55話 やり直し
前回のあらすじ。
雷鳥さんが仲間になった。イフリートと日が暮れるまで話した。・・・内容が無いよう。
※はりきって一万字程度書きましたがこれぐらいが丁度良いでしょうか。
1/24 おかしかった部分を修正。
「うあっ寒い」
「そらそうじゃろ。」
帰り、俺は空中飛行で夜の砂漠の冷たい空気をモロに感じながら帰る。
ノームは砂の上を泳ぐモンスターを召喚し、その上に乗って帰っていた。
「お前は寒くないのか?」
「もう慣れたわい」
宿に帰ってきた。
だが、皆の様子がおかしい。
少しの沈黙の後、レイカが
「ねえ、どういうつもり?」
「どう・・・って何がだよ」
「一人でさっきの問題全て解決できるぐらい強すぎるのよ」
「私達、あの戦いを見て全くわけがわからなかった。私だって弱いのはわかっているわ。・・・白だけ、どんどん強くなっていって・・・私達は置き去りよ」
「おい、待て。なんで急にそんなこと・・・」
「ふざけないで・・・ふざけないでって言って・・すっ・・・言ってるの!…四季魔法、強化魔法、魔術、こんなもの3つとも覚えられる人なんて・・・天才しか居ない。」
「なんで・・・私だけいつも置いていくのよ・・・」
「・・・」
「俺に追いつきたいのなら俺に教えてもらえ。全部一人でやろうなんて考えるな。」
「そうじゃない・・・のよ・・・」
「あなたを見てると・・・私が勇者なのにあなたが勇者に見えてきて・・・苦しいのよ・・・」
「あなたが居ると、もうすべてが危険なんてないように思えてくるの。」
確かに一人でやりすぎた感じはある。今のレイカの気持ちは、例えるなら後輩にもう自分の手の届かない所まで抜かれてしまった気持ちだろう。
「はく、一体あなたは何者なの?魔王なの?そこにいるノームと同じなの?」
「ノームと同じならとっくに魔王と名乗ってるさ」
「そんなんじゃない!私は・・・私は・・・」
「もうわかっているだろ?」
「俺に任せてくれ。必ずお前と救ってみせる。必ずこの世界を平和な世界にして見せる。」
「俺はお前を支える。だから、レイカ。お前は俺を支えてくれ。」
「・・・平和な世界なんてもうあるじゃない・・・」
レイカは俺の告白にぼそぼそとつぶやく。
「はぁ。あなたと居ると不思議だわ。まるで何もかも知っているみたいで。」
「だけど俺にも知らない事はある。」
「(ごめん・・・)」
ララ?
ガリッ・・・
時が止まり、全てが灰色の世界になる。
時計塔、プログラム、思念体、俺の中・・・・そして、この世界の真実。
ゲーム、創世、神、閉じ込め・・・
知っているはずのない記憶の断片が流れ込んでくる。・・・ララ?
「(おい、ララ、何があった!)」
呼びかけるも何も返事はない。
グッと胸から何かこみ上げてくる。
それと同時に背筋が震えて止まらない。
自分自身だけ時が動いているように・・・
(う・・・気持ち悪い)
さっきから継続的に吐き気などの気持ち悪さが迫って来る。
辛さ、苦しさ。何故来るのかもわからず耐える。
やがて少しずつ収まり、しばらく待っていたが何も起きない。
(閉じ込められているのか?)
