52話 メサラド
前回のあらすじ
ジョーと戦って強くなった。
「そういえば、アレを忘れていた」
ジョーは手のひらへ木刀を仕舞う。
「ストレージボックスと言う。」
「メサラドの住民はあまり魔法が出来ないと聞いたんだが・・・」
「一つも出来ないわけじゃない。修行先で教えてもらったんだ。」
「魔術というのは知ってるか?」
「一応は。」
「なら話が早い。魔術の要領で大きな箱を作るように意識するんだ。」
「・・・こうか?」
魔術というのは手から出される糸のようなもので物質を変化する。
その糸を四角い箱になるように並べる。
「作れたら次は物を入れて、取り出してみろ。」
エンチャント済みの木刀をその箱に入れてみる。
木刀の姿は見えなくなる。
取りだそうと念じると、いつの間にか木刀は自分の手で持っていた。
「やるじゃないか。ちなみにその箱は普段は存在しない。呼び出せば出現して物を出し入れ出来る。」
「・・・ありがとう。白君。また会おう」
「・・・ああ。」
「その木刀はあげるよ。」
「よう、白じゃないか、どうしたんだその赤い・・・粉?は」
赤い粉は風を魔術で変化したらこうなった。変化させながら回転切りをしたせいで、服の至る所に粉が付いている・・・
「色々あって。一つ皆に話さないといけないことができた。皆を呼んでくれるか?」
ラースを見かけたので仲間を呼んでもらうよう頼んだ。
ここはメサラドにあった丁度いい広場。
「ジョーさんが仲間から抜けることになった。ジョーさんは旅に出るらしいしまた会うこともあるだろう。」
「え。抜けちゃったんですか?」
「まあそんなに気にすんな。そういえば、宿は決まったのか?」
「これから探そうと思ってたところだ。」
「歩いてる途中宿を見かけたのじゃ。そこに行ってみるのはどうじゃ?」
「そこに行ってみるか」
宿が決まり、一段落した所だ。
「意外とコレ便利だな」
小腹が減った時用になにか食べ物を入れておくと安心だ。
この周辺のモンスターでも倒して回るか・・・と思い置き手紙を書く。
どの街にも門があり、衛兵が居るのだが、竜変身して見つからない様に外へ出る。我ながらなぜ見つからないように動くのか意味不明である。
「それにしても暑いな」
ここは門方向の草原とは違い辺り一面砂の海だ。
港町クポと誇りの街メサラドの気温差は激しい。クポの街では涼しかったが、メサラドでは夏によく聞く炎天下そのものだ。
この暑さじゃモンスターも活動しないだろうという根拠なしの自信を胸に・・・辺りを見渡すと。
遠くに見えるはマンモスのようなモンスター。大きな群れで動いていた。
「砂地に
「(そのモンスターの説明は要りますか?)」
急に喋られたらびっくりする。誰だってそうだ。
「(すみません。)」
「(ララだし別にいいよ。で、そのモンスターについて教えてくれないか?)」
「(名前はマルモー、強さで言うと、一体一体がタフで一撃も重いです。動きは遅いので避けやすいですが。・・・・でも、この時期にこのモンスターは少しおかしいですね。)」
「(どういうことだ?)」
「(普段は山に生息しています。それも寒い所。多分山のほうで何かあったかこの環境でも住めるようになった種類かもしれません。)」
「試しに戦ってみるか・・・」
話を聞く限り敵は遠距離攻撃の手段は持っていないようなので遠距離から戦いたいところだが・・・
自分が使えそうな『武器』といえば炎とツメぐらいなものだ。
まずはマルモーに接近しようとする。翼は空中というアドバンテージを持てる上、走るよりもより高速に動ける。だが、少し止まり、
「(そういえば・・・竜変身中使えるスキルはタイムドラゴンだけなのか?)」
