

こんな世界があれば、俺はニートでなくて済んだのかもしれない。

だがこの世界はあくまで『夢』だ。

「未練は、もう無い。」


ガラガラと崩れ去る世界。背景ががらんと変わる。黒が支配する世界。混沌とした世界は崩壊し、残ったのはリョウと俺のみだ。


「・・・そうか。」

茶髪の男リョウの声色が低くなる。

「白、君は誰よりも早く自分自身の未練と打ち解けた。」

「しかし、過去を消し去ったからといってまだ終わりではない。」

「自分自身と向き合って行くのだ。強くなれ、『俺』よ・・・。」


「っは!!」

目が覚める。自分は何を・・・?


「良かった、白!頼む!!助けてくれ!」

白髪の老人。その人は俺を知っているようだ。

敵は黒いローブを身にまとっている。


「受け取れ・・・」

七色、七つの光がこちらへ来る。

「セブンスライト・・・がはっ!!」

男は何かを唱えた後、血を吐き倒れた。


俺の身体の周りを光達が舞う。俺は力を手に入れた。

俺は右手を突き出す。炎と共に剣が召喚される。

「ぐ・・・おぉぉ」

身体の動きが鈍い。だが、

「うおぉぉぉらぁ!」

俺は一瞬で黒の敵の背後に飛び、斬りかかる。

ガンッ・・・黒いローブの『男』は俺の攻撃を手で弾いた。

「ストレージッ!!」

その剣は振り上げる事なくストレージに仕舞い、俺は後ろへ下がる。

「っく・・・これならっ!」

俺はストレージに入れた剣を複製し、呼び出す。

「行け!」

6本の剣は勢いよく飛び出し、その黒のローブを貫いた。

しかし・・・

俺は上を見た。ローブを脱いだその姿はまさに『俺』自身だった。男は刀を持っている。

「・・・・俺に、俺を殺せというのか?」

考える暇はない。

俺は横に転がり回避する。

瞬間移動した・・・敵は後ろ。ならばと俺はすぐさま前へ飛ぶ。

「!?」

俺に似た男は更に瞬間移動し、俺の飛ぶ先に居た。

このままだと刀が俺の胸に突き刺さる。

光が助けてくれた。俺は思いつきという名の補助をそのまま実行した。

「月光!!」

魔力を込め奴の背後へワープする。

ワープしても俺の勢いは止まらず、そのまま奴と取っ組み合いになる。

「なぜ俺が二人いる!」

「フ、フフ・・・」

『俺』は俺の片手だけ、手を振りほどき、俺の頭にその手を置いた。


「これ・・・が、私の、未来、だ。」

パラパラ漫画のように記憶が蘇る。


あの白髪の老人は俺だった。三つの時代の俺がいた。

老人の俺は謎の組織に洗脳されてしまった過去の俺を助けるために。そして黒いローブの俺はこの世界に潜む謎の組織を倒すために動いていた。

老人の俺は今の俺を呼び出し、未来のすべてを託して死んだ。


「ぐ・・・な、なんだこれは・・・?」

「お前の時代は時代を生きる強者によって世界は救われる。だが悪は滅びぬのだ。俺は死ぬまでこの世界を彷徨う。」

「そんなのって・・・・」

「本当の事なのだ。だからこそ俺はお前に託そう。正義によって悪が滅びるように、悪によって正義が滅びぬように。強い正義とは常に強い悪との対峙によって生まれるものだ・・・・」


光を託された。七色の光が強く光る。

俺の内に入り、それまで散って行った全ての俺がこの中へ。


俺の目の前にはログが表示される。まるでその瞬間を見せるように。


通常のレベル上限を突破します。

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!光の種を覚えた

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!炎の極意を覚えた

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!千の魂を覚えた

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!

レベルアップ!影なる覇者を手に入れた

覚醒に必要なレベル上限へと達しました。上限を突破します。

能力上昇!

能力上昇!

能力上昇!

能力上昇!

能力上昇!

能力上昇!

能力上昇!

能力上昇!

能力上昇!

能力上昇!

十回の覚醒を確認しました。神の道を開きます。

神へと一歩近づいた!

神へと一歩近づいた!

神へと一歩近づいた!

神へと一歩近づいた!

神へと一歩近づいた!

五回の熟練を確認しました。神化を行います。

神の力を得た!