…ッン
…ッン
…コ…ン
足音が聞こえる。段々と音は大きくなっていく。ただ、まだかなり遠くから聞こえるようだ。
…ツン
…コツン
……コツン……コツン・・・
(これは・・・まずい・・・)
何か打開策はないのか。考えろ。
…コツン
考えろ。
…コツン、コツン、コツン、コツン、コツン、コツン、コツン、コツン
考えろ・・・なぜ、こんな足音が時の止まった世界のようなこの場所に・・・、なぜ、"俺"の居るここに向かって足音が強くなっていく?そして・・・ここは宿の中・・・こんな足音はおかしかった。
…コツン・・・。
扉の前で足音が止まる・・・『奴』は目の前だ。
その時にはもう俺の体が重い・・・何故かと考えるだけの脳も残ってはいなかった。じわりじわりと『奴』が近づくたびに脳が麻痺してきている事に気が付かなかったのだ。
(竜・・・変身・・・)
(・・・・・・・・・)
俺は、薄れていく意識の中、竜玉に願う。どうやったら打破できるかなんてもう考えられない。最後の頼みの綱としてこいつに賭けた・・・
「・・・」
俺を包み込むこともギリギリな黄色の光が細々とこちらを包み込もうとする。
俺の目の前には扉を抜けてくる『奴』の姿。
壁を抜け、俺にゆっくりと近づいて来る。両手を俺に向けて掴もうとしてくる。真っ黒な『影』の人間が・・・黒い何かを纏いながら、こちらへ近づいて来た。
この時の俺は意識を保つ事で精一杯だった。
黄色の光がなんとか俺を包み込んだ瞬間、光が自力で飛び立とうとする。
『奴』は光を掴み、離そうとしない。光は、掴まれた少数の光の塊を引きちぎり、俺を抱えて飛び立った。
その時、俺の意識は途絶えた。
「ん・・・は・・・ああ」
目が覚めたら俺は一番最初の場所、大蛇の潜む洞窟前だった。
「今までの事は全部夢だったのか?」
俺はララを呼び出そうとする。
しかし、いくら「ララ」と呼んでも出てくる気配はない。・・・さっきの記憶を辿る・・・
「ステータス」
俺のステータスは表示された。
鱗動 白 Lv335(xxxx/xxxx)
HP:3350/3350 MP:1340/1340
パッシブ:武器術Ⅹ 竜変身Ⅲ 探索能力Ⅴ
叡智 ダガーシューター(永続)スーパーブレイブモード(OFF)
アクティブ:春の目覚め 夏の空 ブレイブスター 切り払い
螺旋の剣撃 影縫い タイム・ドラゴン ドラゴン・リープ
「Lvは335・・・カンストか。それにしても・・・」
今が一体どういう状況か分からない。
「とりあえず大蛇の所に言ってみたら分かるかもしれない。」
だが、今の俺は素手だ。竜変身を使っていくしかないだろう。
大蛇が居た部屋までは問題なく着いた。
「グルアアアアアアアアアアア」
「あれ・・・まさかとは思ったが・・・」
大蛇は復活している。
うっすらとした記憶によると俺は見たことのある光・・・過去に戻ったはずだ。
最初の位置があそこだった・・・つまりはそういうことだろう。
「おい、お前に敵意はない。俺はお前と話がしたいだけだ」
「グルアアアアアアア」
「そこの首は単純な命令しか受け付けないんだろ?お座りでも命令してくれ」
「グァ?」
ばさばさと後ろに首を動かして、本体が出てくる。
「何故私の事を知っている?」
「俺もトラブルがあってな。だがこの姿を見て何も思わないか?」
俺の普段の姿を見せつける。しかし、
「・・・私の記憶には何も無い。」
「うーむ、俺はお前と話をしたことがある。と言っても信じないよな」
「ならこれを見てくれ。これに見覚えはないか?」
春の目覚めを使用する。
「それは・・・勇者しか扱えない秘術をどうやって・・・」
「やっぱりそうか。」
そう言った直後、右手がむず痒い。
「ストレージが勝手に・・・」
この感覚は『とりかご』。あの鳥は一緒に居るのか。
「ピッ」
バサっと羽ばたき、巨大化する。最初に会った時の大きさだ。
「あなたに説明しても信じないでしょうが、私達は今時を遡って来ました。」
「お前が居るなら何でも信じるさ・・・クレア」
呆れたように雷鳥は溜め息をつく。
「そうですか。まあいいでしょう。あなたは未来では死んでいます。この少年に竜を託して。」
「そうか・・・」