試しに春の目覚めを使う。反応なし。
夏の空を使う・・・反応無し。つい使おうとしてしまったが発動してしまったらかなり目立つ。
「(あの時、遠距離攻撃出来てなかったか?)」
そう、セバスと戦っている時、確かに自分は火の玉を投げつけた。そういえば、魔法はララから少し教えてもらったな・・・
魔法・・・そう確信し、手を天に向かって突き出す。
火の玉を構築、魔力を注げば注ぐ程火の玉は膨らむのでそれを更に魔力を使い圧縮する。
この作業がなかなか楽しいのでつい何十分も作りそうだがそろそろ魔力供給を止める。
そして投げる。マルモーの群れは3匹程火の渦に呑まれた。
思ったより範囲は狭い。膨らんだ火の玉を圧縮するせいで範囲は狭くなっているのかもしれない。
「遠距離攻撃は時間がかかるな」
あまりダメージもないようだが・・・・
魔法使いは適正とかもあるのかもしれない。
白は大人しく接近戦でマルモーを狩っていった。
その後色々実験したが、竜変身中に使えるスキルはタイムドラゴン・魔術・魔法以外に使えるものは無かった。
武器は三又の竜の爪しか使えない。ただ、遠距離が難しいだけで近距離戦はかなり動きやすい。
身体能力が強化されているお蔭で、どう動けば無駄がないか。敵はどういった感じで動くかが簡単に予測できる。
「ただいまー」
「白!大変なのじゃ」
「どうした?」
ノームが涙目で話しかけてくる。
「この街には旨い食べ物がないのじゃ!」
「・・・俺はまだ食べてないが、そうなのか?」
「とりあえずこっちに来るのじゃ」
案内されたところは『焼き串』と書かれた屋台。
「らっしゃい」
店主も心なしか元気がないように見える。
ひとつ適当な物を頼み食べる。
「ん・・・?」
口の中に違和感がある。火は通っているはずなのだが、肉が変な食感、味になっている。具体的に言うと見た目はしっかりとした肉なのに綿のように柔らかく、苦い。
ちなみにタレは普通の味だ。しかしそのタレのせいで更に違和感が増大する。
「なあ、これなんの肉使ってるんだ?」
「最近はコッコ肉がなくて代わりにリザード肉を使ってるんだ。」
「けどこれは無理があったか・・・」
これは焼き鳥用だもんね。
「コッコ肉が手に入らない原因は?」
「生息地に行っても一羽も居ないんだ。まるでごっそり食べられたかのように」
他にも肉料理の店はほぼすべてリザード肉。野菜料理の店は閉まっており、魚料理の店はそもそも魚が獲れず一軒も存在しなかった。
焼き串の店に戻り、マルモーの肉を渡す。
「これ使えるかわからんがどうだ?」
ストレージボックスから出したからか、店主が困惑していたが、
「マルモーの肉ですか?・・・ちょっと待っててください。」
店主が急いで調理する。
「・・・どうだ?」
「リザード肉なんかよりはマシだ。」
一口食べ、ノームに渡す。
「この街で一番美味しい食べ物に巡り合えた気がするのじゃ・・・」
笑顔で涙を流しながら食いつくあたりよっぽどメサラドの料理はまずかったようだ。
「たしか、食用のモンスターはすべて消えていたんだよな?」
「はい。」
「だけど、代わりにリザード肉が大量にあるのか?他の店も回ってみたがリザード肉ばっかりだったぞ」
「それはですね・・・」
ありとあらゆる食用モンスターが消え、それと同時にリザードマンの生息数が爆発的に上昇。
生きるためには食用ではないがリザードを狩って食わなければいけない。とのことだ。
「(リザードって確かトカゲだったよな・・・)」
俺の知ってるトカゲと違うような気がする・・・
「今日はもう夕方だし明日調べよう」
宿に戻り、出されたリザード肉を食べ、
「次は山に行くぞー」
と伝えすぐに寝た。




