39話 5人パーティ
「お願い、あの時何が起こっていたのか教えて」
覚えられていたらまずいからあの時の記憶だけ無いのではないのか?
少し整理してみよう。
俺はシルフに気絶させられた。
俺が気絶する前、勇者もいたはずだ。
レイカも気絶させられ、同時に大蛇戦の記憶をごっそり抜いた。
「(気絶させられた時は鮮明に覚えてる。)」
「(ララ、記憶を盗むことは可能か?)」
「(奪う、じゃなくて盗む・・・?覗き見ることは可能ですね)」
「(記憶に干渉することはできるのか?)」
「(はい、記憶操作は魔術を使えば)」
・・・
「(なら、記憶自体を抜くことはできるんだな?)」
「(はい)」
あの時、技か何かを使い、俺とレイカをまず気絶させた。
魔術は詠唱が必要だったはず・・・だから先に二人を気絶させてから記憶を抜く・・・
その記憶には見られてはいけない何かがあったはずだ。
大蛇の言葉を思い出せ、俺
本来勇者は一人、魔王は七人いるということ・・・
勇者しか使えないはずだった技 春の目覚めを目にしたレイカは何かがおかしかった。
それを知ったシルフが記憶を抜いたとすると・・・
俺が大蛇と戦っている間シルフは居たことになる。
そこに居なかったとしても声を聞いてはいたはずだ。
・・・ここでやめ。
結論を言おう。
この事は教えるとまずい気がする。
「その・・・」
「何?」
「言うと駄目というか・・・」
「知らない方がいい。」
「気になるけど・・・そういうことね・・・」
なぜかレイカは簡単に受け入れてくれた。
怪しさはあるが、この人がそういうならそうなのだろうと信頼しているようにも見えた・・・
「でも、竜に変身できるのはどうしてなのか教えて」
「あの大蛇に、託されたから。」
「そうじゃない、敵に何を託されたの?」
「あの大蛇を敵と言えばこいつも敵だろ、魔王なんだし」
そう言ってこの戦いたくない人ナンバー1に入りそうな魔王を指差す。
「話をそらさないで。」
「・・・ニホンジンを救えと言われたんだ」
「ニホンジン・・・?」
「わからないならもうこの話は終わりだ。」
「で、そこの子、俺らに来ないか?」
「魔王と呼べ魔王と。食べ物をくれるならついてやらんでもない。」
「じゃあ、決まりだな。」
「ちょっと待て、まだ儂は付いていくと一言も」
「食べたいんだろ?」
「・・・ついていく。」
さて、クエストの報告をどうしようか。
原因は取り除いたから報酬はもらえるのか?
そう思い、ギルドへ戻る。
道中、モンスターが居たが、
「そこのモンスター達、戻れ」
ノームがどこからか持ってきた本で魔物に指示を出す。
すると魔物は本へと還っていった。
召喚したモンスターは簡単な指示を出したり、本にしまうことができるそうだ。
ギルドへ着き、報告する。
「原因を取り除いた。と・・・」
「それが本当なら本格的に救助ができます。」
・・・信じてないな。
「報酬です。どうぞ」
「少ないが?」
「・・・今回の目的は救助だったはずです。」
・・・チッ。
考えてみると証拠もなしに原因を取り除いたと言っても信じるほうがおかしい・・・と気付いた。
それでも報酬を少しもらえるのは良心的か。
だからといって魔王を救助したと見せるのもなぁ・・・
「どうだったかしら。報酬は」
「少なかったよ。やっぱり一人も救助できてなかったからな」
「・・・」
「まあ、仕方ない。次頑張ればいいじゃないか」
ラース・・・
「次のクエスト、探すか?」
ジョーさん・・・
「で、食べ物はどこじゃ?」
雰囲気ブレイカー。
「・・・こっちだ!!」
食べ物というより果物屋へ直行する。
林檎っぽい食べ物を選び買う。
「ほらよ」
一口食う。
「甘い・・・」
「おいしいのじゃ!」
「これで晩飯まで待ってくれ」
「ありがとうなのだー♪」
宿に戻り、晩飯を食べ寝る。
-――――朝。
「ギルド行くぞ!!」
「今日はやけに元気だな」
「まあ、それが白らしいっちゃ白らしいが」
今度のクエストは・・・
・・・といった日々が何十日か続いた。
ノームには大量の食費がかかるが食べてる姿がかわいいので色々なものを食わせた。
ギルドの評価も段々と上がってきているとは思うが、相変わらず冷たい。
なぜ冷たいか。
それは30層目以降の層から魔物が溢れているということである。
そのせいで原因を取り除いたという報告は嘘と思われているのである。
しかし、原因を取り除いたという報告の影響か廃墟エリュシオン付近の魔物は激減したという報告もある。
そのせいで一概にも嘘とは言えず、少しずつだが評価が上がって行っていた。
ついでに、ギルドは救助を依頼し続けているものの救助に成功したとの報告は0。
死者ばかりが見つかる。
そしてあの時自力で逃げ出した者18人全員がこのクポの街に避難している。
クエスト中で助かった者は別の街を渡り歩き、クエストで稼いでいるようだ。
元々冒険者と言われる職業、どの街でも稼いで食っていける。
世界最大の魔法都市エリュシオンは賑やかだった街の風景はすべて無くなり、ただ一つ、天を突き刺す塔だけが綺麗に建っていた。