「私は貴方を救いたい。勇者と魔王の呪縛から。そのためには私と同じく、この少年のストレージに入りなさい。この少年を元の世界に返す手伝いをするのです。」
「雷鳥・・・いいよ、こんな世界を見たからには俺だって無関係じゃいられない。」
俺の記憶はあの言葉を言う瞬間までは鮮明に覚えている。否、思い出したのだ。
あの言葉。勇者としての『存在』を疑問に思う言葉。この『ゲーム』として作られた世界を否定する言葉は喋った時点でその監視者によって消される。この行動は、すべて『監視』されている。
だが監視者が来ない理由。それはララが最後の力で教えてくれた。監視者のルールだ。
『監視者はこの世界を否定しなければ動かない。』
『監視者は時間を遡ってこちらに来ることは出来ない。』
俺の心の中にはララが入っていた。
この記憶と共に、ララのメッセージとも言うべき記憶があった。
「(ごめん。多分私のせいです。私がこの言葉を止めていたらあなたは何とかなったかもしれない。実はね、私、死んだ後に復活とかしてないんだ。いつも死ぬギリギリで時を遡ってただけなの。こうすれば監視の目を避けられるって『システム』が教えてくれたから・・・。だから私が居なくなる前に、この方法を教えるね。)」
こうすれば、私がやってくるから。と言い残し、メッセージは切れた。
「アル・エルターニャ・クロッスムーブン・エルドライア・ガス・ガラクラッソ・レイ・フリターラ」
俺は、記憶の通りに言葉を言った。
「確か・・・この辺りで・・・」
すぐ入口から光が見えた。
「すみません、この辺りで変な声が聞こえましたか?」
「・・・ララ」
「どうして、その名前を」
「俺だ。」
「あなたが・・・白さんなの?」
「ああ。俺のサポートを、頼む。」
「・・・はいっ」
小さい妖精のララは満面の笑みでそう言った。見た目は赤い光に囲まれて黒い羽と赤い髪を持っている子供のような見た目だ。。
「・・・成程、白というのか。今なら未来の儂がお主に託した意味が分かる。」
大蛇が名前で納得したようだ。
「この儂を入れてくれ。」
俺の右手に大蛇は触れる。またストレージボックスだ。
「・・・『竜じゃ』・・・お前、ネーミングセンスってものが無いのか?」
「竜なのに蛇、ちょっと洒落てるとは思わないか」
「ちょっとわかんないです」
「これからどうすればいいんだ?」
「まずは塔へ向かってください。あなたの記憶によるとノームって子が居ましたよね」
「そうか・・・」
まずは竜変身し、ララを肩へ座らせる。
(魔王を集めていくのだな)
「(とりあえずはそうみたいだな。)」
俺もよく分かっていない。
エリュシオン付近に来たら降りて変身を解除する。
「懐かしいな。この街」
確か、塔に挑戦するには冒険者登録が必要だった気がする。
「そうだ、レイカ・・・レイカは助けなくていいのか?」
「助けると立ち回るのが難しくなります。彼女のことは気付かれないようにサポートしていけばいいでしょう」
「なら、冒険者登録か。」
懐かしみながらギルドへ足を運ぶ。
「冒険者登録をさせてくれ。」
「身分証になるものを持っていないのでしたら、匿名での加入が・・・」
「身分証を作れないか?あの塔に入りたいんだ」
「え、ええ。わかりました。」
受付・・・あのギルド員さんだ。優しくてしっかりしている人だ。
「ではこの書類に書き込んでください。」
さらさらと書き込む。住所はなし。名前は鱗動 白。年齢は・・・と書き込んでいく。
意外と匿名での加入と大差ないと感じた。
「少しお待ち下さい。」
ギルド員がタッタッタッと走っていく。
「出来ました。これがギルドカードです。ギルドの所属は討伐ギルドで間違いないですか?」
「はい、じゃ。」
俺がギルドを出たところで・・・
タッ・・・タッ・・・・とギルド長が私に近づいて来る。
見た目は白髪と長く白い髭が目立ち、青いカーディガンを羽織った男だ。
「あの者は?」
「旅人・・・のようですね。リンドウ ハクと言うそうです」
「マークしておけ」
「了解です。」
それだけ言い、ギルド長は仕事に戻った。今回は少し口調が強かった。
私には何故マークするのか分からないが、ギルド長は能力を見抜く慧眼を持っていると言われているし多分それだろう。