→覇の力

→武の力

→烈の力

すべてのプログラムは終了しました。これで経験地の消化を終わります。


「・・・ここまでの力を得たのは初めてだ。この俺なら・・・運命を打ち砕けるかもしれん・・・」

「お前の言いたい事は分かった。俺が何とかしてやる・・・安らかに眠れ。」


俺は未来を託した俺を殺し、呟く。

「もう俺には、強化は必要ないだろう?」

「・・・」

「機械は反応しないか。」

自力で俺はこの空間から脱出した。


「っ・・・はっ」

起きた。その瞬間ドタドタと足音が聞こえ、その後ドアを勢いよく開けた人物がいた。


「まさか・・・もう起きたと言うのか、君は」

「今どれぐらい経ってるんだ?」

シルフは俺の姿を見て少し驚いたような表情をした後、気を取り戻して答える。

「白。君が入って30分といったところだよ。」

30分。・・・これからあと二年待たなければいけないのか。


「俺は少し外に出てくる。」

「確かに、どの魔王にも君を止めることはできなくなるほど強くなったようだ。しかし、過信はいけない。この二年は強くなるために設けた期間だ。だからその間は何があっても戦おうとしないでくれ。」

「分かった、レイカは頼んだ。俺は他の魔王を集めてくる。」


俺は場所を教えてもらい、すぐさま飛び立った。

「この竜変身も最後まで役に立ってもらおう・・・」

海が見えた。俺はその海へ飛び込む。

このままだと息が出来ないので風魔法を使い空気を作り出す。


海底都市が見えてきた。目的の魔王「リヴァイアサン」がここに居る。

本来なら各地の街の住民かあらたらい回しを受けて船を作ってもらうのだろうが、そんな時間はない。

俺はそのまま海へ飛び込んだ。


「グラアアアアア」

細長い水属性の竜っぽい姿をしたリヴァイアサン。


「キュアアアアアア」

下半身が青色の渦になっている人魚のような姿のウンディーネ。


光の種で水中でも息ができるように、そして水中でも喋られるようにした。この種には願いを込めて発動させると、その種を割った時に願いが現実の物になるようだ。限度は俺の創造力の限界。


「お、目的の魔王が二人同時にいるなんて運がいいな」

「「ギッ」」

俺を睨んでくる。ここはやっぱり「邪魔するな」と言っているのだろうか。

「人の子よ・・・何故この場所に来られたのですか・・・・?」

「リヴァイアサン、ウンディーネ、お前らを捕まえに来た。と言っても詳しいことはリンクを繋いでくれないと話せないが・・・」

「ここは共同戦線を張りましょう。ウン子さん」

「俺をその名前で呼ぶなーっ!りばいあ!」


「戦いとかやめてほしいんだけど戦うなとか言われてるし本当に・・・」

ちょっとだけならいいよね?


ちょっ、リヴァイアサンが大きく水を吸い込んでる。

ウンディーネは渦を俺の周りに作って逃げられないようにしているようだ・・・

「覚悟」

光の種。この種を生み出した後にその種が攻撃を受けると光がすべてを吸収する。

ピカッ!!と光るが、光はあまり眩しくはない。

「なんと・・・私の技を吸収するなんて・・・」

「頼むからわかったら早くシルフの城に来てくれないかな」

「い、嫌です!誰があなたの嘘に騙されるもんですか!」

「いいんじゃねーの?りばいあ。シルフって言ったらあの研究バカだしあいつが助手でも雇ったんだろ」

「ウンディーネぇぇぇ・・・すでに騙されていましたかぁぁぁ」

「証拠が欲しいなら来てくれた後でいくらでも見せられる。」

「今じゃないところが怪しいです!」

「今は何も持ってきてないんだよ!・・・はぁ。とりあえずシルフに連絡するから攻撃するなよ。」


(おーいもしもし、シルフ?リヴァイアとウンディーネ見つかったけど何かシルフの手下だっていう証拠が欲しいんだってさ。)


「今ですっ!!」

種。種。種。種。

「ぐ・・・」


(それならポケットに入ってる?そうか、ありがとう。)


「これが目に入らぬかっ!!」

出した物は風の結晶。結構貴重な物でシルフが認めた人にしか渡さない物だ。なぜ俺のポケットに。


「は、ははぁ・・・って騙されるかっ!シルフを倒したんだろう!?」

「いい加減にしろ!」

「え、マジ?俺も騙されるとこだったわー」

「はっは!!寝返ったな!!」

「めんどくせぇ・・・」


騒ぐバカ二人を新しく作ったストレージ『ゴミ箱』に突っ込み持ち帰る。


「持って帰って来たぞ。こいつらどうにかならんのか」

ストレージから解放する。

「「ぷはぁ!!」」

「お疲れさま。一応この人達にも覚醒進化を受けて貰うよ。

「無礼者!我が海の覇者と知っての事か!」

「黙って黙って。」


どこからか飛んできた特大あんぱんを二人の口に突っ込んだ。

「はむ、はむ。ああ、美味しい」

「幸せだぁぁ」


「慣れてるなぁ・・・」

俺はこの光景を何とも言えない気持ちで眺めていた。

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