「奴か?だが・・・少々間抜け過ぎる。」
私はギルド長と呼ばれている者だ。私は現在あのリンドウ ハク・・・現時点では名前以外詳細不明の人物を調べるという仕事ができた。
『奴』との関連を調べ、早急に対処せねば・・・
「ああもう迷った迷った!」
「ど、どうされたんですか」
一般人に声かけられちまった。恥ずかしい。
「誰かあの塔へ案内して欲しい!道が分からねえ。」
「ああ、それなら・・・ついてきて下さい。」
「ここです。」
「ありがとう!助かった!お礼は今あまり持ってないがこれでどうだ?」
とりあえず太っ腹に150マール渡しておこう。
「ただの道案内でここまでもらうのはちょっと・・・」
「じゃあ100マールでも貰ってくれ。感謝の気持ちだ」
「じゃ、じゃあ。」
遠慮しつつも100マールを受け取る一般人A。
「ありがとな!」
「で、では」
振り返って塔に立っている人に聞く。
「塔に入らせてくれないか?」
「正式なギルドカードを持っているなら無料ですよ。」
「ホラ、これでどうだ」
「案内しましょうか?」
「いや、いい。じゃあな」
塔は最初辺りは居住スペースになっている。
塔の構造は複雑で、スペースも大きい。まるでダンジョンのようだ。いや、どう見てもダンジョンです。
俺は塔を駆け上る。
「確かこの辺りだったよな」
「そうですね。」
ララは隠れていた胸から飛び出した。
「えーと、確か」
ここだったよな。と言いつつ壁に手を触れる。
ガコンと音が鳴り、隠し通路が開く。
「誰じゃこんな朝っぱらから」
「あー思い出した。こいつ用の肉団子持ってきてねえ・・・」
「ナチュラルに人を食べ物で釣ろうとするな!」
「で、何の用じゃ。」
「んー世界の美味しい物食べさせてやるから俺の仲間になってくれ。魔王ノーム。」
「だから人を食べ物で釣ろうとするな!」
「だってお前のイメージ食いしん坊の子供にしか見えないんだもん」
「それは悪かったの。ところでどうして儂の普段を知っておる。どこかで会ったか?」
「説明するのは難しいのだが・・・少し付いてきてくれないか?」
「怪しいぞ。今のお主この世界の誰より怪しいぞ。どうせかわいくてキュートな儂を連れ去りたいのじゃろう?」
「儂っ子はちょっと」
「なんじゃ!もう知らぬ!」
「あー・・・ほら、」
「さりげなく儂をあほと呼ぶのはやめてもらえるかのぅ」
「そんな意味で言ったんじゃないから!!ここに肉団子があったらどれだけ簡単なことか・・・」
「お主と喋っておると話が進まぬ。聞いてやるから要件を言い。」
「魔王を集めている。付いてきてくれないか。」
「ふざけているわけではないのだな?」
「ああ。本当だ。」
「なら、付いてきてやらなくもない。儂に恵んでくれるのなら」
「お菓子、ご飯、お肉」
「妄想させるのはやめい、あの洞窟に行けばよいのか。」
「そこでなら簡単に説明できる。行こう」
「さて、この塔からどう出るかな。」
「儂に良い考えがある。付いて来い」
ノームに手を引っ張られ、祭壇の部屋へと来る。
「ここからポータルをつなげば一瞬じゃ」
「そうか、その手があったか。ポータルってどうつなげばいいんだ?」
「ポータルがあった場所を正確にイメージして繋ぐのじゃ。」
となると、あそこしかないか。
最初にレイカと会った洞窟。そこをイメージし、ノームがさっと用意した魔法陣に魔力を込める。
青くて太いパイプを繋げる。繋げた直後、俺の意識は俺の身体へと戻ってきた。
魔法陣には青い輪っかが。その先には青くぼんやりとしているが、あの洞窟だ。
「早いのぅ・・・さすがじゃ。ここまで来てお主は誰じゃといった質問はしないでおくのじゃ」
「そうか。じゃ、行くぞ」
ポータルへ歩く。
「何、足取りが途絶えた!?」
「塔に入った後出てきていません。」
「馬鹿者。逃げられたんだ!!」
「ところでギルド長、つかぬことをお聞きしますが・・・あの者は何か問題でも?」
「口には言えぬ事だ。私にとって要注意人物であることには変わりない。」
「・・・そうですか。」
ポータルの先。洞窟。レイカに会うのは避けられないだろう。
さっさと長い洞窟を抜ける。
抜けた先で、
「ちょっと待って、あなたは誰?」
「ああ、俺か。ただの旅人だ」
「あそこのポータルはギルドの・・・・」
「イドの村で疲れてるんだろ?頑張れよ」
「ッ・・・あなたは一体」
「俺も急いでるんだ、またな」
俺はレイカの目に触れないように遠くへ行く。
「あれは勇者か?」
「ああ、そうだ。あ、大蛇の洞窟の行き方忘れた・・・」
(右、右、左左左、前前前前だ。)
「大蛇ありがとう。右、右、左、左、左、前前前前。」
「こうでもしないと入れないようになっておったのか」
「先進むぞ」
やっとあの部屋まで戻ってきた。
「そういえばララ、魔王を集めてどうすればいいんだ?」
「その前に大蛇さん達を出しちゃいましょう!」
大蛇、雷鳥を出す。
「ギリギリじゃな」
スペースがギリギリだが、我慢するしかないだろう。
「それで、大蛇と雷鳥・・・?はどうしてその少年についておるのじゃ?」
「私と白は未来から来ました。そちらの蛇は魔王なので。」
「蛇とか言うのやめてくれな・・・へぶっ」
「その痺れる羽根でも食ってなさい」
雑に大蛇を扱う雷鳥を見てちょっと不思議に思った。
「あれ・・・恋人同士じゃなかったのか?」
「え、ええ。私と魔王になったこの人はこの世界に飛ばされる前は恋人同士でしたよ。」
「今でも恋人だろう!?クレア・・・」
「まあ、そういうことです。魔王を集める意味はそこの妖精さんに教えてもらいましょう」
「魔王を集めている理由はですね。ここで話すととてもマズいのです。なので思念を送りますね。くれぐれも口に出さないようにお願いします。」
その言葉は、俺の脳に直接響いた。
(この世界の神を倒すには魔王7人と勇者の力を合わせなくてはいけないのです。ですが、それをやってしまうとこの世界の監視者に目をつけられ全てが無駄になります。なのでまずは魔王を集めてエリュシオンの塔の最上階に居る監視者を倒しましょう。)
「・・・なるほど。そういうことじゃったか。」
「私と皆さんをリンクさせますね。これで言葉を発すことなく話せます。」
(これなら思う存分話せるの。一つ心配なのが他の魔王達が協力してくれるかじゃな・・・)
(それなら白さんがなんとかしてくれると思います。この世界に『縛られない』人間なのですから)
「じゃあ、説明も済んだことだし次の魔王の所に行くか」
(((おー)))
「お前ら少しは喋れよ!」
次に行く街はクポの街。セバスと戦った記憶しか残ってない。
ノームを背中に乗せ、ララを肩に乗せ飛行する。正直重すぎて疲れる。
「着いたな。・・・ここに魔王なんて居たか?」
「間違いないです。魔王は一つの街に一人いますから。」
強そうで怪しい奴・・・そういえば居たな。
早速エルフィンの所へ向かう。
「何の用ですか?怪我人はいないみたいですが」
「大魔導士に会わせてくれ。」
「そういうのは領主様に頼んでください。」
「そうか。わかった」
「あっ・・・まあいいか」
エルフィンは領主と繋がっていたことを簡単に滑らせてしまったが大丈夫だろうと思い気にしなかった。
「領主様はいますかー」
「ん?・・・私が領主クポだ。」
「大魔導士にお会いしたいのですが・・・」
「今そこに居る。待っててくれ。」
「私が大魔導士ですが・・・」
そこで見たのは赤い服、赤いとんがり帽子、赤いマント・・・そして顔をマスクで覆っていない。
俺は少し見つめる。こんな少女が鎌を持つなんて信じられない。そう思っていると
「要件が無いなら戻りますよ」
「ちょっと待った。魔王ならこっちへ来てくれないか。」
ピクッと動きが止まる。
「どうして私が魔王だと知っている?」
「そ、そんなに警戒するな。」
「返答次第では」
少女は自然と鎌を取り出していた。
「頼む、俺を信じてくれ。魔王だからって何かするつもりは一切ない。」
「・・・そうか。」
鎌は仕舞ってくれた。
「で、何の用だ。」
「ここだと人目につきやすい。少し隠れて話そう。」
「ここでいいか。俺に付いてきてほしい。どこへ、理由は、とかはリンクを繋いでから話す。」
「この上なく怪しい・・・私を魔王だと見破った以上仕方ないな、リンクとやらを繋げばいいのだろう」
ララが飛び出す。
「じゃ、ちょっとお待ちください。」
「出来ました。」
(聞こえるか?ここからは口で喋らないようにな。)
「あ、ああ・・・」
(こうか?)
(そうだ。俺達は魔王と勇者を集めてこの世界の神を倒そうとしている。そのためにはこの世界を監視している監視者を倒さなくてはいけない。少しでもこの世界を否定する言葉を言ったら監視者は動いて言った奴を殺しに来る。)
(更に怪しくなったが・・・仕方ないな。肝試しと思って。)
(そういえばララ、神を倒した後ってどうなるんだ?世界が崩壊したりとかはないよな?)
(ありません。代わりの神は選ばれますが・・・あなたがなって下さい。)
(成程、この妖精が全ての元凶か。)
(違いますよ!)
(俺がとてつもなく怪しく見えるのはわかるが、俺のララを殺そうとしないでくれ。)
(そうか、分かった)
いちいち鎌出してきて怖いこの女の子。
「事情は分かったが魔王の場所は分かってるのか?」
「メサラドの魔王ぐらいしか分かっていない。」
「そうか、なら私が探しておこう。さっきも言ってたが・・・私が説得してそちらに連れていく事は無理そうだ。全ての場所を調べたらすぐリンクを辿って合流する。お前は・・・白というのか。先にイフリートを捕まえてこい」
「ああ。」
俺はノームの重さに耐えながら砂漠へ飛び、城へ着いた。
「失礼しまーす。」「失礼するのじゃー」
「はいはい誰ですか。」
いつもの赤いツンツン男。
「あ、おこちゃま魔王じゃないっすか久しぶりっすねー」
「わけあって魔王をこの少年が集めておるのじゃ。おこちゃま魔王という無礼は無しにするからさっさと仲間になるのじゃ」
「えーでも今街の方で肉がないって困ってるんすよね。それ解決してくれたら仲間になっていいっすよ。それにしてもおこちゃま魔王を連れ歩くなんて変わった性癖してますねー」
「・・・前の世界でも連れ歩いてたからな。否定は出来ない」
「そこは否定してほしいのじゃ・・・背筋がゾクゾクしたのじゃ」
「じゃあ、ぱぱっと解決するか。そういえばイフリート、問題の山の幻覚を解いてくれ。」
「そういえばそうっすね。普通の人には見えないようにしてるのを忘れてました」
「これでいいっすよ・・・それにしてもどうしてオレの名前を?」
「まあ後で色々話す。」
「うわー怪しいっすね。」
「それは儂も思ったわい。」
「みんなから怪しいと言われるRPG、好評発売中」
俺は普段は隠れている竜の翼で空を飛び、雷鳥が居る山へと向かった。
「おお、ここか」
「そうじゃな。とりあえず山頂まで飛んでみるのじゃ」
山頂へ着くと、そこには雷鳥が待っていた。
「よくここまで来ました・・・おや?私・・・そういうことですか。同化を済ませましょう。」
「ピッー・・・私ですが話が早くて助かります。」
鳥かごから飛び出した雷鳥が目の前の雷鳥と同化する。
「ということでリザードマン達を説得しましょうか。」
俺はリザードマンを集めた。雷鳥はピピピと話した。多分これで解決しただろう。
再びイフリートの城の扉を叩く。
「え、もうっすか!?」
「ああ、もうリザードマンはこいつにお供え物なんてしないだろう。」
「ピッ!」
「手際がいいっすねー・・・うわ本当に解決してる。」
イフリートは魔術で過去らしき物を見て確認していた。
「魔術って過去とかも見れるのか?」
「そうっすよー便利っす」
「じゃ、本当に解決したみたいだし、どうすればいいっすか?」
「私の出番ですねっ。今からリンクを繋ぎます。」
(ここからは口に出したら本当に殺されるからこれで会話しよう。)
(なんか怖いっすね・・・)
俺はイフリートに説明し、
「ということなんで・・・どうしようか」
「俺もそのストレージの中に入れて欲しいっす」
「いいのか?」
「一回ストレージの中がどんなんなのか見てみたかったんすよー」
そう言ってイフリートは俺の右手に手をあてる。
「・・・『魔王イフちゃんの部屋☆』・・・もう突っ込まないぞ」
「えーと・・・確かリンクがあるから」
(イフリートは仲間にしたが他の魔王の位置は分かったのか?)
(まだ一人だけだ。だが次は巨木の街に向かってくれ。場所は一番上の密室。)
(俺が知ってる街はここまでなんだ。巨木の街がどこにあるのか案内してくれないか?)
(メサラドから道なりに行けば着くはず。じゃ、次の場所が分かったら連絡入れる。)
俺はメサラドを出て巨木の街へと向かった。




